
損害保険の仕事に関わる人が、専門性を高めるために目指すのが「損害保険大学課程」です。名前に「大学」とありますが、学校ではなく、日本損害保険協会が実施する資格の制度です。「損保の募集人資格とどう違うの?」「どんなコースがあるの?」と疑問に思う人も多いはずです。じつはこれは、損保募集人の学びの上位に位置づく課程です。この記事では、この課程をどう目指し、キャリアにどう活かすかに絞って解説します(課程の概要は、記事末のリンク先にまとまっています)。
そもそもどんな課程?募集人のステップアップ
損害保険大学課程は、日本損害保険協会が実施する、損害保険の募集人向けの教育・認定制度です。損害保険を販売するには、まず「損害保険募集人一般試験」に合格する必要がありますが、その先、さらに高度な専門知識を身につけたい募集人のための、ステップアップの課程が、この損害保険大学課程です。
損保の代理店で働く人や、保険会社の社員などが、より深い知識を得て、お客さんの信頼に応えるために学びます。保険は、事故や災害という、人生の万一に備える大切な商品です。それを扱う人には、単に商品を売る知識だけでなく、法律や税金といった周辺の知識も求められます。損害保険大学課程は、そうした幅広い専門性を、体系立てて身につけられる制度なのです。
資格の積み上げ:一般試験から大学課程へ
損保の募集人資格は、段階的に積み上がる仕組みになっています。その全体像を、下の表で見てみましょう。
| 段階 | 内容 | 認定される称号 |
|---|---|---|
| 損害保険募集人一般試験 | 募集人として最低限必要 | 損害保険募集人 |
| 大学課程・専門コース | 法律・税務などの専門知識 | 損害保険プランナー |
| 大学課程・コンサルティングコース | 実践的な提案・業務スキル | 損害保険トータルプランナー |
まず土台となるのが「損害保険募集人一般試験」で、これに合格すると募集人として働けます。その上に損害保険大学課程があり、こちらは「専門コース」と「コンサルティングコース」の2段階に分かれています。専門コースを修了すると「損害保険プランナー」、さらにコンサルティングコースまで修了すると「損害保険トータルプランナー」という称号が認定されます。下から順に積み上げていく、階段のような構造になっているのです。
2つのコースの中身
大学課程の2つのコースは、学ぶ内容と目的が少し違います。順に見ていきましょう。
まず「専門コース」では、法律や税務といった、損害保険の募集に関わりの深い専門知識を学びます。試験は法律と税務の2つの単位に分かれています。保険の相談には、相続や税金、法律の話がついて回るもの。そうした周辺知識を身につけることで、お客さんのさまざまな疑問に、より深く応えられるようになります。次の「コンサルティングコース」では、さらに実践的な、お客さんへの総合的な提案の手法や業務スキルを学びます。こちらは、専門コースの認定を得たうえで進む、より高度なコースです。受講には教育プログラムの修了が条件になっています。
なぜ、保険の募集人に法律や税務の知識が必要なのでしょうか。それは、保険がお客さんの人生の大きな場面に関わるからです。たとえば、家を買ったとき、子どもが生まれたとき、事業を始めたとき――そのたびに、必要な備えは変わります。相続が絡めば税金の話も出てきますし、事故が起きれば賠償など法律の問題にもなります。保険だけを見ていては、お客さんに本当に役立つ提案はできません。周辺の知識まで備えてこそ、「この人に相談してよかった」と思ってもらえる。損害保険大学課程は、そんな総合的な相談相手になるための学びなのです。
※ 各コースの試験はプロメトリック社の会場で通年実施されます。認定には募集人としての届出期間などの要件があり、いずれの称号も5年ごとの更新制です。受講の要件や試験の詳細は年度で変わることがあるので、公式サイトで最新を確認してください。
目指すメリット:信頼される専門家へ
損害保険大学課程を修了する意味は、どこにあるのでしょうか。いちばんは、お客さんからの信頼です。
保険を選ぶとき、お客さんは「この人になら任せられる」と思える相手を求めています。法律や税務の知識まで備え、総合的に提案できる募集人は、それだけ頼りにされます。損害保険プランナーや損害保険トータルプランナーの称号は、そうした専門性を、公的に証明してくれるもの。業界内でのキャリアアップにもつながります。ただ保険を売るのではなく、お客さんの人生の備えに寄り添う専門家を目指す――そんな志を持つ人にとって、目指す価値のある課程です。
とりわけ、代理店として独立して仕事をする人にとっては、この称号が信頼の看板になります。数ある代理店のなかから、お客さんに「ここに相談しよう」と選んでもらうには、目に見える専門性の証が力を発揮します。上位の称号を持っていることは、「この代理店は、しっかり学んで知識を積んでいる」というメッセージになるのです。保険という、形のない商品を扱うからこそ、信頼が何より大切。その信頼を、資格という形で裏づけられるのが、損害保険大学課程を修了する大きな意味だと言えます。
持ち帰り豆知識:トータルプランナーは”0.7%”の頂点
損害保険大学課程の頂点にある「損害保険トータルプランナー」。じつはこれは、損保募集人資格の最高峰とされる、たいへん希少な称号です。日本損害保険協会によれば、約200万人いるとされる募集人資格の保有者のなかでも、この称号を持つ人は、わずか0.7%程度しかいないとされています。
100人の募集人がいても、そのうち1人にも満たない――それだけ、狭き門なのです。専門コースからコンサルティングコースへと、段階を踏んで学び続け、要件を満たした人だけがたどり着ける頂。損害保険トータルプランナーの称号は、その努力の証だと言えます。保険のプロとして、とことん専門性を極めたい人にとって、この頂点は、大きな目標になるでしょう。
希少だからこそ、この称号には価値があります。誰でも簡単に取れるものなら、信頼の証にはなりません。長い時間をかけて学び、更新を続けてはじめて名乗れるからこそ、「損害保険トータルプランナー」の肩書きは、お客さんや業界からの厚い信頼につながるのです。保険の世界で、自分の名前で勝負したい――そう考える人にとって、この頂を目指す道のりそのものが、確かな実力を育ててくれます。ゴールの称号だけでなく、そこへ至る学びの一つひとつが、プロとしての糧になるのです。
まとめ:段階を踏んで、保険のプロの頂へ
損害保険大学課程は、損保募集人がステップアップするための、日本損害保険協会の認定制度です。専門コース(損害保険プランナー)とコンサルティングコース(損害保険トータルプランナー)の2段階があり、一般試験の上に積み上がる構造になっています。トータルプランナーは、0.7%程度という希少な最高峰の称号です。
保険の仕事で専門性を高めたいなら、最初の一歩は、まず損害保険募集人一般試験に合格すること。そこから専門コース、コンサルティングコースへと、着実に段階を上っていきます。お客さんに深く信頼される専門家を目指す道です。なお、課程の概要は下のリンク先(固定ページ)にまとまっています。コースの要件や試験の内容、更新のルールは変わることがあるので、挑戦の前に日本損害保険協会の公式サイトで最新情報を確認してください。

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