
ビルの資格というと、掃除や設備の管理を思い浮かべるかもしれません。ですが「ビル経営管理士」は、ビルを”経営”する、少し毛色の違う資格です。「どんな仕事?」「どうやってなるの?」と気になる人に向けて、この記事では、ビル経営管理という仕事の中身と、なり方に絞って解説します(資格の概要は、記事末のリンク先にまとまっています)。
ビル経営管理士とは?
ビル経営管理士は、オフィスビルなどの賃貸ビルの「経営管理」の専門知識を認定する資格です。認定しているのは、一般財団法人日本ビルヂング経営センター。国土交通大臣の登録を受けた資格として実施されています。
ここでポイントになるのが、「管理」ではなく「経営管理」という言葉です。建物を掃除したり、設備を保守したりする「ビルメンテナンス」とは、視点が違います。ビル経営管理士は、賃貸ビルを「投資された資産」としてとらえ、そこから収益を最大限に生み出すように、運営・管理する専門家です。オーナーや投資家のために、ビルという資産を”経営”する。そんな、一段高い視点を持った資格なのです。では、具体的に、どんな仕事をするのでしょうか。
どんな仕事?ビルの経営管理(プロパティマネジメント)
ビル経営管理士の仕事は、大きく3つの柱に分かれます。その全体像を、下の表にまとめました。
| 仕事の柱 | 内容 |
|---|---|
| 企画・立案 | ビルの事業計画・収支計画、資産価値を保つ計画 |
| 賃貸営業 | テナント(入居者)の募集、賃料の設定 |
| 管理・運営 | 建物の維持管理の計画、収支の管理、日々の運営 |
まず、「企画・立案」。ビルの事業計画や収支の計画を立て、資産としての価値を保つ計画を考えます。次に、「賃貸営業」。テナント(入居者)を募集し、適切な賃料を設定して、空室を埋めていきます。そして、「管理・運営」。建物の維持管理の計画を立て、収支を管理し、日々の運営を回していきます。このように、ビルを一つの「事業」として、企画から営業、運営までトータルで担うのが、ビル経営管理士です。こうした仕事は「プロパティマネジメント」とも呼ばれます。ただ建物を保つのではなく、いかに収益を上げ、資産価値を高めるか。オーナーや投資家の期待に応える、経営のプロなのです。
不動産の”投資・証券化”との関わり
ビル経営管理士が、近年とくに注目されるのには、理由があります。それは、不動産を「投資商品」として扱う流れが広がっているからです。
不動産を、投資の対象として証券化する仕組み(J-REITなど)が広がるなかで、投資家に代わって、ビルを上手に運営する専門家の重要性が高まっています。ビル経営管理士は、そうした分野で活きる資格です。じつは、この資格は、法律のうえでも位置づけられています。たとえば、不動産特定共同事業法の「業務管理者」の要件の一つとされています。ただし、ここには注意点があります。業務管理者になるには、「宅地建物取引士(宅建士)でもある、ビル経営管理士」であることが必要とされているのです。つまり、宅建士とセットで、初めてその要件を満たせる、という関係になっています。不動産の投資・運用の世界では、「宅建士 × ビル経営管理士」の二枚看板が、強みになるのです。
※ 国土交通大臣登録の正確な位置づけや、業務管理者などの要件、受験資格、試験の方式・時期、登録に必要な実務経験の年数は、変わることがあり、細部は要確認です。資格の概要は記事末のリンク先(固定ページ)にまとまっています。正確な情報は、日本ビルヂング経営センターで確認してください。
宅建・マンション管理士との違い
不動産の資格には、いろいろな種類があります。ビル経営管理士が、ほかの資格とどう違うのかを、整理しておきましょう。
まず、有名な「宅地建物取引士(宅建)」は、不動産の「取引(売買や仲介)」の専門資格です。次に、「マンション管理士」や「管理業務主任者」は、おもに分譲マンションの「管理」の資格です。これらに対して、ビル経営管理士は、賃貸ビルの「経営管理(運用)」に特化しています。同じ不動産でも、「取引する」のか、「マンションを管理する」のか、「賃貸ビルを経営する」のか、で、資格が分かれているのです。ビル経営管理士は、そのなかでも、投資資産としてのビルを運用する、という専門分野を担います。自分が、不動産のどの場面で活躍したいかによって、目指す資格が変わります。組み合わせて持つことで、活躍の幅が広がるのも、不動産資格の特徴です。
ビル経営管理士になるには
では、ビル経営管理士になるには、どうすればよいのでしょうか。試験の合格と、実務経験、そして登録が関わってきます。
基本の流れは、日本ビルヂング経営センターが実施する試験に合格し、実務経験の要件を満たしたうえで、登録をして、はじめて「ビル経営管理士」を名乗れる、というものです。試験は、年に1回、実施されます。学ぶための「ビル経営管理講座」なども用意されています。受験資格は、原則としてないとされ(細部は要確認)、幅広い人が挑戦できます。ただし、正式に資格者として登録するには、賃貸ビルの経営管理に関する、一定の実務経験が求められます。つまり、「試験に受かる」だけでなく、「現場で経験を積む」ことも必要な資格です。登録には有効期間があり、数年ごとに更新も必要です。不動産の運用・管理の世界で、専門性を証明したい人にとって、キャリアの裏づけになる資格です。
持ち帰り豆知識:”管理”でなく”経営”の資格
この資格の、いちばんの特徴を、あらためて。それは、名前のとおり、ビルを”経営”する視点に立つ、という点です。ここが、ほかのビル関連の仕事と、大きく違うところです。
ビルに関わる仕事というと、清掃や、設備の点検・保守といった「維持管理」を思い浮かべる人が多いでしょう。もちろん、それらも大切な仕事です。ですが、ビル経営管理士が見ているのは、もう一段、上の視点です。「このビルで、どうすれば収益を最大にできるか」「資産としての価値を、どう高め、保つか」――そんな、経営者や投資家に近い目線で、ビルという資産を動かしていくのです。掃除や保守が「ビルを保つ」仕事なら、ビル経営管理は「ビルで稼ぐ」仕事だと言えます。不動産が投資の対象として注目されるいま、この「経営」の視点を持った専門家は、ますます求められています。ビルを、資産として”経営”する。そこに、この資格ならではの面白さと、価値があります。
まとめ:賃貸ビルを資産として運用する、経営のプロ
ビル経営管理士は、一般財団法人日本ビルヂング経営センターが認定する、賃貸ビルの経営管理(プロパティマネジメント)の専門資格です。仕事は、企画・立案、賃貸営業、管理・運営の3本柱で、ビルを投資資産として運用します。不動産証券化の広がりで重要性が高まり、宅建士とセットで業務管理者の要件を満たすなど、法律上の位置づけもあります。宅建やマンション管理士とは、担う分野が違う資格です。
不動産の運用・管理の分野で、専門性を身につけたいなら、ビル経営管理士は目指す価値のある資格です。まずは、試験や講座の内容を調べ、宅建士とあわせて取ることも視野に入れるとよいでしょう。なお、資格の詳しい概要や、登録の要件は、下のリンク先(固定ページ)にまとまっています。要件や試験の内容は変わることがあるので、正確な情報は公式で確認してください。

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