OPCEL認定試験とは?
概要・難易度・キャリアを解説
OPCEL認定試験の概要
OPCEL認定試験は、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェア「OpenStack」に関する技術力を証明する民間資格です。「OPCEL」はOpenStack技術者認定試験の固有名称で、特定非営利活動法人LPI-Japanが実施しています。
※ OpenStackとは、サーバーやストレージ、ネットワークといったITインフラをソフトウェアで統合管理できる、オープンソースのクラウド基盤技術です。多くの企業や通信事業者が自社のクラウド環境構築に採用しています。
OpenStackとは何か
OpenStackは、仮想サーバーの起動やネットワーク設定、ストレージ管理などを一元的に自動化できるクラウド基盤ソフトウェアです。AWSやAzureのようなパブリッククラウドとは異なり、自社のデータセンター内に「自前のクラウド環境」を構築できる点が特徴です。
通信事業者や大企業が、独自のプライベートクラウドを持ちたい場合の有力な選択肢として採用が進んでおり、OPCEL認定試験はこのOpenStackを実務で扱うための技術力を客観的に示す試験として位置づけられています。
ベンダーニュートラルな中立試験という特色
OPCEL認定試験の大きな特色は、特定ベンダーのOpenStackディストリビューションに依存しない「ベンダーニュートラル」な試験である点です。特定企業の製品知識だけを問うのではなく、OpenStackそのものの標準的な仕組みや運用知識を幅広く評価します。
※ ベンダーニュートラルとは、特定の企業・製品に偏らず、技術そのものの標準的な知識を評価する立場のことです。特定メーカーの製品にしか通用しない知識ではなく、どの環境でも応用が利くスキルの証明になります。
ITSSレベル3という位置づけ
OPCEL認定試験は、経済産業省が定めるITSS(ITスキル標準)のスキルマップにおいて「レベル3」に位置づけられています。これはITスペシャリストなど5分野の実務者に相当する水準とされ、一定の実務応用力を持つ技術者であることの目安になります。
現状は単一レベルのみの試験で、複数の等級に分かれた段階制度はとられていません。1つの試験に合格すればOPCEL認定技術者として認められるシンプルな構成です。
難易度・学習時間の目安
試験はCBT方式(マウス選択式)で実施され、Pearson VUEの全国試験センターまたは自宅受験のいずれかを選択できます。試験時間は90分・出題数は約60問で、正答率6割程度が合格の目安とされています。
※ CBT方式とは、コンピューターの画面上で選択肢を選んで解答する試験形式のことです。紙の答案用紙を使わず、その場で採点まで完結する仕組みが一般的です。
Linuxの基本操作やネットワークの基礎知識がある人であれば、OpenStackの各コンポーネント(仮想マシン・ネットワーク・ストレージ管理など)の役割を体系的に学習することで対応しやすくなります。未経験からの場合は、まずLinuxやネットワークの基礎固めから始めるとスムーズです。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
クラウドインフラエンジニア
企業のプライベートクラウド環境の構築・運用を担うインフラエンジニアにとって、OPCEL認定試験はOpenStackの実務知識を裏付ける資格になります。仮想化基盤の設計・保守を担当する場面で、知識の証明として役立ちます。
通信インフラエンジニア(クラウド移行担当)
通信事業者では、従来の物理設備中心のネットワークをクラウド基盤へ移行する動きが進んでいます。こうした通信インフラのクラウド化プロジェクトに携わるエンジニアが、OpenStackの知識を体系立てて確認する目的でOPCEL認定試験を受験するケースがあります。
クラウドソリューション営業・プリセールス
OpenStackを活用した提案を行うSEやプリセールス担当者にとっても、技術的な裏付けとして評価される資格です。顧客に対してクラウド基盤の仕組みを的確に説明できる技術理解の証明になります。
誕生の背景・歴史
理事企業の技術者による開発協力
OPCEL認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japanが主催する試験ですが、その開発にはNEC・富士通・日立といったLPI-Japanの理事企業に所属する技術者が協力しています。実際にOpenStackを業務で扱う現場のエンジニアの知見が反映されている点が特徴です。
国内の大手ITベンダーがそれぞれの現場で培ったノウハウを持ち寄って試験内容を練り上げたという経緯は、OPCEL認定試験が単なる机上の知識確認にとどまらない実務重視の試験である背景を物語っています。
クラウド市場の拡大とともに広がる認知
OpenStackはオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアとして世界中の企業・通信事業者に採用が広がってきました。国内でもクラウド活用が本格化するにつれて、OpenStackを扱える技術者の需要が高まり、その技術力を客観的に示す手段としてOPCEL認定試験の存在が知られるようになっています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
インフラエンジニアとしてのスキルの棚卸しをしたい人
すでにサーバーやネットワークの実務経験があるエンジニアが、自分の知識を体系的に整理し直す目的で受験するケースがあります。断片的に身につけた知識を試験勉強を通じて整理できる点がメリットです。
通信インフラのクラウド移行に携わるエンジニア
従来型の通信設備の運用に携わってきたエンジニアが、クラウド化プロジェクトへの異動や参画をきっかけにOpenStackの学習を始め、その集大成としてOPCEL認定試験に挑戦する例も見られます。
ベンダー非依存の技術力を示したいフリーランス・独立エンジニア
特定企業の製品知識に偏らないベンダーニュートラルな資格であることから、複数の顧客・案件に携わるフリーランスエンジニアが、自分の技術力を客観的に示す材料として取得を目指すこともあります。
豆知識:OPCEL認定試験の再認定制度
「認定に有効期限はないが、3年で見直しが必要」という珍しい制度
OPCEL認定試験の認定そのものに有効期限はありません。しかし、認定日から3年以内に同レベルの試験を再取得するか、上位レベルの認定を取得する「有意性の期限」と呼ばれる再認定ポリシーが設けられています。
※ 有意性の期限とは、認定資格そのものは失効しないものの、一定期間が過ぎると「最新の知識を持つ証明」としての価値を保つために再認定が推奨・要求される仕組みのことです。
IT技術は変化のスピードが速く、数年前の知識では通用しなくなることも珍しくありません。この制度は、認定を「取って終わり」にせず、技術者に継続的な学習を促す狙いがあるとされています。
合格率非公開という運用スタイル
OPCEL認定試験は合格率を公式に公表していません。正答率6割程度が合格の目安とされているものの、実際にどれくらいの受験者が合格しているかは非公開です。合格ラインの目安を基準に、着実な学習計画を立てることが対策の中心になります。
まとめ ― ベンダーに縛られないクラウド技術力の証明
こんな方にとくにおすすめ
- OpenStackを使ったクラウド基盤の構築・運用に携わっているインフラエンジニア
- 通信インフラのクラウド移行プロジェクトに関わるエンジニア
- 特定ベンダーに依存しない中立的な技術力を証明したいフリーランス・独立エンジニア
取得に向けた第一歩
まずはLinuxの基本操作やネットワークの基礎を固めたうえで、OpenStackの主要コンポーネント(仮想マシン管理・ネットワーク・ストレージなど)の役割を一つずつ理解していくのがおすすめです。CBT方式のためPearson VUEの試験センターか自宅受験かを選べる柔軟さも活用しやすいポイントです。
関連資格としては、データベース分野のOSS-DB技術者認定試験、Linux分野のLPIC、パブリッククラウド分野のAWS認定 ソリューションアーキテクト、Red Hat認定システム管理者(RHCSA)などがあります。これらと組み合わせて学習することで、インフラ全般の知識をより幅広くカバーできます。
公式サイト:LPI-Japan(OPCEL認定試験)
