LPIC(Linux技術者認定)とは?
概要・難易度・世界標準のLinux資格を解説
LPICの概要
LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、カナダに拠点を置くLPI(Linux Professional Institute)が認定する世界標準のLinux技術者認定資格です。Linuxのコマンド操作・システム管理・ネットワーク設定・セキュリティ・スクリプトなど、Linuxエンジニアとして必要な実践的スキルを段階的に認定します。世界180か国以上で実施されており、Linux関連資格として世界最多の取得者数を誇ります。
※ Linux(リナックス)とは、1991年にフィンランドの学生リーナス・トーバルズが開発を始めた無料・オープンソースのOSのことです。現在、世界のWebサーバーの90%以上・Androidスマートフォン・AWSなどのクラウドサーバー・スーパーコンピュータのほぼ100%がLinuxで動いています。「インターネットの裏側はLinuxで動いている」といっても過言ではありません。
3段階のレベル構成
LPICは3つのレベルで構成されています。LPIC-1(101・102の2試験)はLinux管理者の基礎。LPIC-2(201・202の2試験)は中〜大規模Linuxシステムの管理。LPIC-3(専門分野別)は企業レベルのLinux管理・セキュリティ・仮想化の上級です。
LinuCとの違い
日本ではLPICと並んでLinuC(Linux技術者認定試験)という国内資格もあります。LinuCはLPI-Japanが運営する日本独自の認定で、出題内容が日本の実務環境に寄せられています。LPICは国際資格(英語でも受験可)、LinuCは日本国内特化、という使い分けができます。
※ オープンソースとは、ソースコード(プログラムの設計図)を誰でも無料で閲覧・利用・改変・再配布できる形で公開されているソフトウェアのことです。Linuxの他にも、Python・MySQL・PostgreSQL・Apache・GitなどのITの基盤となるソフトウェアの多くがオープンソースです。「無料で使えてコミュニティが開発する」という仕組みで、IT業界を支えています。
難易度・学習時間の目安
LPIC-1はLinuxコマンドの基礎(ファイル操作・プロセス管理・パーミッション・パッケージ管理・ネットワーク設定など)を問います。Linux未経験者でも仮想マシン(VirtualBoxなど)でLinux環境を構築してハンズオン練習を積めば、100〜150時間程度で合格できます。実務でLinuxを使っている方なら50〜80時間程度でも十分です。
※ パーミッション(Permission)とは、Linuxでファイルやディレクトリ(フォルダ)に設定される「誰が読み書き実行できるか」の権限設定のことです。「所有者・グループ・その他のユーザーそれぞれに読む/書く/実行する権限を付与・剥奪できる」という仕組みで、サーバーのセキュリティ管理の基本です。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
Linuxサーバー管理者・インフラエンジニア
企業のWebサーバー・データベースサーバー・メールサーバーなどLinuxで動くインフラの構築・管理を担うサーバー管理者・インフラエンジニアのキャリアに直結します。LPIC-1は「Linuxが扱える」という基本的な証明として、採用の際に広く参照されます。
クラウドエンジニア(AWS・GCP・Azure)
AWSやGCPのクラウドサーバー(EC2・Compute Engineなど)はLinuxで動いています。コマンドラインでのLinux操作スキルはクラウドエンジニアの必須能力であり、LPIC取得はクラウド資格との相乗効果が高いです。
DevOps・SRE・コンテナエンジニア
DockerやKubernetesなどのコンテナ技術・CI/CDパイプラインの基盤はLinuxです。DevOpsエンジニア・SREを目指す方にとって、Linuxの深い理解はキャリアの基盤になります。
※ Docker・Kubernetesとは、アプリケーションを「コンテナ」という軽量な仮想環境に閉じ込めて管理する技術のことです。Dockerはコンテナを作成・実行するツール、KubernetesはそのコンテナをGoogle発の技術で大規模に管理・自動化するプラットフォームです。現代のクラウドネイティブな開発・運用の中心的技術です。
誕生の背景・歴史
1999年:Linuxの普及期に「中立的な認定制度」として誕生
LPICが誕生したのは1999年のことです。1990年代後半にLinuxがサーバーOS市場に本格参入し、「Linuxを扱えるエンジニアを客観的に評価する基準が必要」という声が業界で高まりました。LinuxコミュニティとIT企業の連合体として設立されたLPIが、中立的なLinux技術者認定制度としてLPICを立ち上げました。
2004年〜日本でのLPIC普及・2018年のLinuC独立
2004年に日本法人LPI-Japanが設立されて日本語試験が整備され、国内のLinuxエンジニア育成に大きく貢献しました。2018年にLPI-JapanがLPIから独立してLinuCを設立した後も、LPICは国際資格として日本で受験し続けられています。LinuxがIT基盤として不可欠になった現代でも、LPICの需要は高く保たれています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
インフラ・サーバーエンジニア志望の未経験者・若手
「Linuxが使えることを証明したい」という目的での受験が最も多いです。IT専門学校でもカリキュラムに組み込まれていることが多く、新卒・第二新卒のインフラ系就職活動で役立ちます。
Windowsエンジニアのスキル幅拡大
Windowsサーバーを主に扱ってきたエンジニアが、Linuxもできることを証明するために取得するケースもあります。現代のIT環境ではWindowsとLinuxの両方を扱えるエンジニアの需要が高いです。
クラウド・セキュリティ資格とのセット取得
AWS認定資格などのクラウド資格と合わせて「インフラ全域をカバーできるエンジニア」をアピールする方法として活用するケースや、Kali Linux(セキュリティ特化Linuxディストリビューション)を使うセキュリティ技術者がLinuxの深い理解を得るために取得するケースも増えています。
豆知識:リーナス・トーバルズが今でも開発を続けている
「学生の趣味」が世界インフラになったオープンソースの奇跡
Linuxを作ったリーナス・トーバルズは1991年、フィンランド・ヘルシンキ大学の学生(21歳)が趣味で作り始めたOSです。当初インターネット上で「自分のOSを作ってみた」と公開したところ世界中のプログラマーが参加するムーブメントになり、30年以上経った今も世界中のエンジニアが協力して開発を続けています。
今もトーバルズ本人が開発の最終責任者
驚くべきことに、トーバルズ本人は今もLinuxカーネルの最高責任者として開発の最終承認を行っています(現在はOregon州在住)。「一人の学生の趣味が世界のインフラになった」というLinuxのストーリーは、オープンソース文化とエンジニアの夢の象徴として語り継がれています。
まとめ ― 「インターネットを動かすOS」を扱うための国際資格
こんな方にとくにおすすめ
- インフラ・サーバーエンジニアとして就職・転職を目指している方
- クラウドエンジニアとしてLinuxの基礎を固めたい方
- DevOps・SRE・コンテナエンジニアを目指している方
- WindowsエンジニアからLinuxも扱えるエンジニアへキャリアを広げたい方
取得に向けた第一歩
まず仮想マシン(VirtualBox・VMware)またはWSL(Windows Subsystem for Linux)でLinux環境を構築し、実際にコマンドを打ちながら学習することが最も効果的です。「ping-t」「あずき本(Linux教科書LPIC)」が定番の学習教材です。無料のクラウドサービス(AWS・GCP)のLinuxインスタンスを使って実際のサーバー操作を経験することもおすすめします。
