
通販が当たり前になり、物流の裏側を支える「倉庫」の重要性が高まっています。その倉庫を安全に、きちんと回すために欠かせない役割が「倉庫管理主任者」です。「どんな仕事をするの?」「どうやってなるの?」と気になる人に向けて、この記事では、倉庫の現場での役割と、なり方に絞って解説します(資格の制度や講習の概要は、記事末のリンク先にまとまっています)。
そもそも倉庫管理主任者とは?
倉庫管理主任者は、倉庫業法にもとづいて、荷物を預かる「営業倉庫」に選任することが義務づけられている、倉庫の管理・運営の責任者です。倉庫業を営む会社は、倉庫ごとに、この倉庫管理主任者を置かなければなりません。2002年の倉庫業法の改正で新しく設けられた仕組みで、倉庫の安全と適切な運営を担保するための、いわば「倉庫の責任者」です。
特徴的なのは、合格証を得るような「試験」の資格ではない、という点です。あとで説明するように、決められた要件を満たせば、この役割に就くことができます。「難しい試験に受かってなる資格」ではなく、「倉庫を安全に管理できる人が、法律にもとづいて選任される役割」――そう考えると、性格がはっきりします。私たちが預けた荷物が、倉庫で安全に保たれている裏側には、この責任者の存在があるのです。
何をする?倉庫管理主任者の4つの役割
倉庫管理主任者の仕事は、倉庫全体を管理することです。おもな役割は、大きく4つに分けられます。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 施設の管理・火災の防止 | 建物や設備の点検、防火対策 |
| 労働災害の防止 | 作業員の安全確保、機械の安全な運用の監督 |
| 倉庫運営の適正化 | 荷物の管理、保管環境の維持、整理整頓 |
| 従業員の研修・指導 | 現場作業員への安全教育 |
まず、施設の管理と火災の防止。建物や設備を点検し、たばこや漏電などによる火災を防ぎます。倉庫には、たくさんの荷物が保管されているため、ひとたび火災が起きれば、大きな損害につながります。次に、労働災害の防止。フォークリフトなどの機械を安全に使わせ、作業員がけがをしないよう見守ります。そして、倉庫運営の適正化。荷物を適切に管理し、湿度や換気といった保管の環境を保ち、整理整頓を行き届かせます。さらに、従業員への研修・指導も担います。こうして倉庫管理主任者は、倉庫が「安全に、効率よく回る」よう、全体を見張る役割を果たしているのです。
倉庫管理主任者になるには
では、倉庫管理主任者になるには、どうすればよいのでしょうか。試験がないぶん、要件を満たすことがカギになります。
倉庫管理主任者に選任されるには、次のいずれかを満たす必要があります。一つは、倉庫の管理業務で、指導監督的な立場での実務経験が2年以上あること。もう一つは、倉庫の管理業務の実務経験が3年以上あること。そしてもう一つが、国土交通大臣が定める、倉庫の管理に関する講習を修了することです。実務経験を持つ人が社内にいない場合には、この講習を修了した人から選任できる、という運用になっています。この講習は、年齢や学歴、実務経験などの受講の条件がなく、倉庫業に携わっていない人でも受けられます。1日で修了でき、試験もありません。だから、「これから倉庫管理の責任者を目指す」という人にとっては、講習の修了が、現実的な入り口になります。
※ 選任の要件や、倉庫ごとの配置の基準、講習の詳しい内容は、法令(倉庫業法とその施行規則)で定められており、細部は変わることもあります。制度や講習の詳しい概要は記事末のリンク先(固定ページ)にまとまっています。正確な要件は、国土交通省や日本倉庫協会の情報で確認してください。
どんな人がなる?キャリアの一段として
倉庫管理主任者には、どんな人がなるのでしょうか。多くは、倉庫会社や物流会社で、倉庫の管理を担う社員です。
現場のリーダーや、管理責任者クラスの人が、この役割を担います。試験が不要なぶん、現場で実務経験を積んだ担当者が、管理する側へと上がっていく――そんな自然なキャリアの一段になっているのが特徴です。倉庫の現場で、荷物の受け入れや保管、出荷の作業を経験し、倉庫全体の動きが見えるようになった人が、その知識と経験を活かして、管理の責任者へと進んでいきます。物流の世界でキャリアを築くうえで、一つの目標となる立場だと言えるでしょう。
活かし方と、高まる需要
倉庫管理主任者の役割は、これからますます重要になっていきます。その背景には、物流をめぐる大きな変化があります。
通販や電子商取引の広がりで、私たちが注文した品物は、倉庫を経由して、素早く手元に届くようになりました。その裏側で、倉庫の役割は、かつてないほど大きくなっています。膨大な荷物を、安全に、正確に、効率よくさばくには、倉庫をきちんと管理できる人材が欠かせません。営業倉庫を運営するには、法律上、倉庫管理主任者の選任が必要ですから、この役割の需要は堅調に続いています。物流という、社会の血流を支える仕事。その要である倉庫を守る倉庫管理主任者は、縁の下で暮らしを支える、大切な存在なのです。
また、倉庫の現場では、フォークリフトの運転や、危険物の取り扱いといった、ほかの資格が役立つ場面も多くあります。倉庫管理主任者は、そうした現場全体をまとめる立場ですから、幅広い知識があるほど、より頼りにされます。近年は、倉庫の作業を効率化する仕組みや、コンピューターで在庫を管理するシステムの導入も進んでいます。こうした新しい技術を取り入れながら、倉庫をよりよく運営していく――その中心を担うのが、倉庫管理主任者の役割です。物流の進化とともに、求められる知識も広がっているのです。
持ち帰り豆知識:試験がなくても”責任者”
倉庫管理主任者の面白いところは、「試験がないのに、法律で定められた責任者」だという点です。多くの国家資格が、難しい試験に合格して得るものであるのに対し、倉庫管理主任者は、実務経験か、1日の講習の修了で、その要件を満たせます。
これは、倉庫の管理という仕事が、机上の知識だけでなく、現場での実践が何より大切だから、とも言えます。実際に倉庫で働き、安全や運営の勘どころを体で覚えた人こそが、責任者にふさわしい――そんな考え方が、この仕組みには表れています。私たちが預けた荷物が、火災や事故なく、きちんと保管されている。その安心の裏には、試験の有無にかかわらず、確かな責任を担う倉庫管理主任者の存在があるのです。
まとめ:倉庫の安全と運営を守る責任者
倉庫管理主任者は、倉庫業法にもとづき、営業倉庫に選任が義務づけられる、倉庫の管理・運営の責任者です。火災の防止、労働災害の防止、運営の適正化、従業員の指導という4つの役割を担います。なるには、実務経験を積むか、国土交通大臣が定める講習を修了するのが道。試験はありません。
物流や倉庫の仕事で、管理する側を目指すなら、最初の一歩は、自分の実務経験で要件を満たせるか、あるいは講習を受けるかを確認すること。倉庫の現場で経験を積みながら、この役割を目指していくのが王道です。なお、制度や講習の詳しい概要は、下のリンク先(固定ページ)にまとまっています。選任の要件や配置の基準は変わることがあるので、正確な情報は国土交通省や日本倉庫協会で確認してください。

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