
藤井聡太さんの活躍や、アニメ・漫画の影響で、囲碁や将棋の人気が高まっています。「好きな囲碁や将棋を、人に教える仕事がしたい」と考える人もいるでしょう。じつは、プロ棋士でなくても、囲碁・将棋を教える「指導者」になる道があります。この記事では、囲碁インストラクターや将棋指導員になるには何が必要か、その道のりを解説します。
囲碁・将棋インストラクターとは:教える専門の資格

囲碁・将棋インストラクターは、囲碁や将棋を、初心者や子ども、愛好家に教える指導者です。ここで大切なのは、プロ棋士とは別のルートだという点です。プロ棋士は、厳しい棋士採用試験を勝ち抜いた、いわば勝負のプロ。一方、指導者資格は、囲碁・将棋を「教え、広める」ことを目的とした、普及のための制度です。一定の棋力(強さ)と、教える知識があれば、プロでなくても取得を目指せます。
この指導者資格は、囲碁と将棋で、それぞれ別の団体が認定しています。囲碁は日本棋院や関西棋院、将棋は日本将棋連盟が、独自の制度を設けています。名称や区分は団体によって違いますが、「棋力を身につけて、団体の認定を受け、教室などで教える」という大きな流れは共通しています。強くなることと、教えられるようになることは、じつは別のスキル。その「教える力」を認める制度だと考えると、わかりやすいでしょう。
囲碁と将棋、それぞれの資格
囲碁と将棋では、資格の制度が異なります。代表的なものを、下の表で整理しました。
| 種目 | 認定団体 | 資格の例 |
|---|---|---|
| 囲碁 | 日本棋院/関西棋院 | 囲碁普及指導員/公認囲碁インストラクター |
| 将棋 | 日本将棋連盟 | 将棋普及指導員(棋道正師範〜将棋指導員) |
囲碁では、日本棋院の「囲碁普及指導員」が代表的で、棋力に応じてB級・A級・S級といった区分があります。また、関西棋院にも「公認囲碁インストラクター」という別の制度があり、囲碁は二つの系統があるのが特徴です。将棋では、日本将棋連盟の指導員制度があり、棋道正師範から将棋指導員まで、4つの区分に分かれています。いずれも、一定の段位(免状)を持っていることが、入り口の条件になります。自分がやりたいのが囲碁か将棋か、そしてどの団体を目指すかで、進む道が変わってきます。
これらの資格を取ると、単に「教えられる」だけでなく、団体の公認という後ろ盾が得られます。たとえば将棋の指導員なら、連盟が公認する教室を開いて、その情報を連盟のサイトに載せてもらえたり、普及活動への奨励金を受けられたりします。囲碁の指導員も、地域の大会で審判や講師を務めるなど、活躍の場が広がります。「◯◯棋院公認」「連盟公認」という肩書きは、教室を開くときや、生徒を集めるときに、確かな信頼につながります。趣味で強いだけの人と、公認の指導者とでは、周囲からの見られ方も変わってくるのです。
※ 資格の正式名称や、区分、必要な棋力、費用は、団体ごとに異なり、また改定されることもあります。ここでは代表的な例を挙げていますが、挑戦する際は、必ず各団体(日本棋院・関西棋院・日本将棋連盟など)の公式情報で最新の内容を確認してください。
囲碁・将棋インストラクターになるには
では、実際に指導者になるには、どんな道のりをたどるのでしょうか。大きな流れは、次のようになります。
まず、一定の棋力を身につけることが出発点です。たとえば、将棋の指導員では三段以上(女性は二段以上)、囲碁の上位区分では六段以上、といった棋力の基準が設けられています(資格によって基準は違います)。次に、その団体の会員になります。日本棋院の会員や、将棋連盟の支部会員などです。そして、資格の申請をし、書類審査や、筆記試験・面接、あるいは認定講座の修了といった審査を経て、認定・登録されます。つまり、「強さ(棋力)」を土台にしつつ、「教える力」を審査で確かめられる、という二段構えになっているのです。棋力はあくまで入り口で、その先に指導者としての適性が問われます。
ですから、これから指導者を目指すなら、まずは自分の棋力を、基準となる段位まで高めることが第一の目標になります。アマチュアの大会に出たり、道場や教室で腕を磨いたりしながら、免状を取得していきます。そのうえで、目指す団体の会員になり、募集の時期に合わせて申請します。募集は年に一度など、時期が限られていることもあるので、早めに情報を集めておくとよいでしょう。棋力を高める道のりは、決して短くありませんが、好きな囲碁・将棋に打ち込みながら進める道でもあります。「強くなること」と「教える資格を得ること」が、地続きでつながっているのです。
活躍の場と、働き方
資格を取ると、どんな場所で活躍できるのでしょうか。教える場は、思いのほか幅広くあります。
囲碁教室や将棋教室はもちろん、子ども向けの教室、公民館や児童館、カルチャースクール、学校のクラブ活動、高齢者施設への訪問指導、そして地域の大会やイベントの運営・審判など、活躍の場は多彩です。資格があると、団体公認の教室を開いて、その情報を団体のサイトに載せてもらえたり、普及活動への奨励金を受けられたりといった、後ろ盾も得られます。ただし、正直にお伝えすると、この資格だけで大きな収入が保証されるわけではありません。多くの人は、教室の運営や、ほかの仕事と組み合わせながら活動しています。「囲碁・将棋が好きで、その楽しさを人に伝えたい」という思いが、この道を歩む原動力になります。
持ち帰り豆知識:強さと”教える力”は別のレール
囲碁や将棋というと、「強い人が教えるもの」と思いがちです。もちろん、一定の棋力は必要です。ですが、指導者資格の審査には、筆記試験や面接が含まれています。つまり、ただ強いだけでは、指導者にはなれないのです。
これは、「強さ(棋力)」と「教える力」が、別のレールにあることを表しています。自分が上手に打てる・指せることと、相手にわかりやすく教えられることは、まったく別のスキルなのです。初心者がどこでつまずくかを理解し、その人に合った言葉で伝える――そんな指導の力が、囲碁・将棋インストラクターには求められます。プロ棋士ほどの強さがなくても、教えることが得意なら、活躍できる道がある。そこに、この資格の面白さがあります。
まとめ:好きを伝える、囲碁・将棋の指導者
囲碁・将棋インストラクターは、プロ棋士とは別のルートで、囲碁や将棋を教える指導者です。囲碁は日本棋院・関西棋院、将棋は日本将棋連盟が、それぞれ資格を認定しています。なるには、一定の棋力を身につけ、団体の会員となって、審査を経て認定されるのが基本の流れ。強さだけでなく、教える力が問われます。
囲碁や将棋の楽しさを人に伝えたいなら、最初の一歩は、自分がやりたい種目と団体を決め、その資格の要件を調べてみること。必要な棋力や、申請の方法を知るところから始まります。まずは目標の段位を目指して、腕を磨くところからでもよいでしょう。囲碁・将棋人気が高まるいま、教える人の役割は、ますます大切になっています。なお、資格の名称や要件は団体ごとに違い、変わることもあるので、挑戦の前に各団体の公式情報で最新を確認してください。
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