ピアノ調律師になるには?ピアノ調律技能士を解説

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コンサートホールで、あるいは音楽教室や家庭で、ピアノの美しい音色を陰から支えているのが「ピアノ調律師」です。音楽と手仕事の両方が好きな人にとって、憧れの職業の一つでしょう。でも、「どうやったらなれるの?」「資格はいるの?」と聞かれると、案外わからないものです。じつは調律の技能を認める「ピアノ調律技能士」という国家資格があります。この記事では、その資格を軸に、ピアノ調律師になる道を解説します。

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ピアノ調律技能士とは:調律の技能を認める国家資格

ピアノ調律技能士について
「ピアノ調律技能士」とは?ピアノの調律・整調・修理技能を国が認定する国家資格(技能検定)です。JPTA(日本ピアノ調律師協会)が指定試験機関として実施。合格基準は通常より高い70%以上で、試験はチューナー禁止・音叉のみ使用可。

ピアノ調律技能士は、ピアノの調律や整調、整音、修理といった技能を、国が認定する国家資格です。技能検定制度の一つで、合格すると「◯級ピアノ調律技能士」と名乗れます(名称独占)。所管は厚生労働省で、試験は日本ピアノ調律師協会が実施しています。じつはこの資格、2011年に始まった、比較的新しい国家資格です。

知っておきたいのは、「ピアノ調律師」として働くこと自体には、じつは資格が必須ではない、という点です。調律の仕事に法律上の制限はなく、資格がなくても調律師として働くことはできます。では、この技能士は何のためにあるのでしょうか。それは、自分の技能を、国家資格という客観的な形で証明できるからです。お客さんや就職先に対して、「確かな腕を持っている」と示せる――そこに、ピアノ調律技能士を取る意味があります。

1級・2級・3級と、試験の内容

ピアノ調律技能士には、1級・2級・3級の3つの等級があります。それぞれの技能の目安を、下の表にまとめました。

技能の目安
3級アップライトピアノの基本的な調律ができる
2級アップライトとグランドの一部の調律ができる
1級グランド・アップライト両方の調律ができる

入門の3級は、アップライトピアノ(縦型のピアノ)の基本的な調律から。上位になるほど、グランドピアノまで扱えるようになり、1級では両方を高度に調律できる技能が求められます。各級とも、学科試験と実技試験があります。学科は筆記で、実技では、実際にピアノを使って調律や整調、修理の作業を行います。手を動かす実技があるのが、技能検定らしいところ。知識だけでなく、本当にピアノを整えられる腕があるかが、しっかり試されます。

調律師の仕事:音を整える職人技

そもそも、ピアノ調律師は、どんな仕事をするのでしょうか。「音を合わせる」だけではない、奥の深い仕事です。

調律師の仕事は、大きく4つあります。まず「調律」。ピアノの音の狂いを、正しい音の高さに合わせる作業です。次に「整調」。鍵盤やその内部の機構(アクション)の動きを整え、弾き心地を良くします。そして「整音」。音の色合い、響きを整えます。さらに、故障があれば「修理」もします。ピアノは、時間が経つと少しずつ状態が変わっていく楽器です。その一台一台を診断し、最良の状態に保つ――耳の良さと、繊細な手作業、そして根気が求められる、職人的な仕事です。コンサートホールから、音楽教室、個人の家庭まで、活躍の場は幅広くあります。

とりわけ、コンサートで演奏されるピアノの調律は、緊張感のある仕事です。演奏家の求める音を、本番までに整えなければなりません。ピアニストによって、好みの音の響きは違います。その要望をくみ取り、繊細に調整する――そこには、技術だけでなく、演奏家との対話の力も求められます。一方、個人の家庭では、そのピアノを弾く子どもや家族が、気持ちよく演奏できるよう整えます。相手が誰であれ、「良い音で弾いてほしい」という思いは同じ。演奏する人の喜びを、音を通じて支えるのが、調律師という仕事の醍醐味です。

ピアノ調律師になるには

では、ピアノ調律師になるには、どうすればよいのでしょうか。技術を身につける道は、大きく2つあります。

一つは、音楽系の専門学校や大学のピアノ調律科、あるいは楽器メーカーの養成機関で学ぶ道です。もう一つは、楽器店や調律の会社に就職し、見習いとして、先輩の技術を実地で身につけていく道です。どちらの道でも、まずは調律の技術を習得することが出発点になります。そのうえで、経験を積んで、ピアノ調律技能士の検定に挑戦していきます。入門の3級は、養成校を修了していれば、実務経験がなくても受けられる場合があり、在学中や卒業直後に取得を目指すこともできます。2級、1級と上がるには、実務経験が必要になり、「学校や見習いで学ぶ→3級→経験を積んで上の級へ」という、段階的なステップアップの道のりになります。

※ 各級の受検に必要な実務経験の年数や、免除の規定は、変わることがあります。また、調律師として働くこと自体に資格は必須ではありませんが、技能士は腕の証明になります。挑戦する際は、日本ピアノ調律師協会の公式情報で最新の要件を確認してください。

就職先と、独立の道

ピアノ調律師として技術を身につけたあと、働き方にはいくつかの選択肢があります。

多くの人は、まず楽器メーカーや楽器店、調律の会社などに勤めます。そこで経験を積み、腕を磨いていきます。そして、十分な技術と信頼を得たら、独立してフリーランスの調律師になる道もあります。担当のお客さんを持ち、一台一台のピアノを回って調律していく――そんな働き方です。ピアノ調律は、まさに「手に職」の仕事。経験を重ねるほど腕が上がり、長く続けられます。年齢を重ねても、培った技術で活躍できるのは、この仕事の大きな魅力です。音楽が好きで、こつこつと手を動かす作業が好きな人にとって、生涯をかけて打ち込める道だと言えるでしょう。

持ち帰り豆知識:ピアノの弦は約230本

ピアノ調律の奥深さを物語る、面白い事実があります。じつは、ピアノ1台には、約230本もの弦が張られています。88ある鍵盤に対して、低い音は1〜2本、中音から高音は1つの音に3本ずつ、弦が使われているためです。調律師は、この膨大な数の弦を、一本一本、手作業で合わせていくのです。

とくに、同じ音に張られた複数の弦を、ぴたりと同じ高さに合わせる作業は「ユニゾン」と呼ばれ、調律の要とされています。わずかな音のうなりを、耳だけで聴き分けて整えていく――まさに職人の世界です。私たちが何気なく聴いているピアノの、澄んだ美しい音。その裏には、調律師が耳を澄まし、根気よく弦と向き合った、確かな技があるのです。そう思うと、ピアノの音が、少し違って聴こえてくるかもしれません。

まとめ:技術を磨いて目指す、音の職人

ピアノ調律師は、ピアノの音を整える職人で、その技能を認める国家資格が「ピアノ調律技能士」です。1級・2級・3級があり、学科と実技で技能が試されます。調律師になるには、専門学校や見習いで技術を身につけ、経験を積んで技能検定に挑戦するのが道。手に職をつけて、長く働ける仕事です。

音楽と手仕事の両方が好きなら、最初の一歩は、ピアノ調律を学べる専門学校のカリキュラムを調べてみること。どんなことを学ぶのかを知れば、この道が自分に合うかどうかが見えてきます。ピアノの音を守る職人への道は、地道な技術の習得から始まります。なお、受検資格や試験の内容は変わることがあるので、目指す際は日本ピアノ調律師協会の公式情報で最新を確認してください。

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