
Linuxの資格を調べていると、必ず出てくるのが「LinuC(リナック)」と「LPIC(エルピック)」。名前も内容もよく似ていて、「何が違うの?」「どっちを取ればいいの?」と迷う人はとても多いはずです。じつはこの2つ、もともとは同じ資格でした。それが2018年に運営が分かれて、今の2本立てになったのです。この記事では、両者の違いを、その成り立ちから整理して解説します。
ひと目でわかる:LinuCとLPICの違い
まず、2つの資格の性格の違いを、下の表にまとめました。
| LinuC | LPIC | |
|---|---|---|
| 運営団体 | LPI-Japan(日本の団体) | LPI(カナダの国際団体) |
| 位置づけ | 日本国内向けに最適化 | 世界共通の国際資格 |
| 強み | 国内で知名度上昇中 | 海外でも通用する |
| レベル構成 | レベル1・2・3(と上位) | LPIC-1・2・3 |
大きな違いは、「日本向けか、国際向けか」という点です。LinuCは日本の団体が国内向けに整えた資格、LPICは世界で通用する国際資格です。ただし、試験の範囲やレベルの構成はよく似ています。なぜそんなに似ているのか――その理由は、2つの資格の成り立ちにあります。順に見ていきましょう。
LinuC:日本市場に最適化された認定

LinuCは、特定非営利活動法人「LPI-Japan(エルピーアイジャパン)」が運営する、日本独自のLinux技術者認定資格です。2018年に始まった、比較的新しい資格で、日本市場やクラウド時代に合わせて内容が最適化されているのが特徴です。試験は日本語が主体で、国内企業のニーズを意識してつくられています。
レベルは、物理・仮想サーバーの操作や運用を扱うレベル1から、システムやネットワークの設計・構築を扱うレベル2、さらに専門性の高い上位レベルへと段階的に上がっていきます。近年は、仮想マシンやコンテナ、クラウドといった、いまの現場で欠かせない技術が範囲に組み込まれているのも強みです。国内での就職や実務を中心に考えるなら、日本市場向けに整えられたLinuCは、有力な選択肢になります。
とくに入門のレベル1は、これからインフラエンジニアやサーバー管理の仕事を目指す人が、最初に取る資格としてよく選ばれます。Linuxの基本的なコマンド操作から、ファイルの管理、ユーザーの設定まで、現場で必要になる基礎を体系立てて学べるからです。まったくの未経験からIT業界に入る人にとっては、学ぶべきことの道しるべにもなります。求人でLinuxの知識を求められる場面は多く、資格という形で証明できれば、就職活動でのアピールにもつながります。
LPIC:世界共通の国際資格

一方のLPICは、カナダに本部を置く国際団体「LPI(Linux Professional Institute)」が認定する、世界共通のLinux技術者認定資格です。世界の多くの国で受験され、海外でも評価される国際的な資格として知られています。日本でも古くから受験されてきた、歴史のある資格です。
レベルは、LPIC-1・LPIC-2・LPIC-3の3段階。この1・2・3という構成は、LinuCとよく似ています。LPICの強みは、なんといっても国際的な通用性です。将来、海外で働くことも視野に入れている人や、グローバルに評価される資格を持っておきたい人には、LPICが向いています。世界のどこでも「Linuxの技術者だ」と証明できる、いわば世界共通のパスポートのような資格です。
Linuxそのものは、いまや世界中のサーバーやスマートフォン、クラウドの基盤を支える、なくてはならない技術です。表からは見えませんが、私たちが毎日使うウェブサービスの多くは、その裏側でLinuxが動いています。だからこそ、Linuxを扱える技術者は世界的に需要が高く、その実力を証明できるLPICのような国際資格は、海外を目指すエンジニアにとって心強い武器になります。実力そのものは国境を越えて通用するものですから、それを客観的に示せる資格の価値は小さくありません。
なぜこんなに似ている?「もとは一つ」だった
2つの資格がここまで似ているのには、はっきりした理由があります。じつは、もともとは同じ資格だったのです。
もともと日本では、LPI-JapanがLPI本部と契約し、日本国内でLPICを実施していました。つまり、日本人が受けるLinux資格といえば、長らくLPICだったのです。ところが2018年、LPI-Japanが独自資格のLinuCを立ち上げます。試験問題の品質管理や漏洩対策を自分たちで担いたい、という方針の違いが背景にあったとされます。これを受けてLPI本部も、日本支部を設けて直接LPICの提供を始めました。こうして、一つだった資格をめぐって運営が2つに分かれ、今の「LinuCとLPIC」という2本立てになったのです。範囲や構成が似ているのは、もとが同じだったからなのです。
※ 分裂の経緯や各資格の最新のレベル構成(上位レベルの再編など)は、年によって更新されています。細かな試験科目や料金とあわせて、受験の前に各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。
どっちを選ぶ?国内か、海外か
目的から整理すると、選び分けの軸が見えてきます。
- 国内での就職・実務が中心→LinuC(日本企業向けに最適化され、国内で知名度上昇中)
- 海外で働くことも視野に入れたい→LPIC(世界共通で、海外でも通用する)
- とにかくLinuxの実力をつけたい→受けやすいほうでよい(範囲が近く、学習が両方に活きる)
ポイントは、「働く場所を国内に置くのか、海外も視野に入れるのか」です。国内中心ならLinuC、国際的な通用性が欲しいならLPIC、という軸で選べば、迷いません。うれしいことに、試験範囲が近いため、片方の勉強がもう片方にもそのまま活きます。まずは受けやすいほうから始めて、あとで必要に応じてもう一方を取る、という進め方もできます。
持ち帰り豆知識:範囲が近いから”両にらみ”もできる
LinuCとLPICは、もとが同じだけあって、試験の範囲が大きく重なっています。これは、学習する側にとっては、じつはうれしい話です。というのも、片方の資格に向けて勉強した知識が、そのままもう片方の対策にも使えるからです。
「国内向けのLinuCを取ったあと、海外も視野に入ってきたのでLPICも受ける」といった進め方も、無理なくできます。どちらか一方で迷って立ち止まるより、まずはLinuxそのものをしっかり学ぶことが、結局はどちらの資格にも近道になります。2つの資格は、ライバルであると同時に、地続きの関係でもあるのです。
まとめ:働く場所で選べば迷わない
LinuCは日本国内向けに最適化された認定、LPICは世界共通の国際資格。もともとは同じ資格でしたが、2018年に運営が分かれて、今の2本立てになりました。試験範囲やレベル構成が似ているのは、そのためです。国内中心ならLinuC、海外も視野ならLPIC、と働く場所で選べば、迷いません。
最初の一歩は、自分が国内と海外、どちらで働く姿を思い描いているかを考えてみること。そのうえで、レベル1(LPIC-1)の出題範囲を調べてみると、学ぶべきことの全体像がつかめます。なお、試験の科目や料金、レベルの構成は改定されることがあるので、受験の前に各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。
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