
海外の大学への留学を考えると、まず立ちはだかるのが「英語力の証明」です。その代表格が、TOEFL(トーフル)とIELTS(アイエルツ)。どちらも世界で通用する英語試験ですが、「何が違うの?」「留学するならどっちを受ければいいの?」と迷う人はとても多いはずです。この記事では、2つの試験の違いを、スピーキングの方式や強い地域といった実際の選び方に直結するポイントから整理します。
ひと目でわかる:TOEFLとIELTSの違い
まず、2つの試験の性格の違いを、下の表にまとめました。
| TOEFL iBT | IELTS | |
|---|---|---|
| 発祥・運営 | アメリカ(ETS) | イギリス系(3団体の共同) |
| 強い地域 | 北米(アメリカ・カナダ) | 英・豪・NZなど+移住 |
| スピーキング | パソコンに録音 | 試験官と対面で会話 |
| 受験方式 | すべてパソコン | パソコン中心 |
いちばん大きな違いは、スピーキングの方式です。TOEFLはパソコンのマイクに向かって話すのに対し、IELTSは試験官と対面で会話します。この形式の好き嫌いが、多くの人にとって決め手になります。順に見ていきましょう。
TOEFL iBT:北米に強い、パソコン完結型

TOEFLは、アメリカのETS(エデュケーショナル・テスティング・サービス)という団体が運営する英語試験です。とくにアメリカやカナダの大学への出願で広く使われており、「北米留学ならTOEFL」というイメージを持つ人も多いでしょう。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能を、すべてパソコンで受験します。テストセンターのほか、自宅でのオンライン受験も選べます。
TOEFLの特徴は、スピーキングもパソコンのマイクに向かって話し、その音声を録音して採点する点です。試験官と直接話すのが苦手で、「人前より、パソコンに向かって落ち着いて話したい」という人には、この方式が合っています。出題は大学の講義やキャンパスの場面を想定したアカデミックな内容が中心で、留学後の勉強に直結した力が問われます。
なお、TOEFLは2026年からスコアの表し方が新しくなり、それまでの「120点満点(各技能30点)」から、後述するIELTSに近い1〜6のバンド制へと移行が進んでいます。移行期のあいだは、従来の120点換算のスコアもあわせて表示されるとされています。受験する際は、志望校がどの形式のスコアを求めているかを含め、公式サイトで最新の情報を必ず確認してください。
IELTS:英連邦圏に強く、移住でも使える

IELTSは、イギリスのブリティッシュ・カウンシルなど3つの団体が共同で運営する英語試験です。イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・カナダといった英連邦圏の国々で広く使われており、大学への留学だけでなく、移住や就労ビザの申請にも使えるのが大きな強みです。「留学のその先、海外での就労や移住まで考えている」という人には、心強い選択肢になります。
IELTSには、大学進学向けの「アカデミック」と、移住・就労向けの「ジェネラル・トレーニング」の2種類があり、目的に合わせて選べます。スピーキングは試験官との対面インタビュー形式で、実際に人と会話しながら進みます。「人と話すのは得意」「機械に向かって話すより、相手の反応を見ながら話したい」という人には、こちらのほうが力を出しやすいでしょう。スコアは各技能を1〜9のバンドで評価し、その平均で総合スコアが決まります。
いちばんの違いは「スピーキングの方式」
2つの試験でもっとも性格が分かれるのが、スピーキングです。ここが、受験者の向き不向きを大きく左右します。
TOEFLは、パソコンのマイクに向かって話し、その録音が採点されます。相手はいないので、緊張しやすい人でも、目の前の人の反応を気にせず、自分のペースで話せます。一方のIELTSは、試験官と向かい合っての会話です。人と話すのが得意な人は、相手のうなずきや相づちに助けられて、自然に話を続けやすいでしょう。逆に、対面だと緊張してしまう人は、TOEFLの録音式のほうが落ち着けるかもしれません。「自分はどちらの状況で実力を出せるか」を想像してみることが、試験選びの大きなヒントになります。
試験時間や構成にも、少し違いがあります。TOEFLは4技能をまとめて受け、全体でおよそ2時間ほど。IELTSは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングを合わせて2時間45分ほどかかり、スピーキングだけ別の日程になることもあります。長時間の集中が続くのが苦手なら、スピーキングを分けて受けられる場合があるIELTSのほうが、負担を感じにくいかもしれません。こうした「受け方」の違いも、相性を左右する一つの要素です。
※ どちらの試験が難しいかは、一概には言えません。得意・不得意は人によって違うので、「スコアが出しやすい形式」を基準に選ぶのがおすすめです。可能なら、両方の問題を一度体験してみると、自分に合うほうが見えてきます。
どっちを選ぶ?目的別の考え方
目的から整理すると、選び分けははっきりしてきます。
- アメリカ・カナダの大学が中心/パソコンに向かって話すほうが落ち着く→TOEFL
- イギリス・オーストラリア・NZが中心/留学に加えて移住・就労も視野に→IELTS
- 試験官と会話するのが得意、相手の反応を見ながら話したい→IELTS
- 人前で話すのが苦手で、機械に向かって話すほうが安心→TOEFL
まずは、志望校や志望する国が、どちらのスコアを求めているかを確認するのが第一歩です。多くの大学は両方を受け付けていますが、国や学校によって、求めるスコアや扱いが違うことがあります。そのうえで、スピーキングの形式など、自分が力を出しやすいほうを選べば、後悔のない選択ができます。
持ち帰り豆知識:採点方式が”似てきた”
これまで、TOEFLとIELTSは「120点満点のTOEFL」「9.0満点のIELTS」と、スコアの見た目がまったく違うのが特徴でした。ところが、TOEFLが2026年からバンド制へ移行したことで、両者のスコアの表し方が近づきつつあります。長年の「120点か、9.0か」という分かりやすい対比が、変わろうとしているのです。
試験の制度は、こうして時代に合わせて少しずつ変わっていきます。だからこそ、受験を決めたら、古い情報だけを頼りにせず、必ず公式サイトで最新のルールを確かめることが大切です。スコアの仕組みや受験方式が変わっていることに、出願直前になって気づく――そんな事態を避けるためにも、最新情報の確認を習慣にしておきましょう。
まとめ:形式で選べば失敗しない
TOEFLは北米に強くパソコン完結型、IELTSは英連邦圏に強く移住でも使える対面型。いちばんの違いはスピーキングの方式で、パソコンに録音するか、試験官と会話するかで、向き不向きが分かれます。難易度に絶対の優劣はなく、「自分が力を出しやすい形式」で選ぶのが正解です。
最初の一歩は、志望する大学や国が求めるスコアを調べること。そのうえで、両方の問題を少し体験してみて、しっくりくるほうを選ぶとよいでしょう。なお、TOEFLのスコア移行やIELTSの受験方式など、制度は変更が進行中です。出願の前に、必ず各試験の公式サイトと志望校の最新要件を確認してください。
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