
「クラウドの資格を取りたいけれど、AWSとAzure、どっちの入門資格から始めればいいのか分からない」――クラウド未経験からIT・インフラ系の仕事を目指す方が、最初にぶつかる分かれ道です。この記事では、両者の入門資格を問題数・受験料・合格ラインという実数で比較したうえで、あなたの目的別におすすめの1本目を提示します。
今の環境と目指す仕事で一発判定:早見表
細かい理屈はあとから説明するとして、まず結論からお渡しします。自分の状況に一番近い行を見てください。
| あなたの状況 | おすすめの入門資格 | 目安期間 |
|---|---|---|
| クラウドエンジニア・インフラエンジニアへの転職を目指す | AWS Certified Cloud Practitioner | 1〜2か月 |
| 今の会社が大企業・官公庁でMicrosoft製品(Office 365・Windows Server等)を使っている | Azure Fundamentals(AZ-900) | 1〜2か月 |
| とにかく求人数が多い方から市場価値をつけたい | AWS Certified Cloud Practitioner | 1〜2か月 |
| 非エンジニア(営業・企画職)がクラウドの基礎教養として取りたい | Azure Fundamentals(AZ-900) | 3〜4週間 |
「自分はこれだ」と決まった方は、後半の「目的別おすすめルート」まで読み飛ばしてもらって構いません。判断の根拠を確認したい方は、このまま読み進めてください。
資格の全体像は「4段階」対「3段階」
AWS認定とAzure認定は、どちらも入門資格の先に階層が続く「資格体系」です。まず全体の地図を押さえておくと、入門資格がどこに位置するかが分かります。
AWS認定は12種類以上・4段階、入門はCloud Practitioner

AWS認定は、世界シェアNo.1のクラウドサービス「Amazon Web Services」の技術力を証明する資格体系です。Foundational(基礎)→Associate(中級)→Professional(上級)→Specialty(専門)の4段階、12種類以上の試験で構成されています。入門にあたるのがFoundationalの「AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)」で、IT・クラウドの実務経験がなくても挑戦できる設計です。
Azure認定は3段階、入門はAzure Fundamentals(AZ-900)

Azure認定は、Microsoftが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の技術力を証明する公式資格体系です。「日本マイクロソフト主催」という説明を見かけることがありますが、正確には米国Microsoft本社が定める世界共通の認定制度で、日本法人が独自に運営しているわけではありません。階層はFundamentals(基礎)→Associate(中級)→Expert(上級)の3段階で、入門は「Azure Fundamentals(AZ-900)」です。
※ Azureの最大の強みは、Office 365やWindows ServerといったMicrosoft製品群との親和性の高さです。既存のMicrosoft環境を持つ大企業・官公庁のクラウド移行で、Azureが選ばれやすい理由になっています。
入門資格を数字で比べる:問題数・時間・費用・合格ライン
ここからは、実際に受験する入門資格2つを、公式サイトの情報をもとに実数で比較します。
| 項目 | AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02) | Azure Fundamentals(AZ-900) |
|---|---|---|
| 受験料 | 100ドル | 約99ドル |
| 試験時間 | 90分 | 45分 |
| 出題数 | 65問 | 40〜60問程度(非公開) |
| 合格ライン | 1000点満点中700点 | 1000点満点中700点 |
| 出題形式 | 択一・複数選択 | 択一・ドラッグ&ドロップ等 |
| 受験形式 | テストセンター/オンライン監視 | テストセンター/オンライン監視 |
費用はほぼ互角、拘束時間はAzureの方が短い
受験料はCLF-C02が100ドル、AZ-900が約99ドル(国・地域により多少前後します)とほぼ同額です。一方、試験時間はCLF-C02が90分・65問なのに対し、AZ-900は45分と半分程度で終わります。1問あたりにかけられる時間はどちらも同程度ですが、当日の拘束時間や集中力の持続という点では、AZ-900の方が負担は軽めです。
合格ラインは同じ700点、でも「ゴールまでの近さ」が人によって違う
興味深いことに、合格ラインはCLF-C02・AZ-900ともに1000点満点中700点で共通しています。単純な難易度差はほとんどないと考えてよいでしょう。差がつくのは「今の自分のスタート地点からの距離」です。すでにWindows ServerやActive Directoryの実務経験がある方は、AZ-900の学習内容の一部がすでに頭に入っているため、体感の学習時間は短くなります。逆に、Linuxサーバーやオープンソース系のインフラに触れてきた方は、AWSの用語やサービス名の方が馴染みやすい傾向があります。
目的別おすすめルート
未経験からクラウドエンジニアに転職したい人
求人数・案件数の絶対量で見ると、日本国内でも世界的にもAWS案件が最も多く、クラウド未経験からの転職市場ではAWSの知識が「まず聞かれる」項目になりがちです。AWS Certified Cloud Practitionerで基礎を固めたあと、実務で最も評価されるAssociateレベルの「AWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA)」まで視野に入れて学習計画を立てるのがおすすめです。目安は、Cloud Practitionerに1〜2か月、SAAまで含めて4〜6か月です。
社内SE・情報システム部門でMicrosoft製品を扱っている人
すでにOffice 365やWindows Server、Active Directoryの管理業務をしている方は、Azure Fundamentals(AZ-900)から始めるのが最短ルートです。今の業務知識がそのまま試験範囲と重なる部分が多く、学習の無駄が少なくなります。次のステップとして、Azureの管理・運用を扱う「Azure Administrator Associate(AZ-104)」に進むと、実務での評価にも直結します。
どちらの会社に進むか決まっていない・両方試したい人
入門資格はどちらも受験料が1万円台前半・学習時間40〜80時間程度と負担が軽いため、「両方受けてみる」のも現実的な選択肢です。おすすめの順序は、まずAWS Certified Cloud Practitionerで世界的に共通するクラウドの基礎用語(仮想化・従量課金・リージョンなど)を押さえ、そのあとAzure Fundamentalsに進む流れです。共通する基礎概念が多いため、2つ目の学習時間はさらに短縮できます。
持ち帰り豆知識:入門資格なのに「有効期限」が全く違う
AWS認定は、Cloud Practitionerを含むすべてのレベルが「取得から3年」で失効します。3年以内に再受験するか、上位レベルの試験に合格しないと、資格が失効扱いになる仕組みです。
一方でAzure Fundamentals(AZ-900)は、Microsoftの認定資格の中で唯一「有効期限なし」の資格です。一度合格すれば、再受験も更新手続きも不要で一生涯有効なままとされています(Associate以降は1年ごとの無料オンライン更新が必要になります)。同じ「入門資格」という立ち位置でも、資格としての性格がここまで違うのは、クラウド資格を比較して初めて見えてくるポイントです。
「とりあえず形に残る勉強がしたい」という人にとっては、この違いも1本目を選ぶ材料になるはずです。
まとめ:まずは1問目を解いてみる
クラウド未経験者がAWSとAzure、どちらの入門資格から始めるべきかは、目指す仕事とすでに触れている環境で決まります。転職市場での知名度と案件数を重視するならAWS Certified Cloud Practitioner、今の職場のMicrosoft環境を活かしたいならAzure Fundamentals(AZ-900)が近道です。迷ったら、記事冒頭の判定表にもう一度戻ってみてください。
最初の一歩として、どちらの資格も公式サイトが無料の練習問題・学習ガイドを公開しています。まずは10問だけ解いてみて、自分にとって「読みやすい・とっつきやすい」と感じた方から本格的に学習を始めるのが、最も失敗の少ない選び方です。
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