福祉用具選定士について

実技試験あり筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

福祉用具選定士とは?

概要・難易度・「福祉用具プランナー」との違いを解説

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福祉用具選定士の概要

福祉用具選定士は、一般社団法人日本福祉用具供給協会(東京都港区浜松町、旧・全国福祉用具供給協会)が独自に創設した民間資格です。ベッドや車いす、歩行器、床ずれ防止用具、リフトといった福祉用具について、利用者本人やケアマネジャーに対してより専門性の高い選定情報を提供できる人材を育成することを目的としています。

福祉用具専門相談員とは、介護保険制度上、福祉用具の貸与・販売事業所に必置とされる資格です。福祉用具選定士は、この福祉用具専門相談員としての実務を積んだ人が、さらに専門性を高めるために取得する上位資格という位置づけになります。

試験の出題範囲と形式

福祉用具選定士は、単一の資格でありながら「A研修(ベッド・車いす編)」と「B研修(歩行器・床ずれ防止・リフト編)」という2種類の研修の両方を修了して初めて認定されるという、やや変わった制度設計になっています。等級区分(1級・2級など)は設けられていません。

A研修は3日間の日程で、最終日に筆記試験が実施されます。B研修は2日間の日程で、こちらも最終日に筆記試験があります。片方の研修だけを修了しても福祉用具選定士としては認定されず、両方の研修を修了・合格して初めて資格が成立する仕組みです。

受験資格・対象者

受験対象となるのは、福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験を持つ人です。加えて、保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士といった専門職の資格保有者も対象に含まれています。誰でも気軽に受けられる試験ではなく、福祉・医療の現場で一定の経験を積んだ人を対象とした、実務直結型の資格といえます。

「福祉用具プランナー」との違い

福祉用具の専門資格としては、公益財団法人テクノエイド協会が主催する「福祉用具プランナー」がすでによく知られています。名称も役割も似ているため混同されやすいのですが、福祉用具選定士とは主催団体がまったく異なる別の資格です。

福祉用具選定士は日本福祉用具供給協会(福祉用具の販売・レンタル事業者などが加盟する業界団体)が主催しているのに対し、福祉用具プランナーはテクノエイド協会(福祉用具の研究開発支援や情報提供を担う公益財団法人)が主催しています。運営元が違うため、研修内容やカリキュラムの立て付け、重視するポイントにもそれぞれの団体らしい特色があります。同じ「福祉用具の専門性を高める資格」という括りで語られがちですが、まったく別の資格として区別して理解しておく必要があります。

※ 資格名が似ている場合でも、主催団体が異なれば研修の内容・受験要件・認定基準は別物です。求人票や研修案内を見るときは、どちらの資格を指しているか団体名まで確認すると安心です。

難易度・学習時間の目安

★★★☆☆ 実務経験2年以上が前提の中級資格。研修と筆記試験の両方をクリアする必要あり

福祉用具選定士は、独学で挑む筆記試験というより、指定された研修プログラムを受講しながら知識を積み上げていくタイプの資格です。A研修は3日間、B研修は2日間という日程が組まれており、それぞれの最終日に筆記試験が行われます。研修そのものが体系立ったカリキュラムになっているため、事前に分厚い専門書を読み込んでおくというより、福祉用具専門相談員としての実務経験の中で培った知識を、研修を通じて整理し直すイメージに近いといえます。

とはいえ、受験対象がそもそも福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験を持つ人、あるいは看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士といった専門職資格を持つ人に限られているため、前提となる知識水準は決して低くありません。A研修・B研修の両方を修了して初めて認定されるという制度も、学習の負担を相応に大きくしている要因です。

※ 福祉用具選定士の合格率は公表されていません。研修修了者名簿の公開も、個人情報保護の観点から現在は取りやめられているとされています。そのため難易度は「実務経験を積んだ人向けの中級資格」という位置づけで捉えるのが実情に近いといえます。

合格率の目安:公式には非公表です。研修受講後の筆記試験という形式のため、母数・合格ラインともに外部への発表はされていません。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

福祉用具専門相談員(レンタル・販売事業所)

福祉用具のレンタル・販売事業所に勤める福祉用具専門相談員にとって、福祉用具選定士は日々の業務そのものの専門性を底上げする資格です。ベッドや車いすの適合、床ずれ防止用具の選び方など、利用者一人ひとりの身体状況に合わせた提案力が問われる場面で、研修を通じて得た体系的な知識が実務の裏付けになります。

ケアマネジャーとの連携担当

福祉用具の選定は、ケアマネジャーが作成するケアプランと密接に関わります。福祉用具選定士の知識を持つ専門相談員は、ケアマネジャーに対して「なぜこの用具が適しているのか」を専門的な根拠とともに説明できるため、事業所とケアマネジャーとの信頼関係づくりにも役立ちます。

リハビリ職・介護職との橋渡し役

受験資格に理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士なども含まれていることからもわかるように、この資格はリハビリ職や介護職の視点と、福祉用具のプロとしての視点を橋渡しする役割も期待されています。多職種連携が求められる在宅介護の現場で、共通言語を持つ存在として動けることは大きな強みになります。

誕生の背景・歴史

福祉用具供給業界による自主的な人材育成の取り組み

福祉用具選定士は、福祉用具のレンタル・販売事業者などが加盟する業界団体である日本福祉用具供給協会(旧・全国福祉用具供給協会)が、自らの業界の専門性を高めるために創設した資格です。介護保険制度のもとで福祉用具専門相談員という基礎資格はすでに存在していましたが、現場では「もう一段専門的な知識を持つ人材を育てたい」というニーズが業界内から生まれ、それに応える形で研修と認定の仕組みが整えられました。

A研修・B研修の2本立て構成への発展

福祉用具と一口にいっても、ベッド・車いすのような基本的な用具と、床ずれ防止用具やリフトのような専門性の高い用具とでは、必要とされる知識の性質が異なります。そこで研修はA研修(ベッド・車いす編)とB研修(歩行器・床ずれ防止・リフト編)に分けて構成され、両方を修了することで初めて資格として認定される形に整理されました。この2階建ての構成は、幅広い用具カテゴリーを1つの資格でカバーしようとする業界団体らしい工夫といえます。

※ 有効期間や更新制度についての明記は公式ページ上に見当たらず、更新の要否は不明です。制度の詳細が気になる場合は、日本福祉用具供給協会へ直接問い合わせるのが確実です。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

レンタル・販売事業所でキャリアを積みたい福祉用具専門相談員

すでに福祉用具専門相談員として2年以上働いている人が、次のステップとして取得を目指すケースが中心です。日々の提案業務の質を高め、利用者やケアマネジャーからの信頼を厚くしたいという実務直結の動機で受講する人が多いといえます。

リハビリ職・福祉職から用具の専門性を広げたい人

理学療法士や作業療法士、介護福祉士、社会福祉士として在宅介護に関わる中で、福祉用具そのものの知識を体系的に学びたいと考える人も対象に含まれています。リハビリの視点と用具選定の視点を両方持つことで、支援の幅を広げたいという人に向いています。

事業所内で用具選定の中核を担いたい人

事業所の中で「この人に相談すれば間違いない」と頼られる存在になりたいという人にも選ばれています。A研修・B研修の両方を修了する必要がある分、取得後は事業所内でも一目置かれる立場になりやすい資格です。

豆知識:2つの研修をそろえないと成立しない、珍しい認定方式

片方だけでは「認定なし」という制度上の特異点

多くの資格は、1回の試験や1つの研修を修了すれば認定されるのが一般的です。ところが福祉用具選定士は、A研修(3日間・ベッド・車いす編)とB研修(2日間・歩行器・床ずれ防止・リフト編)という、内容も日程も異なる2つの研修をどちらも修了・合格しない限り、資格そのものが成立しません。片方だけを修了した状態では「福祉用具選定士」を名乗ることはできず、あくまで両方そろって初めて1つの資格になるという、やや珍しい制度設計になっています。

受講料は正会員と一般で差がある仕組み

令和8年度の受講料は、A研修が正会員26,000円・一般30,000円(いずれも3日分の昼食込み)、B研修が正会員22,000円・一般26,000円(2日分の昼食込み)と案内されています。日本福祉用具供給協会の会員事業所に所属しているかどうかで金額が変わる仕組みは、業界団体が主催する研修型資格ならではの特徴といえます。A研修とB研修を合計すると、正会員でも48,000円、一般では56,000円ほどの費用がかかる計算になり、決して軽い負担ではありません。

※ 受講料や日程は年度によって変わる可能性があります。申し込みの際は必ず日本福祉用具供給協会の公式サイトで最新情報を確認してください。

まとめ ― 「選ぶ力」を専門資格で裏付ける

こんな方にとくにおすすめ

  • 福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験があり、専門性をさらに高めたい方
  • 理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士など専門職として在宅介護に関わっている方
  • ベッド・車いすだけでなく、床ずれ防止用具やリフトまで幅広い用具知識を体系的に身につけたい方
  • ケアマネジャーや利用者からより信頼される福祉用具の提案力を身につけたい方

取得に向けた第一歩

まずは自分が福祉用具専門相談員として2年以上の実務経験を満たしているか、あるいは対象となる専門職資格を持っているかを確認しましょう。そのうえで、日本福祉用具供給協会の公式サイトでA研修・B研修それぞれの開催日程・会場・受講料を確認し、両方の研修を計画的に受講することが取得への近道です。似た名前の「福祉用具プランナー」とは主催団体も研修内容も異なる別の資格なので、案内を見る際は主催団体名まで確認して取り違えないようにしましょう。

公式サイト:福祉用具選定士|一般社団法人日本福祉用具供給協会