福祉用具専門相談員について

実技試験あり筆記試験誰でも受験可
公的資格

福祉用具専門相談員とは?

概要・難易度・取得後に活かせる仕事を解説

福祉用具専門相談員の概要

福祉用具専門相談員は、車いすや介護用ベッド、歩行器といった「福祉用具」を、利用者の身体状況や生活環境に合わせて選び、使い方をアドバイスする専門職に必要な資格です。介護保険を利用して福祉用具をレンタル・購入する際には、この資格を持つ専門相談員が関わることが法律で定められています。

福祉用具とは、車いす・介護用ベッド・歩行器・手すりなど、高齢者や障がいのある人の生活を支えるための道具のことです。介護保険を使ってレンタルしたり購入したりすることができます。

事業所への「必置義務」がある資格

介護保険制度では、福祉用具のレンタル・販売を行う事業所(福祉用具貸与事業所など)に、福祉用具専門相談員を2名以上配置することが義務付けられています。つまりこの資格は、特定の業務を行う事業所が運営を続けるうえで、必ず一定数の有資格者を必要とする「事業に必須の資格」という性格を持っています。

取得方法は「講習修了」のみ

福祉用具専門相談員の資格は、都道府県の指定を受けた講習実施機関が行う「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、修了することで取得できます。合計50時間の講習を受け、各科目の修了評価をクリアすれば資格が得られ、別途、筆記試験を受ける必要はありません。

受講資格・対象者

受講資格に年齢・学歴などの制限はなく、誰でも受講できます。介護の仕事が未経験でも、50時間の講習を修了すれば資格を取得できるため、介護・福祉業界への入り口として選ばれることもあります。

福祉用具専門相談員指定講習とは、都道府県知事の指定を受けた事業者が実施する講習で、修了することで福祉用具専門相談員として業務にあたることができます。

難易度・学習時間の目安

★☆☆☆☆ 合否を判定する試験はなく、50時間の講習修了が取得の条件

学習時間は、講習で定められている50時間がそのまま目安になります。福祉用具の種類や特徴、選び方の基本、利用者の身体状況に応じた調整方法など、実物に触れながら学ぶ実習形式の科目も含まれているため、座学だけでなく体験を通じて理解を深めていく構成になっています。福祉用具は新製品が次々に登場する分野でもあるため、講習で学ぶ「選び方の考え方」を身につけておくと、資格取得後も新しい製品に対応しやすくなります。

修了率の目安:50時間の講習にきちんと出席し、各科目の修了評価をクリアすれば、ほぼ全員が資格を取得できるとされています。「落とすための試験」ではなく、必要な知識・技術を身につけたかどうかを確認する位置づけです。

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、要介護者が必要とするサービスの種類や量を計画(ケアプラン)としてまとめる専門職です。福祉用具の利用も、このケアプランに沿って行われます。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

福祉用具貸与事業所のスタッフ

車いすや介護用ベッドなどのレンタルを行う事業所では、利用者の身体状況や住環境に合わせて適切な福祉用具を選定し、使い方を説明する役割が必要です。福祉用具専門相談員は、こうした事業所で働くために欠かせない資格です。

福祉用具販売店・ドラッグストアの介護用品売り場

介護用品を販売する店舗でも、利用者やその家族に対して、商品の選び方や使い方をアドバイスする場面があります。福祉用具専門相談員の知識は、こうした接客の場面で、専門的な視点からのアドバイスを行う際に役立ちます。

ケアマネジャーと連携するスタッフ

福祉用具の利用は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて行われます。福祉用具専門相談員は、ケアマネジャーや利用者本人・家族と相談しながら、最適な福祉用具を提案する橋渡し役としての役割も担います。

誕生の背景・歴史

介護保険制度と「福祉用具」というサービスの誕生

2000年に介護保険制度が始まったことで、車いすや介護用ベッドなどの福祉用具を、介護保険を使ってレンタル・購入できる仕組みが整いました。これにより、福祉用具を利用する高齢者・障がい者が大きく増えました。一方で、利用者の身体状況に合わない福祉用具を選んでしまうと、かえって転倒などのリスクが高まるという課題も明らかになりました。

「選ぶ専門家」を制度として位置づけ

こうした背景から、福祉用具を専門的な視点で選定し、利用者に合わせて調整・説明できる人材を、事業所に必ず配置することが制度として定められました。福祉用具専門相談員は、福祉用具という「もの」を扱う仕事に、専門的な「知識」を組み合わせるために整備された資格です。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

介護・福祉業界への入り口として取得する人

50時間の講習で取得できる手軽さから、介護・福祉業界での仕事に興味があるものの、いきなり長期間の研修に踏み出すのはハードルが高いと感じる人が、最初の一歩として取得するケースがあります。

福祉用具販売・レンタル業界で働く人

すでに福祉用具の販売・レンタルに関わる仕事をしている人が、業務上必要な資格として、また専門性を高める目的で取得するケースも多く見られます。

家族の介護で福祉用具を選ぶ知識を持ちたい人

仕事としてではなく、自宅で家族の介護をしている人が、車いすやベッドなどを選ぶ際の基礎知識を身につけたいという理由で講習を受講するケースもあります。

豆知識:介護福祉士なら「自動的に」この資格を持っている

講習を受けなくても資格者とみなされる人たち

福祉用具専門相談員には、50時間の講習を受講して取得する以外のルートもあります。介護福祉士や看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士などの資格をすでに持っている人は、講習を受けなくても福祉用具専門相談員とみなされます。これは、これらの資格を取得する過程で、福祉用具に関する知識もすでに身につけているとみなされているためです。

理学療法士・作業療法士とは、リハビリテーションの専門職で、体の機能回復や日常生活動作の改善を支援する国家資格です。福祉用具の選定にも関わる専門知識を持っています。

「もの」を通じて生活を支えるという視点

介護というと、人が人をケアするイメージが強いですが、福祉用具専門相談員の仕事は「適切な道具を選ぶ」ことを通じて、利用者の自立した生活を支えるという、少し違った角度からのアプローチです。同じ車いすでも、利用者の体格や住まいの環境によって適したものは異なり、「ものを選ぶ」という行為の中に、利用者一人ひとりへの理解が求められます。

まとめ ― 福祉用具専門相談員は「ものを通じて自立を支える」資格

こんな方にとくにおすすめ

  • 介護・福祉業界での仕事に興味があり、まずは取り組みやすい資格から始めたい方
  • 福祉用具の販売・レンタルに関わる仕事をしている、または目指している方
  • 家族の介護のために、福祉用具を選ぶ基礎知識を身につけたい方

取得に向けた第一歩

まずは、お住まいの地域で福祉用具専門相談員指定講習を実施している機関を探してみましょう。50時間という時間数は決して短くありませんが、合否を心配する必要のない講習形式のため、介護・福祉の世界に踏み出す最初の一歩として取り組みやすい資格です。