認定看護管理者について

筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

認定看護管理者とは?

概要・難易度・合格率・キャリアを解説

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認定看護管理者(CNA)の概要

認定看護管理者(CNA)は、公益社団法人日本看護協会が運営する資格認定制度のひとつで、看護組織を経営的な視点でマネジメントできる人材であることを証明する民間資格です。看護師長や看護部長といった役職に就く、あるいは就くことをめざす看護師が取得するケースが多く、病棟や病院全体の看護サービスの質を組織的に高める役割を担います。

CNAとは、Certified Nurse Administrator(認定看護管理者)の略称です。日本看護協会の認定資格には他に専門看護師(CNS)・認定看護師(CN)がありますが、CNAはその中でも「管理」に特化した唯一の資格です。

試験の出題範囲と形式

認定看護管理者になるには、書類審査に加えて筆記試験に合格する必要があります。試験は四肢択一のマークシート方式による一般問題と、実際の看護管理の現場を想定した状況設定問題で構成されているとされています。面接試験は課されておらず、年1回のペースで実施されるのが特徴です。

出題範囲は看護管理の理論だけにとどまりません。人事労務管理・医療経済・財務会計・組織分析・リスクマネジメントなど、一般企業の経営学に近い内容まで幅広くカバーしている点が、他の看護系資格とは大きく異なります。

状況設定問題とは、実際の病棟運営や人員配置などの場面を想定し、管理者としてどう判断・対応するかを問う出題形式のことです。単なる知識の暗記では対応しづらく、実務感覚が問われます。

受験資格・対象者

受験には、看護師免許を取得したうえで通算5年以上の実務経験があることが前提となります。そのうえで、①認定看護管理者教育課程のサードレベルを修了しているか、②看護管理に関連する学問領域で修士以上の学位を取得しているか、のいずれかを満たす必要があります。

教育課程はファーストレベル(105時間)・セカンドレベル(180時間)・サードレベル(180時間)の3段階に分かれており、多くの受験者はこの階段を順番に上ってサードレベル修了という条件を満たしています。

「ケアの専門家」ではなく「マネジメントの専門家」

日本看護協会が認定する資格には、ほかに専門看護師(CNS)認定看護師(CN)がありますが、これらは特定の看護分野において高度な実践能力を発揮する「ケアのスペシャリスト」です。これに対して認定看護管理者は、患者に直接ケアを提供する立場ではなく、看護組織全体を経営・運営する「マネジメントのスペシャリスト」であることが最大の違いです。

そのため学習範囲も、感染管理や緩和ケアといった臨床知識ではなく、経営戦略・財務諸表の読み方・労務管理・組織開発といった、病院という組織を動かすための知識に重点が置かれています。看護師としてのキャリアの延長線上にありながら、求められる能力の質がまったく異なる資格だといえるでしょう。

難易度・学習時間の目安

★★☆☆☆ やや易(合格率80%程度)

筆記試験だけを見ると合格率は例年80%程度と高めで、数字だけを見れば「やや易」に分類されます。ただし、この数字は受験資格を得るまでのハードルの高さを差し引いて考える必要があります。看護師免許取得後5年以上の実務経験に加え、105時間・180時間・180時間という合計465時間分の教育課程を修了して初めて土俵に立てる試験であり、受験者はすでに現場で豊富な経験を積んだ看護師長候補・看護部長候補が中心です。

学習内容も看護学というより経営学・労務管理・財務会計に近く、これまで臨床畑を歩んできた看護師にとっては初めて触れる分野が多くなります。教育課程の受講と並行して、医療経営や組織行動論のテキストで基礎を固めておくと、筆記試験の状況設定問題にも対応しやすくなるでしょう。

サードレベルとは、認定看護管理者教育課程の最終段階で、組織経営や政策提言に関わる能力を養う180時間のカリキュラムです。ファーストレベル・セカンドレベルを経て受講するのが一般的な流れとされています。

合格率の目安:例年80%程度。専門看護師・認定看護師に比べて高めの水準です。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

看護師長

病棟単位のマネジメントを担う看護師長は、認定看護管理者の知識をもっとも直接的に活かせるポジションです。人員配置・勤務シフトの調整・スタッフ育成など、日々の組織運営に経営視点を持ち込めるようになります。

看護部長

病院全体の看護部門を統括する看護部長は、認定看護管理者資格が事実上求められることも多いポジションです。院内の看護方針の策定や予算管理、他部門との調整など、経営陣に近い立場での意思決定に携わります。

副院長兼務のポジション

近年は、看護部長がそのまま副院長を兼務する病院も増えてきています。認定看護管理者として培った財務・組織分析の知識は、看護部門にとどまらず病院経営全体を見渡す立場でも役立つとされ、キャリアの到達点として注目されています。

誕生の背景・歴史

1998年:制度創設の経緯

認定看護管理者制度は1998年、日本看護協会によって創設されました。背景には、医療の高度化・複雑化が進むなかで、看護の現場を「経験と勘」だけで運営するのではなく、経営学的な視点を持った専門的なマネジメント人材が必要だという課題意識がありました。専門看護師・認定看護師の制度が「ケアの質」を高めるためにつくられたのに対し、認定看護管理者は「組織の質」を高めるための資格として誕生した点に特徴があります。

2026年度以降:受験要件の緩和

これまでは受験資格として「看護師長相当以上の職位での管理経験3年以上」という条件が課されていましたが、2026年度以降はこの管理経験要件が不問化される方向で見直しが進められています。これにより、管理職に就く前の段階からサードレベル教育課程の修了を目指し、より早いタイミングで認定看護管理者資格を取得するというキャリアパスが選びやすくなったといえます。

※ 受験要件の詳細は年度によって変更される場合があるため、実際に受験を検討する際は必ず日本看護協会の最新の試験要項を確認してください。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

看護師長への昇進を控えたベテラン看護師

臨床経験を10年前後積み、そろそろ管理職への昇進が視野に入ってきた看護師が、昇進前後のタイミングで教育課程の受講を始めるケースが多く見られます。現場感覚だけでなく、根拠のある管理手法を身につけたいという動機が中心です。

すでに管理職にあり、体系的な知識を求める看護師長・看護部長

すでに看護師長や看護部長として現場を切り盛りしているものの、経営学的な裏付けがないまま管理業務をこなしてきたという方も少なくありません。資格取得を通じて、これまでの経験を体系立てて整理し直したいという目的で挑戦する人もいます。

病院経営への参画を目指すキャリア志向の強い看護師

将来的に副院長など病院経営の中枢に関わりたいと考える看護師にとって、認定看護管理者は避けて通れない資格のひとつです。看護部門の代表としてだけでなく、病院全体の経営会議に参加できる発言力を得るための足がかりとして取得を目指す人もいます。

豆知識:認定看護管理者の意外な素顔

看護師なのに財務諸表を読む

認定看護管理者教育課程のサードレベルでは、貸借対照表や損益計算書の読み方、病院経営における収益構造の分析手法まで学びます。聴診器を扱う仕事のイメージが強い看護師が、電卓片手に病棟の収支を分析する姿は、この資格ならではの光景といえるでしょう。

合格率は高いのに、たどり着くまでが長い資格

筆記試験の合格率は例年80%程度と高水準ですが、そこにたどり着くまでの道のりは決して短くありません。看護師免許取得後5年以上の実務経験に加え、ファーストレベルからサードレベルまで合計465時間の教育課程を修了する必要があり、受験資格を得ること自体が一種の「関門」になっています。数字上の合格率の高さだけを見て「簡単な資格」と判断するのは早計だといえるでしょう。

更新のたびに自己研鑽が問われる仕組み

認定看護管理者の資格は取得して終わりではなく、有効期間は5年です。更新の際には、5年間で一定水準の自己研鑽実績や研修受講実績を積んでいるかどうかが審査され、これをクリアして初めて更新が認められる仕組みになっているとされています。資格を取ったあとも学び続ける姿勢が制度として組み込まれている点が特徴です。

まとめ ― 看護と経営をつなぐマネジメントのプロフェッショナル

こんな方にとくにおすすめ

  • 看護師長・看護部長への昇進を控えている、またはすでに就いている方
  • 現場の経験に加えて経営学的な視点を身につけたい方
  • 将来的に病院経営の意思決定に関わりたいと考えている方
  • 専門看護師・認定看護師とは違う方向でキャリアを深めたい方

取得に向けた第一歩

認定看護管理者を目指す第一歩は、まず日本看護協会が実施する認定看護管理者教育課程のファーストレベルを受講できる施設を探すことから始まります。2026年度以降は受験資格における管理経験要件が不問化される見込みのため、管理職に就く前の段階から計画的に教育課程の受講を進めておくことで、スムーズに受験資格を満たせるようになるでしょう。専門看護師・認定看護師・医療経営士といった関連資格の情報もあわせて確認しておくと、自分に合ったキャリアの方向性を見極めやすくなります。

公式サイト:日本看護協会(認定看護管理者制度)