認定看護師について

筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

認定看護師とは?

19分野・取得要件・専門看護師との違いを解説

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認定看護師(CN)の概要

認定看護師(CN:Certified Nurse)は、公益社団法人日本看護協会が1995年に創設した資格認定制度です。特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を持つ看護師を、協会が審査・認定する仕組みで、国家資格ではなく民間資格(登録商標)にあたります。

「認定看護師」という名称自体が日本看護協会の登録商標であり、看護師免許を持っているだけでは名乗ることができません。定められた実務経験と教育課程を修了し、認定審査に合格した看護師だけが、この肩書きを使うことができます。

登録商標とは、特定の名称やロゴマークを、権利を持つ団体だけが使えるように法的に保護した仕組みのことです。「認定看護師」も日本看護協会が商標登録しているため、無資格者が名乗ることはできません。

制度の仕組み:特定分野に特化したスペシャリスト

認定看護師は、がん看護や感染管理、緩和ケアといった特定の看護分野に絞って、実践力の高さを協会が公式に認める仕組みです。医師の診断・治療を補助する立場でありながら、その分野に関しては現場の看護実践をリードし、他の看護師への指導や相談対応も担います。

認定看護師に求められる役割は大きく3つに整理されています。1つ目は患者・家族に対する「実践」、2つ目は他の看護スタッフへの「指導」、3つ目は看護職からの相談に応じる「相談」です。この3本柱は制度創設当初から一貫しており、単なる技術者ではなく現場の教育役・相談役としての機能が期待されています。

19の認定看護分野(B課程)一覧

2021年度から審査が始まった新課程(B課程)では、認定看護分野は19分野に整理されています。それぞれの分野で「どんな看護を担うのか」を簡単にまとめると、次のとおりです。

分野どんな看護を担うか
感染管理院内感染対策の立案・指導、多職種と連携した感染予防体制の構築
がん放射線療法看護放射線治療に伴う副作用管理と患者・家族への説明・支援
がん薬物療法看護抗がん剤治療の副作用対応と安全な投与管理、症状マネジメント
緩和ケア痛みや苦痛の緩和、終末期の患者・家族の心身のケア
クリティカルケアICU等での重症患者の全身管理と急変時対応
呼吸器疾患看護慢性呼吸器疾患患者の療養支援と呼吸リハビリテーション
在宅ケア訪問看護での療養支援、在宅移行支援、多職種連携
手術看護周術期の安全管理と患者の身体的・心理的サポート
小児プライマリケア子どもの成長発達支援と家族を含めた継続的な健康管理
新生児集中ケアNICUでの低出生体重児・新生児の集中治療管理
心不全看護心不全患者の症状管理と再入院予防のための療養指導
腎不全看護透析療法を含む腎不全患者の自己管理支援
生殖看護不妊治療や妊娠・出産にまつわる身体的・心理的支援
摂食嚥下障害看護嚥下機能評価と誤嚥性肺炎予防のための食事支援
糖尿病看護血糖コントロールとフットケアを含む自己管理支援
乳がん看護乳がん治療に伴う意思決定支援とボディイメージのケア
認知症看護認知症高齢者の行動・心理症状への対応と家族支援
脳卒中看護発症直後の急性期対応とリハビリ移行支援
皮膚・排泄ケア褥瘡予防・ストーマケアなど皮膚トラブルへの専門的対応

いずれの分野も、看護師としての基礎経験を積んだうえで、さらに特定領域を深掘りする形で専門性を高めていく点は共通しています。分野ごとの詳しい業務内容は各医療機関によって幅がありますが、表の内容はおおよその役割イメージとして参考にしてください。

旧A課程からB課程への移行という過渡期

認定看護師制度は現在、大きな過渡期にあります。もともとの課程(A課程)は21分野に分かれていましたが、2020年度をもって新規の教育開始が終了し、2021年度からは再編された19分野のB課程へと切り替わりました。

ただし、すでにA課程で学び始めていた人や、既存のA課程認定看護師への配慮から、A課程の教育自体は2026年度で終了予定、認定審査(新規取得のための試験)は2029年度まで実施される見込みとされています。また、既にA課程で認定を受けた看護師の更新審査(5年ごとの資格更新)は、その後も継続して行われます。

※ この記事で扱う19分野は、現行の主流であるB課程のものです。A課程時代の分野名(例:救急看護、皮膚・排泄ケア以外の分野の一部名称など)は再編によって統合・名称変更されているため、古い情報を見る際は課程の違いに注意が必要です。

取得要件・難易度の目安

★★★☆☆ 中級

認定看護師になるには、まず看護師免許を持ち、実務経験が通算5年以上(うち3年以上は該当する認定看護分野での経験)あることが前提条件です。そのうえで、日本看護協会が指定する認定看護師教育機関に入学し、B課程では800時間・1年以内のカリキュラムを修了する必要があります。

教育機関修了後に受けられるのが認定審査で、筆記試験(マークシート方式、試験時間100分・40問150点)が年1回実施されます。試験そのものの合格難易度以上に、そこに至るまでの実務経験と800時間の教育課程修了というハードルの高さが、この資格の実質的な難易度を形づくっています。

認定看護師教育機関とは、日本看護協会の基準を満たし、都道府県看護協会や大学などが運営する研修機関のことです。分野ごとに開講校が決まっており、多くの場合、勤務先を休職・退職して通学する必要があります。

受験料の目安は、認定審査料51,700円と認定料51,700円を合わせておよそ10万円程度です。5年ごとの資格更新の際には、再認定審査料30,800円と再認定料20,900円が必要になります。教育機関の学費とは別にこれらの費用がかかる点も、事前に把握しておきたいポイントです。

合格率:日本看護協会は分野別・全体の合格率を公式に統計公表していません。認定看護師教育機関修了者は高い合格実績が報告されています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

病棟・外来での専門的な看護実践

認定看護師の多くは、取得した分野に関連する病棟や外来で専門性の高いケアを直接提供しています。例えばがん薬物療法看護の認定を受けた看護師は、抗がん剤治療を受ける患者の副作用管理や、安全な薬剤投与の実践を担う中心的な存在になります。

院内スタッフへの指導・教育担当

認定看護師の役割のひとつが「指導」であるため、院内研修の講師を務めたり、若手看護師のOJTを担当したりする場面も多くあります。感染管理の認定看護師が院内感染対策委員会の中心メンバーとして活動するケースは代表的な例です。

他職種・他部署との連携をつなぐ相談役

緩和ケアや在宅ケアの認定看護師は、医師・薬剤師・ソーシャルワーカーなど多職種との調整役を担うことが少なくありません。患者の退院支援や在宅療養への移行にあたって、看護の視点から必要な情報を整理し、チーム全体の連携を橋渡しする役割も期待されています。

認定看護管理者や専門看護師へのステップアップ

認定看護師として現場経験を積んだのち、看護部門のマネジメントに関心を持ち認定看護管理者を目指したり、より高度な実践・研究・教育を志向して専門看護師の大学院進学を検討したりする人もいます。認定看護師の経験は、そうした次のキャリアの土台としても評価されます。

認定看護管理者とは、看護部長や師長など看護組織のマネジメントを担う人材を対象に、日本看護協会が認定する別の資格です。臨床実践よりも組織運営・人材育成に軸足を置く点が認定看護師との大きな違いです。

誕生の背景・歴史

1995年:制度創設の経緯

認定看護師制度がスタートしたのは1995年です。医療の高度化・専門分化が急速に進むなかで、看護師にも特定分野における高い専門性を公式に評価する仕組みが必要だという声が高まったことが、制度創設の背景にあります。

それまでも現場には経験豊富な看護師は多く存在しましたが、その実践力を客観的な基準で評価し、社会的に認知される「資格」として可視化する仕組みは整っていませんでした。日本看護協会はこの課題に対応する形で、専門看護師制度と並行して認定看護師制度を設計し、翌1996年には最初の分野で認定審査が始まりました。

2021年度からのB課程再編:19分野への統合

制度創設から四半世紀が経過するなかで、分野の細分化が進みすぎたことや、教育内容を国際的な基準に近づける必要性などから、2019年に大きな制度改正が行われました。これにより、それまでの21分野(A課程)は、教育時間を600時間から800時間に拡充した新しい19分野(B課程)へと再編されることになりました。

B課程では、特定行為研修(医師の判断を待たずに一定の医療行為を実施できるようにするための研修)の一部が組み込まれている分野もあり、より実践的な医療現場のニーズに対応できる人材育成を目指した設計になっています。2021年度に最初のB課程認定審査が実施され、以降は年々B課程修了者の割合が増えています。

特定行為研修とは、あらかじめ医師が作成した手順書に基づき、看護師が一定の診療の補助行為(点滴の調整など)を自らの判断で行えるようにするための研修制度です。すべての認定看護分野に含まれているわけではありません。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

特定分野を極めたい臨床経験豊富な看護師

もっとも多いのは、すでに5年以上の臨床経験を積み、特定の看護分野で「もっと専門性を高めたい」と感じた看護師です。日々のケアのなかで感じた疑問や課題意識をきっかけに、体系的に学び直すために教育機関への進学を決意するケースが目立ちます。

院内で指導的な立場を任されるようになった看護師

病棟のリーダーやプリセプター(新人教育担当)を任される中で、後輩指導のための知識をより確かなものにしたいと考え、資格取得を目指す人もいます。認定看護師の資格を得ることで、指導する内容に客観的な裏付けが生まれ、院内での発言力も高まります。

特定の疾患・ケアへの強い関心を持つ看護師

家族の介護や自身の担当患者との関わりを通じて、認知症看護や緩和ケアなど特定のテーマに強い関心を持つようになり、それを一生の専門分野にしようと決意する人もいます。単なるキャリアアップというより、患者や家族に向き合う中で芽生えた使命感が動機になっているケースです。

豆知識:認定看護師の〇〇

専門看護師との違い:教育期間と役割の広さ

認定看護師とよく混同されるのが「専門看護師(CNS)」です。どちらも日本看護協会が認定する資格ですが、教育の受け方に大きな違いがあります。認定看護師の教育課程は6か月〜1年(B課程は800時間・1年以内)であるのに対し、専門看護師は大学院の修士課程(原則2年以上)を修了することが必須条件です。

役割の面でも違いがあります。認定看護師は特定分野における「実践・指導・相談」を通じて現場の看護の質を直接高めることに重点が置かれるのに対し、専門看護師はそれに加えて「調整」「倫理調整」「研究」といった、より組織横断的・学術的な役割も担うことが求められます。つまり、認定看護師は「現場の実践力に特化したスペシャリスト」、専門看護師は「実践に加えて研究・組織調整も担うゼネラリスト的な上位資格」という位置づけの違いがあるといえます。

専門看護師(CNS)とは、大学院修士課程で高度な専門知識を学んだうえで、日本看護協会の審査に合格した看護師のことです。がん看護や精神看護など、認定看護師とは異なる分野区分が設けられています。

登録者数から見る認定看護師の広がり

2025年11月時点で、認定看護師として登録されている人数は24,626人にのぼります。内訳を見ると、旧課程であるA課程の認定看護師が19,123人、新課程のB課程が5,503人となっており、まだA課程出身者が多数派を占めているものの、B課程修了者は年々着実に増加しています。

この人数の推移は、制度が過渡期にあることを如実に表しています。今後、A課程の教育が2026年度で終了し、認定審査も2029年度で区切りを迎えることを踏まえると、数年のうちにB課程出身者が主流になっていくと見込まれます。

まとめ ― 現場の専門性を支える「実践のプロフェッショナル」

こんな方にとくにおすすめ

  • 特定の看護分野で5年以上の実務経験を積み、さらに専門性を高めたい看護師
  • 院内で後輩指導やケア方針の相談役を任されることが増えてきた看護師
  • 緩和ケア・認知症看護・在宅ケアなど、特定のテーマに強い関心を持ち続けている看護師
  • 大学院進学は難しいが、実践力を客観的な形で証明したい看護師

取得に向けた第一歩

認定看護師を目指す第一歩は、自分がすでに積んできた実務経験のうち、どの分野に3年以上の経験があるかを整理することです。そのうえで、目指す分野の認定看護師教育機関がどこにあり、いつ募集があるのかを日本看護協会や各教育機関の公式情報で確認していくのが現実的な進め方です。

B課程への一本化が進む過渡期だからこそ、最新の募集要項や分野の再編状況を公式サイトでこまめに確認することが欠かせません。専門看護師など他のキャリアパスと比較しながら、自分に合った学び方を選んでいくとよいでしょう。

公式サイト:日本看護協会(認定看護師制度)