ずい道等の掘削等作業主任者について

筆記試験実務経験・学歴が必要
国家資格

ずい道等の掘削等作業主任者とは?

労働安全衛生法に基づく国家資格(技能講習)をわかりやすく解説

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ずい道等の掘削等作業主任者の概要

ずい道等の掘削等作業主任者は、労働安全衛生法第14条・施行令第6条第10号に基づき、トンネル・ずい道の掘削作業(ずい道等の掘削・覆工・ライニング等)を行う事業場に選任が義務付けられる国家資格(技能講習修了証)です。建設業労働災害防止協会(建災防)等の登録機関が実施する2日間・14時間の技能講習を修了し、修了考査に合格することで取得できます。受講には「ずい道等における掘削業務の実務経験3年以上」等の受講資格が必要です。山岳工法とシールド工法で別コースが設定されています。

令和3年4月改正で粉じん関連科目が追加:労働安全衛生規則改正(令和3年4月施行)により、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習のカリキュラムに「粉じんに関する知識」が追加されました。旧カリキュラムで取得した方向けの特例講習(差分補講)は令和6年3月31日で終了しています。また「ずい道等の覆工作業主任者」は別の技能講習(別資格)であり、本資格とは区別されます。

山岳工法とシールド工法の2コース体制

ずい道等の掘削等作業主任者技能講習は、施工方式の違いから「山岳工法コース」と「シールド工法コース」の2種類が設定されています。山岳工法は発破・機械掘削で地山を掘り進める工法(NATM工法等)で、シールド工法は円形のシールドマシンで地盤を機械掘削しながら覆工する工法(都市部の地下鉄・上下水道工事等)です。どちらのコースで修了してもずい道等の掘削等作業主任者として選任できます。

基本情報の早見表

取得方法技能講習(2日間・14時間)+修了考査(筆記)合格
コース山岳工法コース・シールド工法コースの2種別(どちらも同資格)
講習科目①作業の方法に関する知識(6時間)②工事用設備等に関する知識(4時間)③工事に関する知識(2時間)④粉じんに関する知識(1時間)⑤関係法令(1時間)⑥修了考査(1時間以内)
合格基準各科目40%以上かつ総合60%以上(慣例)
受講資格①ずい道等における掘削業務に3年以上従事した者②学歴に応じ土木・建築系学科卒業+2年以上の業務経験
受講料約25,000〜26,000円(建災防基準。地域・機関により差あり)
有効期限なし(終身有効・更新不要)
主催建設業労働災害防止協会(建災防)および各都道府県の登録機関

講習内容を詳しく

2日間・14時間の科目詳細

技能講習は2日間14時間のカリキュラムで、5科目の講義と修了考査で構成されます。

  • 作業の方法に関する知識(6時間):ずい道の掘削方式(全断面掘削・分割掘削)・発破掘削(火薬の種類・装薬量・発破パターン)・機械掘削(TBM・ロードヘッダー・シールドマシン)の特性・支保工(ロックボルト・吹付コンクリート・鋼製支保)の設置・ガス測定・湧水対策・崩壊の前兆と緊急措置・覆工との工程調整
  • 工事用設備・機械・器具・作業環境に関する知識(4時間):坑内換気(押込み換気・引込み換気・電動ファン)の計算・測定・照明基準・粉じん・ガス(CO・CH4・H2S等)の測定と警報設備・坑内搬送設備(ダンプ・バッテリーロコ)・水圧ポンプ・空気圧縮機の取り扱い
  • 工事に関する知識(2時間):地山調査(ボーリング柱状図の読み方・N値・RQD)・近接構造物への影響(沈下計測・亀裂測定)・坑外との連絡体制・緊急時の退避経路の確保・作業計画書の作成と周知
  • 粉じんに関する知識(1時間)【令和3年4月追加】:ずい道坑内粉じんの発生源(発破・機械掘削・吹付コンクリート)・塵肺(珪肺)の発症メカニズム・防じんマスクの種類と選択基準・局所排気装置・湿式工法・坑内粉じん濃度測定・健康診断(じん肺健診)の義務
  • 関係法令(1時間):労働安全衛生法第14条・施行令第6条・安衛則(トンネル等の建設の作業に関する安全基準:第382〜415条)・粉じん障害防止規則・火薬類取締法の関連条項・作業主任者の職務と選任義務・災害発生時の措置

修了考査の内容と合格基準

2日目の最後に修了考査(筆記・1時間以内)が実施されます。出題は5科目から均等に出題され、各科目40%以上かつ総合60%以上が合格基準です。建災防テキストの内容に沿った問題が中心で、講義受講者の合格率は非常に高いです。令和3年改正で粉じん関連科目が加わったため、最新テキストを使用した受講が重要です。

難易度・合格の目安

★★☆☆☆ 修了考査は2日間の講義を受ければほぼ合格できる難易度。受講資格(ずい道業務3年以上等)の証明が実質的なハードル。令和3年追加の粉じん科目も要チェック。

ずい道等の掘削等作業主任者の修了考査は、2日間の講義内容から出題されるため、真剣に受講していれば高い確率で合格できます。実質的な難関は「受講資格」です。トンネル・ずい道工事の現場経験が3年以上なければ受講できないため、未経験者がすぐに取得できる資格ではありません。講習料も25,000〜26,000円程度と高めで、受講機会も年数回に限られています。

修了考査合格率:受講者のほぼ全員が合格(95%超)。2日間の講義を集中受講し令和3年追加の粉じん科目も押さえれば問題なし。受講資格の実務経験証明が最初のステップ。

キャリアパスと需要

トンネル工事・地下構造物工事の専門家として

大手ゼネコンのトンネル部門・中堅トンネル専門工事会社・地下鉄・新幹線建設JV・水力発電の導水路トンネル・道路トンネル・上下水道の管渠トンネル工事が主な就業先です。国土交通省の社会インフラ整備(道路・鉄道・水道)においてトンネル工事の需要は恒常的にあり、高齢化による熟練技術者不足から若手の有資格者は引く手あまたです。山岳・シールド両方の工法経験がある作業主任者は特に希少価値が高いです。

ずい道等の覆工作業主任者・地山の掘削作業主任者との組み合わせ

ずい道等の掘削等作業主任者(掘削担当)とずい道等の覆工作業主任者(コンクリート覆工担当)を両方取得すると、トンネル工事の全工程(掘削から覆工まで)の作業主任者として活躍できます。さらに「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者」も加えると、地上・地下を問わない掘削工事の作業主任者として建設現場の幅広い工種に対応できます。1級土木施工管理技士との組み合わせでトンネル施工管理のエキスパートとして評価されます。

豆知識:ずい道工事の安全

「ずい道」と「トンネル」の定義の違い

日常語ではほぼ同義で使われますが、法令上は「ずい道(隧道)」は山岳部を貫通する掘削構造物全般を指し、「トンネル」はより広義に使われます。安全衛生法規上は「ずい道等」として道路・鉄道・水路・上下水道等の地下掘削工事すべてが対象です。深度が浅くても掘削区間があれば本資格の適用対象となります。

坑内換気が命綱:一酸化炭素と粉じんの二重リスク

ずい道坑内では発破・ディーゼル機械から一酸化炭素(CO)が発生し、掘削・吹付コンクリート作業で粉じん(遊離珪酸含有)が発生します。COは無味無臭で即座に意識不明に至り、珪酸粉じんは長期吸入で珪肺(不可逆性の塵肺)を引き起こします。作業主任者は換気設備の起動確認・坑内ガス濃度測定・防じんマスクの着用確認を作業前に必ず実施し、坑内労働者の健康を守る役割を担います。

「シールド工法」が都市部インフラを支える理由

都市部での地下工事は上部の道路・建物・埋設物を傷めずに施工する必要があります。シールド工法は地表面を掘り返さずに地下を掘り進め(開削不要)、沈下量が少なく騒音・振動も小さいため都市部の地下鉄・共同溝・下水道工事に多用されます。東京の地下鉄延伸・大阪の淀川横断トンネル・羽田空港地下連絡道路などで採用されており、シールド工法コースの修了者の需要は今後も継続的に高いと予想されます。

よくある質問

Q. 山岳工法コースとシールド工法コースはどちらを選ぶべきですか?

勤務先・担当する工事の施工方式に合わせて選択してください。山岳部道路・鉄道トンネル・ダム導水路が中心の会社なら山岳工法コース、都市部地下鉄・上下水道・共同溝工事が中心の会社ならシールド工法コースが適しています。どちらのコースで修了しても「ずい道等の掘削等作業主任者」の資格は同一です。両工法の工事に関わることが多い大手ゼネコン勤務の方はどちらのコースで受講しても問題ありません。

Q. 令和3年改正前に取得した資格は現在も有効ですか?

有効です。旧カリキュラムで取得した修了証は資格として引き続き有効であり、作業主任者として選任できます。ただし旧カリキュラムで取得した方向けに設けられていた「特例(差分)講習(粉じん科目を補完する短縮講習)」は令和6年3月31日で終了しました。新たに追加された粉じん関連知識は、会社が実施する安全教育や外部の粉じん関連研修で補完することが推奨されます。

こんな方におすすめ

  • ずい道・トンネル工事の現場で3年以上の実務経験があり、法定の作業主任者資格を取得したい方
  • 大手ゼネコン・トンネル専門工事会社で施工管理・現場監督のキャリアを積む技術者の方
  • 地下鉄延伸・共同溝・水道管工事のシールド工法現場で作業主任者として活躍したい方
  • 1級土木施工管理技士と組み合わせてトンネル工事のエキスパートとして評価されたい方

最新の講習日程・受講料・申込方法の詳細は建設業労働災害防止協会(建災防)または各都道府県の登録機関にお問い合わせください。

公式サイト:建設業労働災害防止協会(建災防)