TOEICと英検、就職・転職で評価されるのはどっち?目的別の選び方

みんなの資格

「英語の資格を取ろうと決めたものの、TOEICと英検のどちらを受けるべきか分からない」――英語学習者が必ず一度は通る分かれ道です。この記事では、2つの試験の設計の違いと「どの場面でどちらが評価されるか」の実際を整理し、目的別にどちらを選ぶべきかを提示します。読み終わる頃には、自分が申し込むべき試験が決まっている状態を目指します。

先に結論:あなたはどっち?

まず結論からどうぞ。自分の目的に一番近い行を見てください。

あなたの目的おすすめ理由
就職・転職で英語力を示したいTOEIC企業の採用・昇進基準のほとんどがTOEICスコア
大学入試・高校入試で優遇を受けたい英検入試優遇制度の対象はほぼ英検
話す・書くを含めた総合力を鍛えたい英検スピーキング・ライティングが標準装備
海外大学への留学を考えているどちらでもないTOEFLやIELTSが必要(本記事の対象外)

ポイントは「どちらが上か」ではなく「使う場面が違う」こと。なぜこうなるのかを順に説明します。

設計がそもそも違う:「落ちない試験」と「合否のある試験」

TOEICはスコア型 ― 不合格が存在しない

TOEIC L&Rは10〜990点のスコアで結果が返る試験で、合格・不合格という概念がありません。今の実力がそのまま数字になるため、何点だろうと「落ちる」ことはなく、就職活動や昇進要件では「600点以上」「730点以上」のように基準点として使われます。

TOEIC L&Rとは、TOEICの中で最も一般的な、リスニング(聞く)とリーディング(読む)を測るテストのこと。単に「TOEIC」と言うとき、ほとんどはこれを指します。

英検は級制 ― 4技能を測る合否試験

英検(実用英語技能検定)は5級から1級まで7つの級に分かれた合否型の試験です。3級以上では面接によるスピーキング試験があり、準2級以上ではライティングも課されます。つまり「読む・聞く・話す・書く」の4技能を一度の受験で測れるのが、TOEIC L&Rとの大きな違いです。

この設計の違いから、TOEICは「実力の数値化と比較」が得意で、英検は「段階的な目標設定と総合力の証明」が得意、という棲み分けが生まれています。

「どこで評価されるか」がはっきり分かれている

就職・転職・昇進の世界はTOEIC基準

企業の求人票や昇進要件で英語力が条件になる場合、その基準はほぼTOEICスコアで書かれています。「TOEIC730点以上歓迎」のような形です。理由は単純で、スコア型のTOEICは応募者同士を数字で比較でき、人事側が扱いやすいからです。社内の昇進・海外赴任の要件にTOEICスコアを使う大手企業も多く、ビジネスの世界では事実上の共通言語になっています。

入試の世界は英検基準

一方、大学入試や高校入試の英語資格優遇(加点・みなし満点・出願資格)の対象は、圧倒的に英検です。「英検2級で英語試験免除」のような制度を設ける大学は多数あります。学生の英語学習の節目として半世紀以上使われてきた歴史があり、教育の世界での信頼が厚いためです。

つまり「社会人ならTOEIC、学生(進学目的)なら英検」という大きな構図がまずあって、そのうえで個別の目的に合わせて調整する、というのが正しい選び方の順序です。

受け方・費用・結果の出方も違う

受験のしやすさにも差があります。TOEICはほぼ毎月実施され、結果はスコアとして約2〜3週間でオンライン確認できます。一発勝負感が薄く、「今月だめなら来月また受ける」が気軽にできる試験です。

英検の従来型は年3回実施で、3級以上は一次(筆記)と二次(面接)の2段階。合否が出るまでの期間も長めです。ただし近年はコンピュータで受験できる英検S-CBTが登場し、ほぼ毎週受験が可能になりました。スピーキングも同日に吹き込み方式で完結するため、社会人が英検を受けるハードルは以前よりかなり下がっています。

英検S-CBTとは、従来の紙と面接の試験を1日・パソコン1台で完結させる英検の受験方式のこと。測られる級や資格の価値は従来型と同じです。

受験料はどちらも数千円〜1万円前後(級や方式により異なる)で大差ありませんが、英検は級ごとに受験料が変わる点、TOEICはリピート受験の割引制度がある点は知っておくと良いでしょう。

目的別おすすめルート

就職・転職を控えた社会人 → TOEIC一択。まず600点を目標に

履歴書で評価され始めるラインは一般に600点前後、英語を使う職種への応募なら730点以上が目安とされています。TOEICはほぼ毎月実施されているので、2〜3か月後の回に申し込み、公式問題集を軸に対策するのが定番ルートです。スコアは何度でも更新できるため、「まず受けて現在地を知る→目標点との差を埋める」という進め方ができます。

中学生・高校生 → 英検を学年に合わせて段階取得

進学に直結するのは英検です。中学卒業レベルの3級、高校中級の準2級、高校卒業レベルの2級と、学習段階に級が対応しているので目標設定がしやすく、入試優遇の対象になるのは主に2級以上。志望校の優遇制度を先に調べて、逆算で受験級を決めるのが効率的です。

4技能を伸ばしたい社会人 → 英検準1級という選択肢

TOEIC L&Rには話す・書くがありません(別途TOEIC S&Wという試験はありますが受験者は多くありません)。仕事で実際に英語を話す必要がある人や、点数より総合力を鍛えたい人には、ライティングと面接を含む英検準1級が「使える英語」の証明として機能します。TOEICで高得点を持ちつつ英検準1級も取る、という組み合わせは英語力の説得力を大きく高めます。

持ち帰り豆知識:TOEICは「日本のために作られた米国製試験」

世界標準の試験に見えるTOEICですが、実は1979年、日本の経済界の要請を受けて米国のテスト開発機関ETSが開発した試験です。「ビジネス向けの、合否のない英語コミュニケーション試験が欲しい」という日本側の構想が出発点で、今でも受験者の大半を日本と韓国が占めています。

一方の英検は1963年開始。戦後の英語学習ブームの中で生まれた日本最古級の英語検定で、累計受験者は1億人を超えるとされています。「米国生まれで日本が育てたTOEIC」と「日本生まれで教育に根付いた英検」――どちらを選んでも、日本の英語学習の歴史の本流に乗ることになります。

まとめ:使う場面が決まれば、試験は自動的に決まる

冒頭の判定表に戻りましょう。就職・転職・昇進ならTOEIC、入試優遇なら英検、4技能の証明なら英検(またはTOEICとの併用)。「どちらが偉いか」を考える必要はなく、自分の英語力を見せたい相手が誰かを決めれば、受けるべき試験は自動的に決まります。

決まった方の最初の一歩は、申込ページで次の試験日を確認して予定に入れることです。TOEICはほぼ毎月、英検は年3回(従来型)の実施なので、締切から逆算すれば学習計画は自然と立ち上がります。あなたの英語資格への挑戦が、今日この記事から始まることを願っています。

▶ それぞれの試験の概要・難易度は「TOEIC® L&Rテストについて」「実用英語技能検定(英検)について」のページで詳しく紹介しています。

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