
コールセンターや受付、営業事務など、電話でのやり取りが多い仕事に就くと、「もしもし検定」という言葉を耳にすることがあります。正式には電話応対技能検定というこの資格、名前の親しみやすさとは裏腹に、電話応対の実践力をしっかり測る検定です。この記事では、級ごとの違いや試験の中身、どう役立ち、どんな仕事に活かせるかを中心に整理して解説します(検定の概要は、記事末のリンク先にまとまっています)。
そもそもどんな検定?電話応対の実践力を測る
電話応対技能検定は、愛称を「もしもし検定」といい、日本ICTテレコムユーザー協会(旧・日本電信電話ユーザ協会)が実施しています。電話応対の実践力を軸に、日本語の使い方やビジネスマナー、コミュニケーション技術を総合的に評価する検定です。近年は電話に限らず、メールやWeb会議も含めたビジネスコミュニケーション全般を対象に広げています。
単なる知識のテストではなく、「実際にどう応対するか」を重視しているのが特徴です。だからこそ、電話でのやり取りが業務の中心になる職場で、研修や評価の物差しとして、実務に直結する資格として活用されています。
電話応対は、相手の顔が見えないなかで、声と言葉だけで会社の印象を左右する仕事です。同じ内容を伝えるのでも、第一声の明るさや、要件を整理して話す順番、相手の話をさえぎらない間の取り方で、印象は大きく変わります。もしもし検定は、そうした目に見えにくい応対の質を、体系立てて学び、客観的に測れるようにしたものだと言えます。
級は4級から指導者級までの5段階
もしもし検定は、下から4級・3級・2級・1級・指導者級の5段階に分かれています。それぞれの位置づけを表にまとめました。
| 級 | レベル | 主な内容 |
|---|---|---|
| 4級 | 入門 | ビジネス電話の基礎知識(筆記のみ) |
| 3級 | 基礎 | 電話応対の基本+社会人としてのマナー |
| 2級 | 応用 | 応用的な応対技能とコミュニケーション |
| 1級 | 上級 | クレーム応対や法的知識、指導的な実践力 |
| 指導者級 | 指導者 | 検定の指導官・試験官を務めるレベル |
4級と3級は受験資格がなく誰でも挑戦できますが、2級は3級、1級は2級、というように上位級には下位級の合格が条件になります。指導者級はさらに、1級合格に加えて5年以上の指導経験が求められる、最上位の枠です。上に行くほど「自分ができる」から「人に教える」へと性格が変わっていきます。
3級以上は”実技”がある——録音で応対を審査
もしもし検定の大きな特徴が、実技試験の存在です。4級は筆記だけですが、3級以上では筆記に加えて実技が課されます。ここが級の分かれ目です。
実技では、設定された場面で模擬応対者を相手に、実際の電話応対をロールプレイ形式で実演します。しかもその様子は録音され、そのデータをもとに審査されます。言葉づかいはもちろん、声の調子や間の取り方まで含めた「応対の質」が採点対象になるのです。筆記・実技とも100点満点で70点以上が合格の目安。知識だけでは通らない、実践重視の設計になっています。
※ ロールプレイとは、実際の場面を想定して役を演じる練習・試験方法のこと。もしもし検定では、模擬応対者を相手に本番さながらの電話応対を実演します。
どんな人・職場に役立つ?
電話応対が業務の中心になる職場全般で活きる検定です。具体的には、次のような場面で役立ちます。
- コールセンターやカスタマーサポートで、応対品質を客観的に示したい
- 受付や営業事務など、電話の第一声が会社の印象を左右する仕事
- 新人研修で、電話応対の基礎を体系立てて教えたい
- チームの応対レベルを底上げし、指導役を育てたい(指導者級)
電話応対は、多くの職場で求められる一方、履歴書では示しにくいスキルです。もしもし検定は、その曖昧になりがちな力に級という客観的なものさしを与えてくれます。就職や転職で「電話対応に自信があります」と言うより、級で示せるほうが説得力があります。
企業側にとっても、この検定は使い勝手のよいものです。応対品質を一定に保ちたいコールセンターでは、社員の目標として級の取得を掲げたり、指導役に指導者級を持つ人を据えたりと、チーム全体のレベルを底上げする仕組みとして活用できます。個人のスキルアップと、職場の応対品質の向上を、同じものさしでつなげられるのが強みです。
難易度の目安
全体として、合格率は高めで、難易度は低めから中程度とされています。4級はやさしい入門で、上位級になるほど実技のウエイトと専門性が増していきます。1級ではクレーム応対や法的な知識まで問われ、指導者級は指導経験まで必要な、まさに指導のプロの資格です。合格率が高めといっても、それは講習で基礎を固めてから受ける人が多いためで、準備なしで受かるという意味ではない点には注意しておきましょう。
各級とも、検定講習を受けながら段階的に知識を身につけていく運用になっているため、独学でいきなり受けるというより、学びながら進める設計です。まずは4級や3級で基礎を固め、実務で必要になったら上の級へ、というステップが現実的でしょう。
この「講習を受けながら段階的に」という進め方は、忙しい社会人には取り組みやすい面があります。試験当日までに独力で全範囲を仕上げるのではなく、講習で要点を押さえ、実演の練習を重ねてから本番に臨めるからです。とくに実技のある3級以上では、模擬応対の練習を経ておくことが、そのまま日々の業務の質の向上にもつながります。
なお、この検定を実施する協会は、電話応対の技を競う「電話応対コンクール」にも関わっています。検定が個人のスキルを段階的に育て、測るものだとすれば、コンクールは競技を通じて成果を確かめる場。両者は電話応対の質を高めるための、車の両輪のような関係にあります。応対力を本格的に磨きたい人は、検定で土台を作りつつ、こうした場に触れてみるのもよい刺激になります。
持ち帰り豆知識:実技は”録音審査”
もしもし検定でユニークなのが、実技試験が録音審査だという点です。試験官の目の前で話すだけでなく、応対の音声そのものが記録され、それをもとに評価されます。電話応対は相手に姿が見えないぶん、声と言葉だけで印象が決まる仕事。その本質を、録音という形で正面から採点しているわけです。
自分の応対を録音して聞き返すのは、少し気恥ずかしいものですが、上達には一番の近道でもあります。もしもし検定の準備を通じて自分の話し方のクセに気づけるのは、資格そのもの以上に価値のある副産物かもしれません。
まとめ:電話応対を”級”で証明する
もしもし検定こと電話応対技能検定は、電話応対の実践力を4級から指導者級までの段階で測る検定です。3級以上では録音による実技審査があり、知識だけでなく実際の応対の質そのものが問われます。名前は親しみやすくても、中身は実践力を重視したしっかりとした検定なのです。
電話対応の多い仕事に就いている、あるいは目指しているなら、最初の一歩は4級や3級の出題範囲を確認してみること。自分の応対を一度録音して聞き返すだけでも、伸ばすべきポイントが見えてきます。電話は苦手だと感じている人ほど、基礎の型を学ぶことで応対がぐっと楽になるものです。そこから級を一つずつ上げていけば、応対の力は着実に形になっていきます。

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