
「話すのが苦手だから鍛えたい」「伝える力を客観的に証明できたら就活や仕事で役立ちそう」――そう思って検定を探すと、プレゼン、話し方、コミュニケーション、交渉と、似て非なる試験がずらりと出てきて迷います。この記事では、代表的な4つの検定が「どんな話す力」を測るのかを並べ、目的別にどれを選べばよいかを整理します。自分が伸ばしたい力に合う一つが見つかるはずです。
「話す力」といっても中身は別物:目的別の早見表
ひとくちに話す力といっても、人前で発表する力と、交渉で合意を作る力はまったく別の技能です。まず目的別に見取り図を示します。
| 伸ばしたい力・目的 | 合う検定 |
|---|---|
| 人前でのプレゼンを段階的に上達させたい | プレゼンテーション検定 |
| 日常・仕事の「話す・聞く」全般を鍛えたい | 話しことばとコミュニケーション検定 |
| 対面での伝える力を手早く客観証明したい | コミュニケーション検定 |
| 交渉スキルを理論から実践まで本格的に学びたい | 交渉アナリスト |
それぞれ主催団体も試験のスタイルも違います。自分に近い目的の章から読んでみてください。
プレゼン力を段階的に:プレゼンテーション検定

通称「プレ検」。一般社団法人プレゼンテーション検定協会が主催し、プレゼンの理論と実践技術をあわせて測ります。特徴は級が細かいことで、準3級から1級まで6段階に分かれ、初心者が下の級から少しずつ積み上げられる設計です。
下位の級は筆記が中心ですが、2級以上になると実際にプレゼンを行う実技が加わります。「知っている」だけでなく「できる」を試されるわけです。就活の面接や自己PR、社内発表、授業や研修での登壇など、人前で話す場面が多い人に向いています。まずは準3級・3級で構成や話し方の型を身につけ、実演のある上位級で仕上げていくとよいでしょう。
プレゼンは、才能というより「型」で伸ばせる技能です。話の組み立て方、聞き手の視線の集め方、結論を先に出す構成――こうした定石を体系立てて学べるのが、この検定の値打ちです。オンラインでの受検にも対応しているので、リモートでの発表機会が増えた今の働き方にも合っています。人前で話すのが苦手という人ほど、段階的に自信を積み上げられる設計が向いています。
話す・聞く全般を鍛える:話しことばとコミュニケーション検定

日本話しことば協会が主催する検定で、いわゆる「話し方検定」として知られてきたものです。プレゼンのような特定場面に限らず、日常やビジネスでの「話す・聞く」全般に必要な知識と実践力を扱います。等級は1級・2級・3級の3段階です。
この検定の大きな特色は、すべての級で筆記に加えてスピーキング(実技)の試験が課される点です。審査員の前で実際に話し、その運用力を採点されます。筆記中心の検定が多いなかで、話す様子そのものを見てもらえるのは実践派に心強いところ。接客や窓口の仕事で話し方を磨きたい人、将来は話し方の指導者を目指したい人(1級は指導者レベル)に向いています。
対面の伝える力を客観証明:コミュニケーション検定

サーティファイ コミュニケーション能力認定委員会が主催する検定で、対面の場面で「自分の意思を、目的や状況に応じてわかりやすく伝える力」を測ります。区分は初級と上級の2つとシンプルです。
初級は多肢選択式の知識試験のみで、実技がないぶん挑戦のハードルが低め。就活生や社会人が「コミュ力があること」を手早く形にしたいときに向いています。上級になると知識試験に加えて面接(コミュニケーションテスト)があり、状況に応じた受け答えを評価されます。4つのなかでは「対面での伝える力を客観的に証明する」という用途に最も直球な検定です。
「コミュニケーション能力」は求人票でよく求められる一方、履歴書では示しにくい力の代表格です。この検定は、その曖昧になりがちな力に一つの客観的なものさしを与えてくれます。とくに初級は準備の負担が軽く、面接対策の一環として学ぶうちに、自分の伝え方のクセに気づけるという副産物もあります。まず形にしたい人の最初の一歩として選びやすい検定です。
交渉を理論から実践まで:交渉アナリスト

特定非営利活動法人日本交渉協会が認定する資格で、ここまでの3つとは毛色が異なります。測るのは「交渉」というはっきりした技能で、内容の柱はハーバードなどで教えられる交渉学(原則立脚型交渉)です。グレードは3級から1級まであり、個人は2級・補・1級を目指します。
特徴的なのは、試験一発ではなく講座の受講が取得の前提になっている点です。2級は通信講座と添削レポート、実践技術を学ぶ「補」は2日間の集合研修、そして1級は2級・補の両方を修めたうえで、レポートや記述テスト、面接まで課される総合評価です。学習の負担は4つのなかで最も重いぶん、営業・調達・管理職など、交渉が仕事の中心にある人には深い武器になります。
どう選ぶ?——迷ったときの指針
4つを目的で並べ直すと、選び分けははっきりします。
- 登壇・発表が多い、就活の自己PRを磨きたい → プレゼンテーション検定
- 話し方そのものを基礎から鍛えたい、実技で見てほしい → 話しことばとコミュニケーション検定
- まず手軽にコミュ力を証明したい(実技なしから) → コミュニケーション検定
- 交渉を職務にしていて理論から固めたい → 交渉アナリスト
手早く挑戦したいなら実技のないコミュニケーション検定の初級、実演で自信をつけたいならプレゼン検定や話しことばの検定、と入口の重さで選ぶのも現実的です。伸ばしたい力と、かけられる学習時間の両方から考えると失敗しません。
持ち帰り豆知識:面接の出来で合格ラインが動く検定
コミュニケーション検定の上級には、少し変わった採点の仕組みがあります。面接(コミュニケーションテスト)の評価が高いと、知識試験のほうの合格ラインがいくらか緩む、という連動があるのです。「実際に伝える力」を重く見るという、この検定らしい姿勢がにじんでいます。
ペーパーの点数だけでは測りきれないのが、話す・伝えるという技能の面白いところ。だからこそ、実技や面接を取り入れた検定が多いのです。どれを選ぶにせよ、机の上の勉強と、実際に声に出す練習の両輪で進めるのが上達の近道になります。
まとめ:伸ばしたい「話す力」から逆算する
プレゼン、話し方全般、対面のコミュ力、交渉――4つの検定は、同じ「話す力」でも測る中身がきれいに分かれています。資格名で選ぶより、「自分はどの場面の話す力を伸ばしたいのか」から逆算するのが確実です。
最初の一歩として、冒頭の早見表で目的に近い検定を一つ選び、その入門級の出題範囲を公式サイトでのぞいてみましょう。実技があるかどうか、どんな級構成か、どんな場面を想定した試験かを知るだけでも、自分に合う一つがぐっと絞り込めます。
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