Cisco Certified DevNet Associate(現:CCNA Automation)とは?
概要・難易度・2026年の名称変更を解説
Cisco Certified DevNet Associateの概要
Cisco Certified DevNet Associateは、ネットワーク機器大手Cisco Systems(シスコシステムズ)が認定する民間資格です。従来のCisco資格がルーターやスイッチの設定・運用スキルを問うものだったのに対し、この資格はPythonなどのプログラミングやWeb APIを使ってネットワークを自動化するスキルを評価する、シスコにとって初のソフトウェア開発者向け資格として登場しました。
2026年2月3日、この資格は「CCNA Automation」へと名称変更されました。本記事では検索性のため旧名称を残していますが、現在シスコの公式サイト・試験プログラム上では新名称に統一されています。すでに認定を保有している人は、再受験の必要なく自動的に新名称の認定へ移行済みです。
※ DevNetとは、シスコが2018年に立ち上げた開発者向けプログラムの名称です。「Developer」と「Network」を組み合わせた造語で、ネットワークをソフトウェアの力で操作・自動化する開発者コミュニティを指します。
なぜ名称が変わったのか
シスコが公表した理由はシンプルで、「DevNetという名称が採用担当者や人事の間で伝わりにくい」というものでした。ネットワーク自動化スキルを持つ人材を採用したい企業の担当者が、求人票や履歴書で「DevNet」という単語を見ても、それがCisco系の由緒ある資格体系(CCNA/CCNP/CCIE)の一員だと気づきにくいという課題があったとされています。
そこでシスコは、広く認知されている「CCNA」というブランド名を冠し、「CCNA Automation」という名称に刷新しました。これにより、履歴書や求人票の上でも「CCNAの一つである」ことが一目で伝わりやすくなっています。試験コード・出題範囲・難易度自体に大きな変更はなく、ブランディングの見直しが中心の改称です。
試験の出題範囲と形式
試験コードは200-901(CCNAAUTO)で、約100問がコンピュータベースト試験(CBT)形式で出題されます。制限時間は120分です。出題形式は多肢選択式だけでなく、ドラッグ&ドロップやシミュレーション形式の問題も含まれており、知識の暗記だけでなく実践的な理解が問われます。
※ CBT(Computer Based Testing)とは、紙の答案ではなくパソコンの画面上で回答するテスト方式のことです。全国の試験センターで随時受験でき、日程の自由度が高いのが特徴です。
出題内容は、Pythonを中心としたソフトウェア開発の基礎、Web APIの仕組みとその活用方法、アプリケーション開発の手法、Ciscoプラットフォームとの連携、ネットワーク自動化の考え方など多岐にわたります。単なる「ネットワーク機器の知識」ではなく、「ソフトウェアの力でネットワークを動かす」視点が一貫して問われる点が最大の特徴です。
受験資格・対象者
受験にあたって前提資格は必要なく、誰でも受験できます。ただし公式には、ネットワークの基礎知識、Pythonなどのプログラミング言語の基礎、Web APIについての実務経験や学習経験があることが推奨されています。受験料は300米ドル+税です。
まったくの未経験からいきなり合格を目指すというより、ネットワークエンジニアがプログラミングを学んで挑戦するケース、あるいはソフトウェアエンジニアがネットワークの知識を補って挑戦するケースの両方が想定されている、いわば「橋渡し」の資格だといえます。
難易度・学習時間の目安
純粋なネットワーク資格であるCCNAや、純粋なプログラミングの資格と比べると、この資格は「両方の基礎」を同時に押さえる必要がある点で独特の難しさがあります。ネットワークの知識だけでは解けず、Pythonのコードが読めるだけでも太刀打ちできません。
学習時間の目安は、すでにネットワークかプログラミングのどちらか一方に土台がある人で100〜150時間程度、両方とも初学者に近い場合は200時間前後を見ておくと安心です。Cisco公式の学習プラットフォームや、Python・REST APIの基礎教材を組み合わせて学習を進める人が多いとされています。
※ REST APIとは、Web上のシステム同士がデータをやり取りするための標準的な仕組みのことです。ネットワーク機器の設定変更なども、このAPIを通じてプログラムから自動的に行えるようになります。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
ネットワークオートメーションエンジニア
数百台、数千台規模のネットワーク機器の設定変更を手作業で行うのは非現実的です。Pythonのスクリプトやツールを使って設定変更・監視・障害対応を自動化する専門職で、この資格の知識がそのまま実務に直結します。企業のインフラ効率化の中心的な役割を担います。
ネットワークエンジニア(自動化スキル保有者)
従来型のネットワークエンジニアが自動化スキルを身につけることで、単純な設定作業から解放され、より上流の設計・改善業務に時間を割けるようになります。CCNAなど従来資格との組み合わせで市場価値が高まりやすい資格です。
DevOps・インフラエンジニア
アプリケーション開発とインフラ運用の橋渡しを担うDevOpsの現場でも、ネットワーク部分の自動化知識は重宝されます。クラウドやコンテナ技術と組み合わせて、インフラ全体をコードで管理する「Infrastructure as Code」の実践に活かせます。
誕生の背景・歴史
2020年:シスコ初のソフトウェア開発者向け資格として誕生
Cisco Certified DevNet Associateが登場したのは2020年です。当時、クラウドやソフトウェア定義ネットワーク(SDN)の普及により、ネットワークの設定・管理を人手ではなくプログラムで自動的に行う流れが急速に広がっていました。従来のCCNA・CCNP・CCIEといった資格体系はいずれも「機器の操作・設定」を軸にしたものであり、ソフトウェア開発の視点を評価する資格が存在しないことがシスコにとっての課題でした。
そこでシスコは、2018年から展開していた開発者コミュニティ「DevNet」の名を冠した新資格群を立ち上げ、その入門資格としてDevNet Associateを新設しました。ネットワークエンジニアがソフトウェア開発の世界に踏み出すための、いわば「架け橋」として設計されたのです。
2026年2月:CCNA Automationへ改称
登場から約6年が経った2026年2月3日、シスコはこの資格を「CCNA Automation」へと改称しました。試験内容そのものを大きく変えるのではなく、資格の位置づけをより分かりやすく伝えるためのブランド刷新です。既存の保有者は再受験なしで自動的に新名称の認定へ移行しており、実務上の資格価値が失われることはありません。
※ この記事では検索性を考慮して「Cisco Certified DevNet Associate(現:CCNA Automation)」という旧名称併記のタイトルにしていますが、内容は2026年時点の最新情報(CCNA Automationとしての位置づけ)に基づいています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
ネットワークエンジニアからのキャリア拡張を目指す人
すでにCCNAやCCNPを持つ現役のネットワークエンジニアが、次のキャリアの一手としてこの資格に挑戦するケースが多く見られます。「機器を設定する人」から「ネットワークを自動で動かす仕組みを作る人」へと役割を広げることで、社内での立ち位置や市場価値を高める狙いがあります。
ソフトウェアエンジニアからネットワーク領域に踏み出す人
逆に、Pythonなどのプログラミングは得意だがネットワークの知識が手薄だったエンジニアが、インフラ領域への理解を深めるためにこの資格を選ぶ場合もあります。クラウドインフラの構築・運用に関わる中で、ネットワークの基礎知識が必要になった人にとって実践的な学びの機会になります。
自動化による業務効率化を任された担当者
社内インフラの運用コスト削減や、手作業によるヒューマンエラーの削減を任された情報システム部門の担当者が、その具体的な手段としてネットワーク自動化を学ぶために取得するパターンもあります。資格取得の過程で得た知識が、そのまま社内の業務改善提案に直結しやすいのも特徴です。
豆知識:ネットワークとソフトウェアの境界線をなくした資格
シスコ資格史上、初めて「コードを書く力」を問うた資格
シスコは1990年代からCCNAをはじめとするネットワーク資格体系を築いてきましたが、その中身は一貫して「機器の設定・トラブルシューティング」が中心でした。DevNet Associateは、シスコの長い資格史の中で初めて「プログラミングができること」を正面から評価する試験として設計された、いわば異色の存在です。ネットワーク業界で「資格といえば機器操作」という常識に一石を投じた資格ともいえます。
改称の裏にある「伝わりやすさ」への強いこだわり
2026年の改称理由としてシスコが挙げた「DevNetという名称が採用担当者に伝わりにくい」という説明は、資格の中身ではなく「名前の伝わり方」を理由にした改称という点で珍しい事例です。技術力の高い人材ほど、実は「肩書きの分かりやすさ」で損をしているケースは他業界でも起こりがちで、シスコがブランドの認知度を重視して大胆に名称を変えた判断は、資格業界における一つの興味深い事例として今後も語られていきそうです。
DevNetコミュニティとの関わり
資格名からは「DevNet」の文字が消えましたが、シスコの開発者コミュニティ自体は現在も「Cisco DevNet」の名称で運営が続いています。資格名と組織名が今後どう整理されていくのかも、ネットワーク自動化の分野に関わる人にとって注目されるポイントです。
まとめ ― ネットワークの未来を「書く」人になる第一歩
こんな方にとくにおすすめ
- CCNA・CCNPなど従来のネットワーク資格を持ち、次のスキルを模索している方
- Pythonの基礎は学んだが、実務で活かせる分野を探している方
- 社内インフラの自動化・効率化を任されている情報システム担当者の方
- クラウドインフラの構築・運用でネットワーク知識の必要性を感じている方
- ネットワークとソフトウェア開発、両方の分野でキャリアの幅を広げたい方
取得に向けた第一歩
まずはシスコが提供する公式の学習教材やオンライン学習プラットフォームで出題範囲の全体像をつかむのがおすすめです。並行してPythonの基礎文法とREST APIの仕組みを学べる教材に触れておくと、試験対策と実務スキルの両方が同時に身につきます。取得後は、より専門性の高い「DevNet Professional」(現:CCNP Automation相当)や、他分野のCiscoスペシャリスト資格への挑戦も視野に入ってきます。
