CCNA(シスコ技術者認定)について

CBT・オンライン試験誰でも受験可
民間資格

CCNA(シスコ技術者認定)とは?

概要・難易度・世界標準のネットワーク資格を解説

CCNAの概要

CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、世界最大手のネットワーク機器メーカーである米Cisco Systems社が認定するネットワーク技術者資格です。IPアドレス・ルーティング・スイッチング・セキュリティ・自動化など、ネットワーク技術の基礎から中級領域を幅広くカバーしており、ネットワークエンジニア・インフラエンジニアを目指す方にとって「最初に取るべきプロ資格」として世界中で認知されています。

Cisco Systems(シスコシステムズ)とは、世界のネットワーク機器市場でトップシェアを誇るアメリカのIT企業のことです。企業・官庁・通信キャリアのネットワーク機器の相当数はCisco製であり、「Ciscoを知らないネットワークエンジニアはいない」といわれるほど業界への影響力が大きい会社です。

試験の出題範囲と形式

現行のCCNA試験(200-301 CCNA)は1つの試験でネットワークの基礎・IPサービス・セキュリティの基礎・自動化・スイッチングおよびルーティングを横断的に問います。試験はCBT形式で全国のPearson VUEテストセンターで受験可能。問題数は約100問、試験時間は120分、受験料は約46,000円(2024年時点)です。

ルーティング(Routing)とは、ネットワーク上のデータをどの経路で送るかを決める技術のことです。ネットワーク機器「ルーター」が各データの宛先を読み取り、最適な経路で転送します。宅配便の「配送経路の決定」に例えられます。スイッチング(Switching)とは、同じネットワーク内の機器同士がデータをやり取りする技術で、「スイッチ」という機器が担います。

認定体系での位置づけ(CCNA→CCNP→CCIE)

CCNAはCiscoの認定体系でアソシエイト(中級)レベルに位置します。上位にはCCNP(プロフェッショナル)CCIE(エキスパート、業界最難関レベル)があります。CCNAを取得してからCCNPへ進むというキャリアパスがネットワークエンジニアの王道とされています。

難易度・学習時間の目安

★★★☆☆ 中級 ― ネットワーク未経験から100〜200時間の学習が目安

ネットワークの基礎知識がない状態から合格を目指す場合、100〜200時間程度の学習が必要とされています。特にサブネット計算・OSIモデル・ルーティングプロトコルは理解に時間がかかります。実機やシミュレータ(Cisco Packet Tracerは無料で利用可能)でハンズオン学習を組み合わせることで理解が深まります。

OSIモデルとは、ネットワーク通信の仕組みを「物理層→データリンク層→ネットワーク層→…→アプリケーション層」の7段階に分けて定義した国際標準モデルです。「ネットワーク通信がどういう仕組みで動いているか」を理解するための概念的な枠組みで、CCNAでは各層の役割と代表的なプロトコルの理解が求められます。

合格率の目安:Cisco社は合格率を公開していませんが、30〜40%程度といわれています。2〜3回受験して合格する方も多い試験です。受験料が高いため、十分な準備をしてから臨むことが重要です。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

ネットワークエンジニア・インフラエンジニア

CCNAはネットワークエンジニアの求人募集で最も多く要件として挙げられる資格のひとつです。SIer・通信キャリア・データセンター事業者・ITサービス会社での採用・評価の基準になることが多く、取得後すぐに実務キャリアに直結します。

SIer(エスアイヤー)とは、System Integrator(システムインテグレーター)の略で、顧客企業のITシステムの企画・設計・開発・構築・保守を一括して請け負うIT企業のことです。富士通・NTTデータ・NEC・日立などの大手から中小のSI会社まで多数あり、日本のIT業界の大きな柱です。

クラウドネットワーク・セキュリティエンジニア

AWSやAzureのクラウドインフラでもネットワーク設計の基礎知識は必須です。CCNAで学ぶルーティング・スイッチング・セキュリティの概念はクラウド環境での設計にも直接活かせます。クラウド資格(AWS・Azure)との相性が良く、組み合わせで評価が高まります。

CCNPへのキャリアアップ

CCNAを取得後に1〜3年の実務経験を積み、上位のCCNP(プロフェッショナル)を目指すことで、大規模ネットワーク設計・セキュリティ専門家としてのキャリアパスが開けます。さらにCCIEまで進めば業界内での希少な専門家としての地位を確立できます。

誕生の背景・歴史

1998年:インターネット普及期に誕生

CCNAが誕生したのは1998年のことです。1990年代後半、インターネットの急速な普及とともに企業ネットワークの構築需要が急増し、Cisco製機器を扱えるエンジニアの不足が深刻になりました。Ciscoはこの状況に対応すべく、自社製品の技術者育成・認定を目的とした資格制度を設計し、CCNAはその入口に位置するアソシエイト資格として生まれました。

2020年:クラウド・自動化時代への大改革

2020年には試験体系が大幅にリニューアルされ、複数に分かれていた試験が1本化されました。ネットワーク自動化・プログラマビリティという新分野も追加され、クラウド時代・ネットワーク自動化時代に対応した内容に進化しています。25年以上にわたって世界中のネットワークエンジニアの登竜門であり続けている資格です。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

インフラエンジニア志望の未経験者・若手

「ネットワークの基礎を学んだ証明として、就職・転職で差をつけるために」取得するケースが最も多いです。IT専門学校でも在学中にCCNA取得を目標とするカリキュラムが多く、新卒採用の際にCCNA保有者は評価されます。

実務経験のあるネットワークエンジニアのステップアップ

現場でCisco機器を扱っているが体系的な知識を整理したい、あるいは上位資格CCNPへのステップとして受験するケースもあります。「実務ではできているが、資格という証明がなかった」という方の受験が多いのも特徴です。

他業種からITへのキャリアチェンジ者

他業種からIT業界に入る際、「まず客観的な資格でスキルを証明したい」という目的でCCNAを選ぶ方も増えています。転職エージェントからも「ネットワーク職を目指すならCCNAを取ってから」と勧められることが多い資格です。

豆知識:世界の「インターネットの裏側」はCiscoが支えている

世界インフラの半数近くがCisco製

Ciscoはエンタープライズルーターの世界市場で半数近くのシェアを持ち、大手通信キャリア・金融機関・政府機関・大学など世界中の重要インフラで使われています。あなたが今インターネットで何かを見ているとき、そのデータパケットはどこかのCisco製ルーターを経由していることが多いのです。

「CISCO」という社名の意外な由来

「CISCO」という会社名はサンフランシスコ(San Francisco)の略称から来ており、会社のロゴにはゴールデンゲートブリッジの鉄塔が描かれています。世界の通信インフラを支える企業の名前の由来が、橋のある都市の略称というのは親しみやすいエピソードです。

「Ciscoを世界一に育てた男」ジョン・チェンバース

CCNAが対象とするCisco製品の世界的普及を主導した最大の立役者が、20年間CEOを務めたジョン・チェンバース(John Chambers)氏です。1995年にCEOに就任した当時、Ciscoの年間売上は約20億ドルでしたが、退任した2015年には490億ドルを超えるまでに成長させました。「お客様の課題を技術で解決する」という哲学を全社に徹底し、世界中のネットワークエンジニアに「Ciscoを学べばキャリアが開ける」という文化を根付かせた人物です。CCNAはまさに、チェンバース氏が育て上げたCiscoブランドの産物といえます。

まとめ ― ネットワークエンジニアへの最もわかりやすい「入場券」

こんな方にとくにおすすめ

  • ネットワーク・インフラエンジニアとして就職・転職を目指している方
  • IT専門学校・大学でネットワークを学んでいる学生
  • クラウドエンジニアとしてインフラの基礎も身につけたい方
  • CCNPへのステップアップを目指す現役エンジニア

取得に向けた第一歩

学習教材は「黒本(CCNA完全合格テキスト)」や「Ping-t(オンライン問題集)」が定番です。Cisco Packet Tracerを使ったシミュレーション実習を取り入れることで、テキストだけでは理解しにくいルーティング・スイッチングの概念が身につきます。受験料が高額なので、1〜2か月しっかり準備してから受験に臨みましょう。