船内荷役作業主任者について

筆記試験実務経験・学歴が必要
国家資格

船内荷役作業主任者とは?

労働安全衛生法に基づく国家資格(技能講習)をわかりやすく解説

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船内荷役作業主任者の概要

船内荷役作業主任者は、労働安全衛生法第14条・施行令第6条第20号に基づき、船倉(船の荷物を格納するスペース)内での貨物の積み込み・積み卸し(荷役)作業を行う事業場に選任が義務付けられる国家資格(技能講習修了証)です。港湾貨物運送事業労働災害防止協会(港湾労災防止協会)等の登録機関が実施する2日間・15時間の技能講習を修了し、修了考査に合格することで取得できます。受講には「船内荷役業務5年以上の実務経験」等の受講資格が必要です。

「船内荷役」は港湾労働の最前線:船内荷役とは、バルクキャリア(ばら積み船)・コンテナ船・一般貨物船の船倉内で荷物を積み込み・積み卸しする作業です。ハッチ(船倉口)からグラブバケット・クレーン・コンベアで荷物を出し入れする重作業で、重機との接触・転落・崩壊等の重大事故リスクが高い現場です。主催機関が建災防ではなく「港湾労災防止協会」である点も他の作業主任者と異なる特徴です。

選任が必要な作業と作業主任者の職務

船内荷役作業(船倉内での貨物の積み込み・積み卸し・移動・仮置き等)に作業主任者の選任が義務付けられます(安衛則第420条・第428条等)。作業主任者の職務は作業の方法の決定・労働者の配置・指揮・グラブバケット・スリング等の点検・貨物の積付け状態の確認・酸素欠乏・有毒ガスの確認・強風・荒天時の作業中止判断・クレーン・フォークリフト等との接触防止措置です。

基本情報の早見表

取得方法技能講習(2日間・15時間)+修了考査(筆記)合格
講習科目①作業の方法・設備に関する知識(8h)②作業環境の改善に関する知識(4h)③教育方法(1h)④関係法令(2h)⑤修了考査
合格基準各科目40点以上かつ総合60点以上
受講資格①船内荷役業務に5年以上従事した者②土木・建築・機械系学科の学歴+3年以上の船内荷役実務
受講料約17,000〜22,000円(機関・地域により異なる)
有効期限なし(終身有効・更新不要)
選任対象船倉内での貨物の積み込み・積み卸し(船内荷役)作業
主催港湾貨物運送事業労働災害防止協会(港湾労災防止協会)および都道府県の登録機関

講習内容を詳しく

2日間・15時間の科目詳細

技能講習は2日間15時間のカリキュラムで、船内荷役の作業方法・安全設備・作業環境管理・関係法令を体系的に学びます。他の作業主任者技能講習と比べてやや講習時間が長い点が特徴で、港湾荷役特有の複雑な危険要因(クレーン・重機・船体・貨物の四者が同時に動く現場)に対応した内容です。

  • 作業の方法・設備に関する知識(8時間):船の種類(ばら積み船・コンテナ船・一般貨物船・RO-RO船・タンカー)と船倉の構造・ハッチ(船倉口)の種類と開閉方法・荷役方法(グラブ荷役・スリング荷役・コンテナ荷役・バラ荷役)・デッキクレーン・岸壁クレーン・ガントリークレーンの特性・フォークリフト・リーチスタッカーの使用方法と安全・貨物の種類(穀物・鉱石・石炭・チップ・鋼材・危険物)ごとの積付け注意点・玉掛け用具(スリング・グラブ・クランプ)の点検
  • 作業環境の改善に関する知識(4時間):船倉内の酸素欠乏・有毒ガス(硫化水素・一酸化炭素)の危険性と測定方法・穀物・石炭・パルプ等の自然発火リスク・粉じん(穀物粉・鉱石粉・石炭粉)対策と防じんマスク・騒音管理(デッキ上のクレーン・荷役機械)・照明基準(船倉内の採光・照明設置)・荒天・強風時の作業中止基準・落下物防止(ハッチ周辺の養生)
  • 教育方法(1時間):港湾荷役現場での危険予知活動(KY)・新規入場者教育(船の構造・荷役ルールの周知)・ツールボックスミーティング・重大事故事例(転落・クレーン接触・酸欠・崩壊)と再発防止対策
  • 関係法令(2時間):施行令第6条第20号・安衛則第420〜428条(船内荷役の安全基準)・港湾労働法・港則法(港湾内での作業規則)・クレーン則・玉掛け技能講習との関係・作業主任者の職務と選任義務

修了考査の内容と合格基準

2日目の最後に修了考査(筆記)が実施されます。各科目40点以上かつ総合60点以上で合格です。合格率は非常に高く、2日間の講義を集中して受けていれば問題なく合格できます。合格者には「船内荷役作業主任者技能講習修了証」が交付されます。

難易度・合格の目安

★★☆☆☆ 修了考査合格率は95%超。2日間の講義を受けていれば合格できる内容。実質ハードルは受講資格(船内荷役業務5年以上)。港湾労働者に特化した資格で他業種への転用は限られる。

船内荷役作業主任者の修了考査は合格率が非常に高く、2日間の講義内容に沿った出題です。受講者は港湾荷役会社・港湾運送会社の現場作業員が中心のため、船倉・クレーン・荷役機械に関する基礎知識が業務経験から身についており、理解が進みやすい講習内容です。受講資格の「5年以上の実務経験」は他の作業主任者(3年以上が多い)より長い点に注意が必要です。

修了考査合格率:受講者のほぼ全員が合格。荷役方法の種類・船倉内の危険要因(酸欠・落下・クレーン接触)・関係法令(選任基準・荷役安全基準)の基本事項を押さえれば十分。

キャリアパスと需要

港湾荷役会社・港湾運送会社で不可欠な作業主任者

港湾荷役会社・港湾運送会社(港湾運送事業法に基づく1〜6種の免許業者)・海運会社・貿易会社の港湾部門が主な就業先です。日本の物流は輸出入量の99.6%以上が海上貨物で運ばれており(国土交通省)、主要な輸出入港(横浜・神戸・大阪・名古屋・東京等)では24時間365日船内荷役が実施されています。港湾荷役の作業主任者は現場の安全管理責任を担う重要なポジションで、班長・フォアマン・現場監督へのキャリアアップにつながります。

玉掛け技能講習・クレーン運転士との組み合わせ

船内荷役作業主任者と「玉掛け技能講習」修了証、「クレーン・デリック運転士」免許(または移動式クレーン運転士免許)を組み合わせることで、荷役作業の指揮(作業主任者)・玉掛け作業(玉掛け)・クレーン操作(クレーン運転士)を一人で担える港湾荷役の総合技能者として市場価値が高まります。港湾労働者向けの特別教育(ゴンドラ・高所作業車等)も合わせて取得することで港湾現場でのキャリアを強化できます。

豆知識:船内荷役の世界

「ハッチ」から見える船倉の危険

ハッチとは船倉の開口部(口)のことで、荷役中は大きく開いた状態になります。ハッチの縁から船倉への転落は数メートル〜十数メートルの高さになることが多く、致命的な事故につながります。船内荷役作業主任者はハッチ周辺の立入禁止区域の設定・安全帯の使用状況の監視・照明の確保・作業員への注意指導を一手に担います。港湾荷役では転落が最も多い重大事故類型の一つです。

穀物船倉の「酸素欠乏」は無音の危機

穀物(大豆・とうもろこし・小麦等)・石炭・木材チップ等の貨物は積載中に酸素を消費する場合があります。特にばら積み穀物を長期積載した船の船倉は、貨物の呼吸作用・酸化・腐敗で酸素濃度が急激に低下し酸素欠乏状態(酸素濃度18%未満)になることがあります。酸素欠乏になった船倉に何も知らず入った場合、数秒〜数十秒で意識を失い死亡する可能性があります。船内荷役作業主任者は入倉前の酸素濃度測定・必要に応じた換気の実施を必ず行います。

コンテナ化と船内荷役の変化

1960年代からコンテナ輸送が普及し、現在の国際貿易の大半はコンテナ船で行われます。コンテナ荷役ではガントリークレーン(岸壁クレーン)とリーチスタッカー・トップリフターが主役で、昔ながらの手作業による雑貨・ばら荷の船内荷役は減少しました。一方で鉄鉱石・石炭・穀物・木材チップ等のバルク(ばら積み)貨物は依然として専用船での船内荷役が必要であり、船内荷役作業主任者の需要は一定規模で継続しています。

よくある質問

Q. コンテナ船のコンテナ積み卸し作業でも選任が必要ですか?

コンテナ船のコンテナ積み卸し作業でも、コンテナを船倉(ハッチ内)に積み込む際や船倉から取り出す際の作業(スロット内の作業員による固定具着脱・検査等)が発生する場合は船内荷役に該当します。ガントリークレーンとコンテナ車両の動線が交差する岸壁では別途フォークリフト系の安全管理も必要です。コンテナターミナルでは船内荷役作業主任者に加え「フォークリフト運転技能講習」「クレーン・デリック運転士」の有資格者の配置が一般的です。

Q. 港湾労働者以外でも受講できますか?

受講資格を満たしていれば港湾労働者以外でも受講できます。ただし受講資格の「船内荷役業務5年以上」という要件は、実際に船内荷役作業(船倉内での貨物の積み込み・積み卸し作業)の実務経験が必要で、一般的な倉庫作業・トラック運搬・フォークリフト作業では経験として認められない場合があります。受講前に受講機関(港湾労災防止協会等)に受講資格の確認をすることをお勧めします。

こんな方におすすめ

  • 港湾荷役会社・港湾運送会社の現場で船内荷役業務に5年以上従事し、作業主任者として安全管理を担いたい方
  • ばら積み船(穀物・石炭・鉄鉱石・木材チップ)の船内荷役現場でのキャリアアップを目指す方
  • 玉掛け技能講習・クレーン運転士と組み合わせて、港湾荷役の総合技能者として市場価値を高めたい方
  • 港湾荷役会社・海運会社の安全衛生担当として、現場の安全管理体制を強化したい方

最新の講習日程・受講料・申込方法の詳細は港湾貨物運送事業労働災害防止協会(港湾労災防止協会)または各都道府県の登録機関にお問い合わせください。

公式サイト:港湾貨物運送事業労働災害防止協会(港湾労災防止協会)