福祉情報技術コーディネーターとは?
概要・現在の状況・過去の難易度を解説
福祉情報技術コーディネーター認定試験は、一般財団法人全日本情報学習振興協会が実施していた民間資格です。福祉現場でのIT活用・支援技術(アシスティブテクノロジー)の知識を問う内容でしたが、2017年2月の第36回試験を最後に実施されておらず、現在は事実上廃止された状態です。これから新たに受験することはできません。
すでに終了した資格について「今さら調べても意味がない」と思われるかもしれませんが、福祉とITの接点を模索した先駆的な試みとして、その成り立ちや役割を知っておく価値はあります。このページでは、資格の概要から休止に至った経緯まで、確認できる情報を整理してお伝えします。
※ アシスティブテクノロジー(AT)とは、障害や加齢によって生じる身体機能の制約を、技術の力で補い生活をしやすくするための考え方や機器・ソフトウェアの総称です。
福祉情報技術コーディネーターの概要
福祉情報技術コーディネーターは、福祉用具そのものの知識ではなく、パソコンやIT機器を福祉現場でどう活用するか、また障害のある方の生活を支える情報技術支援に軸足を置いた資格でした。等級は1級から3級までの3区分に分かれており、段階的にステップアップできる設計になっていました。
試験の出題範囲と形式(過去実施分)
学科試験・実技試験のどちらが課されていたか、また試験時間の詳細については、一次情報である試験専用サイトがすでに閉鎖されており確認できませんでした。ただし、タクソノミー上は「過去に実技試験を含む形式で実施されていた」と扱われています。出題内容は、ITの基礎知識に加えて、福祉現場での情報支援に関する実践的な内容が含まれていたとされています。
※ 一次情報とは、主催団体が直接発信した公式な情報のことです。反対に、第三者のまとめサイトなどが伝える情報は「二次情報」と呼ばれ、正確性の裏付けが弱くなります。
受験資格・対象者
二次情報によれば、受験資格は「18歳以上」であったとされています。ただし、この情報の一次情報となる公式ページはすでに消失しており、正確な裏付けは取れていません。あくまで参考情報としてご理解ください。
他の福祉系資格との違い
「福祉」と名のつく資格には、国が定める公的な位置づけを持つ福祉用具専門相談員のような資格もあります。これに対して福祉情報技術コーディネーターは、福祉用具そのものではなく「IT・アシスティブテクノロジーの活用支援」に特化した民間資格だった点が大きな違いです。福祉現場のデジタル化という、当時としては先進的なテーマを扱っていました。
現在の状況・難易度(過去実施時点の情報)
この資格は現在休止しており、そもそも新規受験ができません。参考として、実施されていた当時の情報を紹介します。試験は年2回程度(8月上旬・2月中旬)、会場は東京・大阪で行われていたという記述が第三者サイトに見られますが、いずれも一次情報での確認はできていないため、あくまで参考情報として捉えてください。
受験料についても、1級10,000円・2級8,000円・3級7,000円という記述が第三者サイトにありますが、こちらも公式な裏付けは取れていません。合格率は3級のみ「約32%」という二次情報がある一方、1級・2級は非公表とされていました。
※ このセクションの数値情報は、いずれも公式サイトが消失した後に確認できた二次情報にもとづくものです。正確性を保証するものではない点にご留意ください。
資格が活かされていた仕事・関連する場面
福祉施設のIT担当・相談員
福祉施設で働く職員のなかには、パソコンやタブレットの導入・設定を任される立場の人もいます。この資格は、そうした場面で「福祉の知識」と「ITの知識」の両方を持つ人材であることを示す材料として使われていたと考えられます。
障害者支援に関わる情報機器の選定担当
視覚・聴覚・身体に障害のある方が使いやすい情報機器やソフトウェアを選ぶ場面で、アシスティブテクノロジーの知識は役立ちます。この資格は、そうした機器選定のアドバイスができる人材を育てる目的があったとみられます。
福祉系ITベンダーの営業・サポート職
福祉施設向けにITシステムや支援機器を販売・導入する企業にとって、福祉現場の実情とIT知識の両方を理解した担当者は重宝されます。この資格は、そうした立場の人がスキルを裏付ける手段の一つだったと考えられます。
誕生の背景・歴史
誕生の経緯:福祉とITをつなぐ試み
福祉情報技術コーディネーターは、一般財団法人全日本情報学習振興協会によって創設されました。同協会は情報セキュリティやコンプライアンス関連の資格を数多く手がけており、その知見を福祉分野に応用する形で、福祉現場のIT活用を後押しする資格として立ち上げられたと考えられます。当時はまだ「福祉×IT」という組み合わせ自体が珍しく、先進的な位置づけの資格でした。
2017年:第36回試験を最後に休止へ
2017年2月12日に実施された第36回試験を最後に、この資格試験は実施されていません。協会の発表によれば、休止の理由は「情報化の急速な進展に支援技術の変化が追いつかず、テキストが陳腐化したため抜本的な改革が必要になった」というものでした。ITの世界は数年単位で技術が刷新されるため、テキストの更新が追いつかなくなったという事情は、この分野特有の難しさを物語っています。
※ 再開時期は公式に案内されておらず、現在に至るまで試験は再開されていません。主催団体のウェブサイトからも本資格に関する記載自体が削除されており、事実上の廃止資格として扱うのが適切です。
どんな人が、どんな目的で取得していたのか
福祉施設のパソコン担当を任された職員
介護や福祉の現場では、パソコンやネットワークの担当者が明確に決まっていないことも多く、なんとなく詳しい人が任されるケースが少なくありません。そうした立場の人が、体系立った知識を身につける手段としてこの資格を選んでいたと考えられます。
IT業界から福祉分野へのキャリアチェンジ志望者
ITエンジニアやシステム担当として働いていた人が、福祉分野への転職を考えたときに、両方の知識を証明できる資格として関心を持つケースもあったようです。IT知識をそのまま活かせる福祉系資格は珍しく、この資格ならではの需要があったと考えられます。
福祉機器メーカー・販売店の担当者
福祉用具や支援機器を扱う企業の担当者が、顧客への提案力を高めるために取得を検討していたケースもあると考えられます。福祉現場の課題を理解した上でIT機器を提案できる人材は、当時としては差別化のポイントになり得たでしょう。
豆知識:消えた資格が教えてくれること
資格が「陳腐化」を理由に休止するのは珍しい
資格試験が休止・廃止される理由としては、受験者数の減少や運営団体の解散が一般的です。しかし、この資格の休止理由として公式に説明されたのは「テキストの陳腐化」でした。試験内容を最新の技術に追いつかせるコストが、資格の存続コストを上回ってしまったということであり、変化の速いIT分野ならではの珍しい事例といえます。
約9年前に姿を消した資格をなぜ調べるのか
すでに実施されていない資格の情報をあえて残しておくのは、「この資格を持っている」と履歴書やSNSで見かけたときに、それがどんな資格だったのかを調べる手段を用意しておくためです。また、福祉×ITというテーマ自体は今なお重要であり、後継となる講座や資格を探す際の参考にもなります。
まとめ ― 今はもう取得できない、福祉×ITの先駆けだった資格
こんな方にとくにおすすめ
- すでにこの資格を保有していて、経歴の意味を再確認したい方
- 福祉分野とIT分野を組み合わせたキャリアの歴史に関心がある方
- 福祉×IT領域で現在受講できる講座・資格を探す前段階として、この分野の背景を知りたい方
今からできることは「後継にあたる学びを探す」こと
福祉情報技術コーディネーター自体は2017年を最後に受験できなくなっていますが、福祉現場でのIT活用支援・アシスティブテクノロジーというテーマ自体は今も重要であり続けています。関心のある方は、現在実施されている情報系の資格や、福祉用具専門相談員のような公的な位置づけの資格を含めて、現行で学べる選択肢を探してみることをおすすめします。
