
「旅行で現地の言葉を少し使ってみたい」「推しのインタビューを字幕なしで聞き取りたい」——英語以外の言語を始めるきっかけは人それぞれですが、続ける支えとして「検定」を目標に据える人は少なくありません。ところが英語のTOEICのようにわかりやすい入り口が一つあるわけではなく、第二外国語の検定は言語ごとに設計がバラバラで、そもそもどの級から受ければいいのか見つけにくいのが実情です。この記事では中国語・韓国語・ドイツ語・スペイン語・タイ語の入門級を横並びにして、「どこから受けられるか」「どの基準の試験か」の二つで整理します。
まず地図を持とう:5言語7検定を「入門級」と「どこの基準か」で並べる
第二外国語の検定選びで迷う正体は、たいてい二つに絞れます。一つは「何級から受けられるのか」。もう一つは「日本の団体が作った検定か、その言語の本国が作った検定か」です。まずは全体像を一枚にまとめます。詳しい話は次の章から言語ごとに読めるので、ここでは自分に近い行だけ拾えば十分です。
| 言語 | 検定 | 実施団体(基準) | 入門級 |
|---|---|---|---|
| 中国語 | 中国語検定(中検) | 日本中国語検定協会(国内) | 準4級 |
| 中国語 | HSK | 中国教育部系の機関(本国) | 1級 |
| 韓国語 | ハングル能力検定 | ハングル能力検定協会(国内) | 5級 |
| 韓国語 | TOPIK | 韓国・国立国際教育院(本国) | TOPIK I |
| ドイツ語 | ドイツ語技能検定(独検) | ドイツ語学文学振興会(国内) | 5級 |
| スペイン語 | スペイン語技能検定(西検) | 日本スペイン協会(国内) | 6級 |
| タイ語 | 実用タイ語検定(タイ検) | 日本タイ語検定協会(国内) | 5級 |
※ 国内基準の検定とは、日本の団体が日本語話者向けに作った検定で、設問が日本語で書かれ初級ほど取り組みやすいものを指します。本国基準の検定は、その言語の本国(政府系の機関)が作り、世界共通のものさしとして使われる検定です。
中国語と韓国語は「国内の検定か、本国の検定か」で二択になる
この5言語のなかで、中国語と韓国語だけは入門者の前に検定が二つ並びます。日本発の検定と、本国発の検定です。どちらも入門級から受けられますが、狙いが違うので、まずこの二択の意味を押さえると迷いが減ります。
中国語(1)中国語検定(中検)——日本語で基礎を測る「準4級」から

中検は日本中国語検定協会が実施する国内基準の検定です。級は準4級から1級まであり、入門は準4級。基礎単語500語程度を身につけ、大学の第二外国語で半年ほど学んだあたりが目安とされます。設問が日本語なので「まず日本語で足場を固めたい」人に向き、国内での知名度も高い一本です。
中国語(2)HSK——世界共通のものさし「1級」から

HSKは中国政府系の機関が認定する本国基準の試験で、世界中で同じ内容が実施されます。現在は1級から6級までで、入門の1級は常用語150語程度から始められます。留学や現地就職を見据えるなら、国際的に通用するHSKのほうが話が早い場面が多くなります。ざっくり言えば「日本で学ぶ実感がほしいなら中検、中国と直接つながりたいならHSK」という住み分けです。
韓国語(1)ハングル能力検定——設問が日本語の「5級」から

韓国語も構図はそっくりです。ハングル能力検定(ハン検)はハングル能力検定協会が実施する国内基準の検定で、5級から1級まで。入門の5級はハングルの読み書きと基本のあいさつが中心です。5級から2級までは設問が日本語で問われるため、独学の初学者でも一歩を踏み出しやすいのが持ち味です。
韓国語(2)TOPIK——級を選ばず、点数で決まる「TOPIK I」

TOPIKは韓国政府傘下の国立国際教育院が実施する本国基準の試験です。ここが他と一味違うのは、受験時に級を選ばない点。初級者はまずTOPIK Iを受け、その得点に応じて1級か2級かが後から判定されます。韓国の大学入学や就労で求められることが多く、韓国と本格的に関わるなら外せない一本です。
※ TOPIKは「TOPIK I(初級)」と「TOPIK II(中〜上級)」の二種類があり、申し込む段階で1級〜6級のどれを狙うかを決めません。受けたあとの点数で級が確定する仕組みです。
ドイツ語・スペイン語・タイ語は、素直な級制で入門級から
中国語・韓国語のような二択がない残り三つは、話がシンプルです。いずれも「級の数字が小さいほど上級、大きいほど入門」という素直な級制で、一番下の級から気軽に挑めます。
ドイツ語技能検定(独検)——5級スタート

独検はドイツ語学文学振興会が実施し、5級から1級まで。入門の5級は初歩の文法とあいさつ程度で、大学の第二外国語の前期を終えたくらいでも十分手が届きます。まず一つ形にしたい人の、最初の目標にちょうどよい級です。
スペイン語技能検定(西検)——6級スタート

西検は日本スペイン協会が実施し、6級から1級まで。7検定のなかで入門級の数字が一番大きく、その下の級が一つ多いぶん、6級は本当に始めたばかりの段階でも挑戦しやすい設計です。スペイン語は話者人口が多く、スペインから中南米まで視野が広がる言語でもあります。
実用タイ語検定(タイ検)——タイ文字が読めなくても5級

タイ検は日本タイ語検定協会が実施し、5級から1級まで。入門の5級はタイ文字が読めなくても受験でき、問題文にカタカナやローマ字の発音表記が併記されます。「あの独特の文字で心が折れそう」という人でも、まず音から入れる親切な設計です。
結局、自分はどれから始めればいい?
7つを並べると多く見えますが、目的で束ねると三つのルートに整理できます。
- とにかく気軽に一歩を、日本語の説明で: 中検(準4級)・ハン検(5級)・独検(5級)・西検(6級)・タイ検(5級)の入門級。設問が日本語で独学と相性が良い。
- 留学・現地就職・国際的な証明がほしい: 中国語ならHSK(1級)、韓国語ならTOPIK(TOPIK I)。本国基準なので世界で通用する。
- 文字への苦手意識がある: タイ語のタイ検5級は文字が読めなくても受験可。韓国語のハン検5級もハングルの読み方から始められる。
持ち帰り豆知識:中国語の「ものさし」は2026年に大きく変わる
検定は一度覚えれば一生同じ、とは限りません。HSKはいま、1級から6級までの体系を、初級・中級・上級それぞれ3段階ずつに分けた1級〜9級の新制度(通称HSK3.0)へ切り替える改革が進んでおり、2026年後半からの本格運用が予定されています。新たに設けられる上級では「一度の試験で7〜9級のどれかを判定する」方式も導入される見込みです。これから中国語を始めるなら、受ける時期によって級の意味が変わる可能性がある——そんな過渡期に立ち会えるのも、語学検定を追いかける面白さの一つと言えるかもしれません。
最初の一歩:入門級の例題を1回分ながめてみる
迷ったら、気になる言語の入門級の過去問や例題を一度ながめてみてください。中検なら準4級、HSKなら1級、ハン検・独検・タイ検なら5級、西検なら6級、韓国語のTOPIKならTOPIK I。「これなら手が届きそう」と感じた級が、あなたの現実的なスタートラインです。上の早見表を見返して、いちばん心が動いた一行から始めてみましょう。
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