
韓国ドラマやK-POPをきっかけに韓国語を学び始めた人が、次にぶつかるのが「検定を受けるなら、どれがいいの?」という疑問です。韓国語の検定には、大きく「TOPIK(韓国語能力試験)」と「ハングル能力検定試験(ハン検)」の2つがあります。名前だけでは違いが分かりにくいですが、じつは主催も方向性もはっきり異なります。この記事では、2つの違いを整理し、自分に合うのはどちらかを選べるように解説します。
ひと目でわかる:2つの試験の違い
まず、いちばん大事な違いを、下の表にまとめました。
| TOPIK | ハングル検定 | |
|---|---|---|
| 主催 | 韓国政府(国際基準) | 日本の協会(日本語話者向け) |
| 出題言語 | 韓国語のみ | 日本語を使う(和訳・韓訳) |
| 級の決まり方 | 点数で自動判定 | 級ごとに受験 |
| 主な使い道 | 留学・韓国での就職 | 国内での学習の目標 |
片方は韓国政府が実施する国際基準の試験、もう片方は日本の協会が日本語話者向けに作った検定です。この出発点の違いが、出題のしかたや級の決まり方、使い道の差にまでつながっています。まったく別の性格を持つ2つの試験だと考えると、混同しにくくなります。順に見ていきましょう。
TOPIK:韓国政府公認の”世界基準”

TOPIK(韓国語能力試験)は、大韓民国政府が認定・実施する、韓国語の公式試験です。政府が実施する唯一の公式試験という位置づけで、世界共通で通用する国際基準になっています。韓国への留学や、韓国での就職、大学の単位認定などに使えます。「韓国語の力を世界に証明したい」なら、こちらが本命です。
試験は、初級向けの「TOPIK I」(1〜2級)と、中〜上級向けの「TOPIK II」(3〜6級)に分かれています。6級が最上位です。特徴的なのは級の決まり方で、あらかじめ級を選ぶのではなく、IかIIを選んで受験し、取った点数によって級が自動的に判定されます。また、問題文もすべて韓国語で書かれており、日本語を介さずに出題されます。韓国語だけで考える力が問われる、実戦的な試験です。
試験科目は、聞き取りと読解が中心で、TOPIK IIには記述式の作文も加わります。日本語を経由しないぶん、実際に韓国語を使う場面に近い力が試されます。韓国の大学に留学したい人にとっては、入学に必要な語学力の基準としてTOPIKのスコアが求められることが多く、いわば「韓国語のパスポート」のような役割を果たします。世界共通の物差しなので、取得しておけば、韓国はもちろん、韓国語を生かした就職の場面でも堂々と示せます。
ハングル検定:日本語話者のための検定

ハングル能力検定試験(ハン検)は、日本のハングル能力検定協会が主催する検定です。こちらは、日本語を母語とする学習者向けに設計されているのが最大の特徴です。級は、易しい順に5級・4級・3級・準2級・2級・1級。1級だけは面接の二次試験もあります。
問題に、日本語と韓国語を訳し合う和訳・韓訳が含まれるのも、日本語話者向けならでは。日本語と対応させながら学べるので、学習の到達度を確かめる目標として取り組みやすい検定です。TOPIKのように点数で級が決まるのではなく、5級・4級と自分で級を選んで受験します。国内で楽しみながら、着実にステップアップしていきたい人に向いています。
入門者にとっては、いちばん下の5級から段階を踏んでいけるのが安心です。「まず5級に合格した」「次は4級を目指す」と、小さな達成を積み重ねられるので、学習のモチベーションを保ちやすいのです。韓国ドラマやK-POPをきっかけに学び始めた人が、最初の目標として選ぶことも多い検定です。日本語で問題が出るぶん、初級のうちはTOPIKより取り組みやすく感じられるでしょう。趣味として長く韓国語と付き合っていくうえで、心強い伴走者になってくれます。
どっちを受ける?
2つの試験は、目的で選び分けられます。
- 留学や韓国での就職に使いたい、世界に通用させたい→TOPIK(韓国政府公認・国際基準)
- 日本国内で楽しみながら、着実に実力を伸ばしたい→ハングル検定(日本語話者向けで取り組みやすい)
迷ったら、まずは取り組みやすいハングル検定で学習のリズムをつかみ、実力がついてきたらTOPIKに挑戦する、という進め方もおすすめです。両方を受けて、実力を多角的に測る人も少なくありません。それぞれ設計思想が違うため、公式な級の換算表はありませんが、どちらも最上位はTOPIKが6級、ハングル検定が1級と覚えておくとよいでしょう。
大切なのは、どちらが上か下かではなく、自分の目的に合っているかどうかです。日本国内で趣味として楽しむのが目的なら、和訳・韓訳のあるハングル検定のほうが取り組みやすく、達成感も得やすいでしょう。逆に、韓国とのつながりを仕事や進学に生かしたいなら、世界に通用するTOPIKが必要になります。まずは身近な目標としてハングル検定から始め、韓国語がもっと好きになったらTOPIKへ、という流れは、多くの学習者にとって無理のない道のりです。
持ち帰り豆知識:TOPIKは”あとから級が決まる”
TOPIKの面白いところは、受ける前に級を選ばない点です。TOPIK IIを受けた場合、その出来次第で、3級になることも、6級になることもあります。がんばった分だけ上の級が取れる、後付けの仕組みです。目標の級に「申し込む」のではなく、その日のベストを尽くして「取りにいく」感覚に近いと言えるでしょう。同じ試験を受けても、伸びれば伸びるほど上の級がついてくるので、実力の成長がそのまま結果に反映されます。
もう一つ、ハングル検定には、韓国と北朝鮮の両方の正書法(綴り方)を正解として認めるという珍しい方針があります。南北どちらの綴りで書いても正解になるのです。「韓国語」ではなく「ハングル」という文字の名前を検定名に掲げているのも、特定の国に偏らず、ハングルという文字そのものに焦点をあてる姿勢の表れだと言われます。この検定ならではの懐の深さが感じられるところです。似た2つの検定も、こうして中身をのぞいてみると、それぞれの個性が見えてきます。
まとめ:主催の違いから、方向性が分かれる
TOPIKは韓国政府公認の国際基準、ハングル検定は日本語話者向けの検定。この主催の違いから、出題言語や級の決まり方、使い道まで枝分かれしています。世界に通用させたいならTOPIK、国内で着実に伸ばしたいならハングル検定、と目的で選ぶのが確実です。
最初の一歩は、自分が韓国語を「何のために」学びたいのかを考えること。留学や就職という具体的な目標があるならTOPIK、まずは趣味として楽しく続けたいならハングル検定の入門級から。目標が決まれば、あとは日々の学習を積み重ねていくだけです。検定という区切りがあると、勉強のペースをつかみやすく、上達も実感しやすくなります。好きで始めた韓国語だからこそ、無理なく続けられる目標を選んで、楽しみながら力を伸ばしていきましょう。なお、試験の科目や実施回数は変わることがあるので、受験前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
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