医療通訳技能検定について

実技試験あり筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

医療通訳技能検定とは?

概要・難易度・キャリアを解説

スポンサーリンク

医療通訳技能検定の概要

医療通訳技能検定は、一般社団法人日本医療通訳協会(Gi-MIAJ)が実施する民間資格です。医療現場で求められる通訳の専門知識と実践力を測る試験で、2014年の制度創設以来、医療通訳者としての実力を客観的に示す指標として活用されています。

医療通訳とは、診察室や病院窓口などで、日本語を母語としない患者と医師・看護師との会話を通訳する専門職のこと。日常会話の通訳とは異なり、病名や薬剤名、検査手順といった専門用語を正確に訳す知識が求められます。

主催団体:一般社団法人日本医療通訳協会(Gi-MIAJ)

この検定を実施しているのは、一般社団法人日本医療通訳協会(略称:Gi-MIAJ)です。医療通訳者の養成・技能評価・地位向上を目的として活動している団体で、医療通訳技能検定はその中核事業のひとつに位置づけられています。

「医療通訳技能認定試験」とは別団体・別資格です

この記事で紹介する「医療通訳技能検定」と、名称の似た「医療通訳技能認定試験」は、まったく別の団体が実施する別の資格です。混同されやすいため、ここで明確に区別しておきます。

資格名実施団体
医療通訳技能検定(本記事)一般社団法人日本医療通訳協会(Gi-MIAJ)
医療通訳技能認定試験(別資格)一般財団法人日本医療教育財団

※ 求人情報や研修案内などで「医療通訳技能」という言葉を見かけたら、どちらの試験を指しているのか主催団体名まで確認する習慣をつけると安心です。試験内容・等級区分・受験資格もそれぞれ異なります。

1次・2次を同一受験し、結果に応じて級が決まる独自方式

医療通訳技能検定には1級(重度疾病対応レベル)と2級(軽中等度対応レベル)がありますが、受験者は出願時にどちらの級を受けるか選びません。1次試験(筆記、120分、12の大問で構成され、選択式・○×式・記述式を組み合わせた出題)と2次試験(実技)を同一の枠で受験し、その結果の到達度に応じて1級合格・2級合格・不合格のいずれかが判定される仕組みになっています。

この方式は、受験者が「まず2級を取ってから1級に挑戦する」という段階的な受験計画を立てにくい一方で、実力が高い受験者は一度の受験でいきなり1級評価を得られる可能性があるという特徴を持っています。

難易度・学習時間の目安

★★★★☆ 難しい

医療通訳技能検定は、医療分野に特化した専門用語の知識と、通訳スクールや実務での訓練を前提とした試験のため、難易度は高めです。受験資格自体に「通訳スクール修了」や「実務経験1年以上(2級)」「実務経験2年以上(1級相当の内容に対応できる水準)」といった条件が設けられており、独学のみで臨むタイプの試験ではありません。

1次試験は12の大問にまたがる幅広い出題範囲をカバーする必要があり、解剖学・疾患名・検査項目・薬剤名などの医学知識に加え、通訳者としての倫理観や現場対応力も問われます。2次試験の実技では、実際の診察場面を想定したロールプレイ形式で通訳の正確さとスムーズさが評価されるため、日頃から通訳の実践を積んでいることが合格の前提になります。

ロールプレイ形式とは、医師役・患者役・通訳役に分かれて実際の診察さながらのやり取りを行う実技試験の方式のこと。台本のない実践的な対応力が試されます。

合格率:公式には非公表です。一次試験は6割程度との情報がありますが、一次・二次を通じた最終合格率は明らかにされていません。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

病院・クリニックの医療通訳スタッフ

外国人患者の受け入れを行う病院やクリニックで、診察・検査・入院手続きの通訳を担当する仕事です。医療通訳技能検定を取得していることで、専門用語への対応力や実技での対応力を客観的に証明でき、採用選考や配属の判断材料として評価されやすくなります。

医療通訳派遣・コーディネート業務

医療機関からの依頼を受けて通訳者を派遣する事業者や、電話・オンライン通訳サービスを提供する企業でも、医療通訳技能検定の等級は通訳者のスキルレベルを示す指標として活用されています。1級保持者は重度疾病や複雑な症例への対応も任されることが多く、案件の幅が広がります。

国際医療・インバウンド医療関連の企業

訪日外国人向けの医療コーディネート事業や、外国人材の健康管理を支援する企業でも、医療分野の通訳知識は重宝されます。医療通訳技能検定の資格を足がかりに、通訳業務だけでなく医療コーディネーターとしてキャリアを広げる人もいます。

誕生の背景・歴史

2014年:制度創設の経緯

医療通訳技能検定は2014年に一般社団法人日本医療通訳協会(Gi-MIAJ)によって創設されました。当時、訪日・在留外国人の増加に伴い、医療現場での言語の壁が社会的な課題として認識され始めていました。通訳を担う人材の技能を客観的に評価する仕組みが乏しかったことから、実務に即した検定制度が必要とされ、この試験が誕生しました。

※ 医療現場の通訳は、一般的な通訳と異なり誤訳が患者の健康・生命に直結しかねない責任の重い仕事です。そのため、単なる語学力だけでなく医学知識と現場対応力を測る仕組みが求められてきました。

2014年以降:全国展開とICMとの連携

制度創設後、試験は札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・沖縄など全国主要都市で実施されるようになり、地方在住の通訳者でも受験しやすい体制が整えられていきました。そして2019年からは、Gi-MIAJがICM(国際臨床医学会)の認証試験団体として位置づけられるようになり、国内資格でありながら国際的な認証制度と接続する仕組みへと発展しています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

通訳スクール卒業後にキャリアを固めたい人

通訳スクールで医療通訳のコースを修了した人が、学んだ内容を客観的な資格として形にするために受験するケースが多く見られます。2級の受験資格に「通訳スクール修了」が含まれていることもあり、スクールでの学習の集大成として位置づけられています。

すでに医療通訳として働いている実務者

病院や派遣会社ですでに医療通訳の実務経験がある人が、自身のスキルを対外的に証明するために受験することもあります。実務経験1年以上・2年以上という受験資格が設けられているため、現場での経験を積んでから挑戦するキャリアパスと相性がよい試験です。

英語・中国語でICM認定医療通訳士を目指す人

英語または中国語で医療通訳技能検定に合格した人の中には、その先にあるICM認定医療通訳士制度への登録を見据えて受験する人もいます。国内の検定合格が国際的な認定制度への入り口になっている点は、この資格ならではの特徴です。

豆知識:医療通訳技能検定の独自ルール

受験時に級を選ばないという珍しい仕組み

多くの検定試験は「1級を受ける」「2級を受ける」と受験者自身が事前に級を選択しますが、医療通訳技能検定はそうではありません。1次(筆記)・2次(実技)をひとまとめの受験として受け、その結果の到達度に応じて1級合格・2級合格・不合格が事後的に判定されます。受験者からすれば「どの級に受かるかは結果が出るまでわからない」という、日本の資格試験としては珍しい方式です。

ICM認定医療通訳士制度との連携

2019年以降、Gi-MIAJはICM(国際臨床医学会)の認証試験団体となっています。これにより、医療通訳技能検定に英語または中国語で合格した人は、ICM認定医療通訳士制度への登録が可能になりました。国内の民間検定でありながら、国際的な医療通訳の認定制度と接続している点は、他の言語系資格にはあまり見られない特徴です。

ICM(国際臨床医学会)とは、臨床医学分野における国際的な学術・認定活動を行う組織のこと。医療通訳士の認定制度もその活動の一環として運営されています。

まとめ ― 医療の言葉をつなぐ専門通訳への一歩

こんな方にとくにおすすめ

  • 通訳スクールで医療通訳を学び、学習の成果を資格として証明したい方
  • すでに医療現場で通訳業務を行っており、実力を客観的に示したい方
  • 英語・中国語での国際的な医療通訳士認定を将来的に目指したい方
  • 外国人患者対応が増える医療機関・派遣事業者で活躍したい方

取得に向けた第一歩

まずは受験資格を満たすために、医療通訳を専門に扱う通訳スクールでの学習や、医療現場での実務経験を積むことから始めるとよいでしょう。1次試験の12大問に対応するには医学系の専門用語を体系的に学ぶ必要があり、2次試験の実技にはロールプレイ形式の練習を重ねることが欠かせません。似た名称の「医療通訳技能認定試験」(日本医療教育財団)と混同しないよう、主催団体名を確認したうえで、公式サイトで最新の試験要項を確認することをおすすめします。

公式サイト:日本医療通訳協会(Gi-MIAJ)