医療情報技師について

筆記試験誰でも受験可
民間資格

医療情報技師とは?

概要・難易度・合格率・キャリアを解説

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医療情報技師の概要

医療情報技師は、一般社団法人日本医療情報学会の医療情報技師育成部会が認定する民間資格です。病院やクリニックで使われる電子カルテ、オーダリングシステム、部門システムなど、医療現場の情報システムを支える専門知識を持つ人材であることを証明します。医療という専門性の高い分野と、情報システムという技術分野の両方を理解していなければ務まらない仕事であり、この資格はまさにその橋渡し役の実力を測るものです。

「医療×IT」のブリッジ人材であること

病院の情報システムは、医師や看護師が使う電子カルテだけでなく、検査部門、薬剤部門、放射線部門など多くのシステムが連携して動いています。これらを企画し、導入し、日々の運用でトラブルなく動かし続けるには、医療現場の業務フローを理解した上で、情報システムの技術的な知識も必要です。医療情報技師は、医療側の要望を情報システムの言葉に翻訳し、逆に情報システムの制約を医療現場にわかりやすく伝える、いわば通訳者のような役割を担います。どちらか一方の知識だけでは務まらない点が、この資格の大きな特徴です。

試験は3科目構成で全科目合格が必要

医療情報技師の認定を受けるには、「情報処理技術系」「医療情報システム系」「医学医療系」の3科目すべてに合格する必要があります。情報処理技術系ではネットワークやデータベースなどの基礎知識、医療情報システム系では電子カルテや部門システムの仕組み、医学医療系では医学用語や医療制度の基礎知識が問われます。3分野を横断的に学ぶ構成そのものが、この資格が求める人材像をよく表しています。

なお、一度に3科目すべてに合格できなくても、合格した科目は2年間有効という科目合格制度があります。翌年・翌々年に残りの科目に絞って再挑戦できるため、働きながら少しずつ取得を目指す人にも配慮された仕組みになっています。

診療情報管理士との役割の違い

医療関連の情報系資格として診療情報管理士がよく比較対象に挙がりますが、両者の役割は異なります。診療情報管理士は、診療録(カルテ)の内容を正確に記録・分類し、統計データとして整備・管理する「記録と管理」の専門家です。一方、医療情報技師は、その記録を扱うシステムそのものを企画・構築・運用する「システムの構築と運用」の専門家という違いがあります。カルテの中身を扱うのが診療情報管理士、カルテを動かす仕組みを扱うのが医療情報技師とイメージすると整理しやすいでしょう。

豆知識:医療情報技師には「医療情報基礎知識検定」という入門編の検定も用意されています。これは医療従事者や学生が医療情報の基礎を学ぶための検定で、医療情報技師本体とは受験資格や難易度の位置づけが異なります。

難易度・学習時間の目安

医療情報技師は、情報処理技術系・医療情報システム系・医学医療系という毛色の異なる3科目を学ぶ必要があるため、幅広い知識をバランスよく習得する計画性が求められます。難易度としては「普通」程度で、実務で情報システムや医療に関わったことがない完全な初学者にはやや骨が折れますが、体系立てて学習すれば十分に合格を狙える範囲です。

★★★☆☆ 中級

合格率は概ね30%台で推移

医療情報技師能力検定試験の合格率は、年によって変動はあるものの概ね30%台で推移しています。3科目すべてに合格する必要があるため、単純に見た目の合格率以上に「全科目を仕上げる」難しさがある点は意識しておきたいところです。

合格率の目安:年によって変動するが概ね30%台で推移。3科目すべての合格が必要。

試験形式と受験料

試験はマークシート方式で、情報処理技術系60分、医療情報システム系90分、医学医療系60分の3科目が実施されます。受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。受験料は15,000円(税込)ですが、直近2年以内に一部科目に合格している人は13,000円(税込)となり、再挑戦しやすい料金体系になっています。

学習時間の確保がポイント

3科目を独学で学ぶ場合、情報システム系の実務経験があるかどうかで必要な学習時間は大きく変わります。医療分野の知識がゼロからのスタートであれば、公式テキストや過去問を使って数か月単位でコツコツ学習を積み重ねる人が多いようです。逆に病院の情報システム部門で働いている人であれば、日々の業務知識がそのまま医療情報システム系の得点力につながるため、比較的短期間での合格も狙えます。

ポイント:科目合格が2年間有効なので、1回で3科目すべてに合格できなくても、得意科目から確実に合格を積み上げていく戦略が現実的です。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

医療情報技師の知識は、病院の情報システム部門をはじめ、医療とITが交差するさまざまな現場で活かされています。ここでは代表的な活躍の場を紹介します。

病院情報システムの企画・運用担当

病院内に設置される情報システム部門やシステム管理室では、電子カルテや部門システムの導入計画の立案から、日々のシステムトラブル対応、職員向けの操作サポートまで幅広い業務を担当します。医療現場の実情を理解した上でシステムの改善提案ができる点が、医療情報技師の強みとして評価されます。

電子カルテベンダー・医療系SIerでのSE職

電子カルテシステムや病院情報システムを開発・販売する企業では、システムエンジニアや導入コンサルタントとして医療情報技師の資格が重宝されます。医療現場の業務フローを理解した上で要件定義や導入支援ができる人材は、ベンダー側にとっても貴重な存在です。

医療機関のDX推進・情報セキュリティ担当

近年は医療機関でもデータ活用やオンライン診療、地域医療連携ネットワークの整備が進んでおり、こうした新しい取り組みを推進する役割としても医療情報技師の知識が活かされています。また医療情報を扱う以上、情報セキュリティやプライバシー保護の観点も重要であり、院内のセキュリティ担当者としての活躍も期待されています。

関連する資格・検定:医療情報基礎知識検定診療情報管理士臨床工学技士(国家資格)、がん登録実務初級者なども、医療と情報・記録に関わる周辺分野として押さえておくとキャリアの幅が広がります。

誕生の背景・歴史

医療情報技師の資格制度がどのような背景で生まれたのか、その成り立ちを見ていきましょう。

2003年の制度創設

医療情報技師能力検定試験は2003年に創設されました。2000年代に入り、電子カルテの導入が全国の病院で本格化し始めた時期にあたります。それまで紙のカルテを中心に運営されてきた医療現場が、次第に情報システムへと移行していく中で、医療の専門知識と情報システムの専門知識を両方兼ね備えた人材の必要性が急速に高まっていました。

電子カルテ普及とともに広がった認知度

制度創設以降、電子カルテやオーダリングシステムの普及が進むにつれて、医療情報技師の資格も医療機関やベンダーの間で認知度を高めていきました。単なる情報システムの知識だけでなく、医療現場特有の業務フローや医学知識まで問う試験内容であることが、実務に直結する資格として評価される理由になっています。現在では、病院情報システムに関わる担当者のキャリアパスの一つとして定着しています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

医療情報技師を目指す人の属性はさまざまですが、大きく分けるといくつかの典型的なパターンがあります。

病院の情報システム部門で働く社会人

すでに病院の情報システム部門やシステム管理室で働いている人が、自身の知識を体系的に整理し、専門性を客観的に証明するために取得するケースが多く見られます。日々の業務知識を試験勉強で補強しながら、キャリアアップや異動時の評価材料として活用しています。

ITエンジニアが医療分野へのキャリアチェンジを目指すケース

一般企業でシステムエンジニアとして働いていた人が、医療系ベンダーへの転職や医療分野への参入を目指して取得するケースもあります。情報システムの知識には自信があっても医学・医療系の知識が不足しがちなため、この資格の学習を通じて不足分を補いながら、医療分野への足がかりとしています。

看護師・医療従事者がITスキルを強化するケース

逆に、看護師や臨床検査技師など医療現場出身の人が、情報システムの知識を身につけるために挑戦するケースもあります。現場感覚を持ったまま情報システムの知識を習得することで、院内のシステム導入プロジェクトに現場代表として関わったり、情報システム部門へ異動したりする道も開けます。

受験資格に制限なし:医療情報技師は誰でも受験可能なため、学生のうちから将来を見据えて取得を目指す人も少なくありません。

豆知識:医療情報技師の意外な選抜方式

医療情報技師をめぐる周辺知識の中でも、特に知っておくと面白いポイントを紹介します。

上級医療情報技師は珍しい2段階選抜方式

医療情報技師の上位資格として「上級医療情報技師」があります。この試験は、一次試験と二次試験からなる2段階選抜方式という珍しい形をとっています。一次試験は午前にマークシート方式・記述方式の筆記試験、午後に小論文試験(800~1000文字程度)が課され、知識だけでなく論理的な思考力や課題解決力まで問われます。二次試験では、情報システムに関する5年以上の実務経験に加え、面接形式での審査が行われ、単なる知識量ではなく実務者としての総合力が試される仕組みになっています。

医療情報基礎知識検定とは何が違うのか

同じ育成部会が運営する検定に「医療情報基礎知識検定」がありますが、これは医療情報技師とは位置づけが異なります。医療情報基礎知識検定は医療従事者や学生向けの入門レベルの検定であるのに対し、医療情報技師は実務者向けの本格的な資格です。医療情報技師そのものには受験資格の制限はありませんが、上位資格の上級医療情報技師では認定証番号の保有や実務経験が要件になるなど、資格体系全体として段階的にステップアップしていく設計になっている点が特徴です。

豆知識:医療情報技師の試験は全国13会場で実施されており、地方在住でも比較的受験しやすい体制が整えられています。

まとめ ― 医療と情報をつなぐ専門資格

医療情報技師は、電子カルテをはじめとする病院情報システムの企画・構築・運用を一手に担う「医療×IT」のブリッジ人材であることを証明する資格です。情報処理技術系・医療情報システム系・医学医療系という3科目をバランスよく習得する必要があり、合格率は概ね30%台と決して簡単ではありませんが、科目合格制度を活用すれば着実にステップアップできる仕組みが整っています。

取得後のキャリアの広がり

資格取得後は、病院の情報システム部門やベンダーのSEとして活躍する道はもちろん、上級医療情報技師への挑戦や、医療DX推進の担い手としてキャリアを広げていくことも可能です。医療現場と情報システムの両方を理解できる人材は今後も需要が高まっていくと考えられます。

まずは3科目のバランス学習から

これから医療情報技師を目指す人は、まず情報処理技術系・医療情報システム系・医学医療系のどこに自分の強みと弱みがあるかを把握することから始めるとよいでしょう。得意科目から確実に合格を積み重ねていく戦略が、この資格との付き合い方として現実的です。

公式サイト:日本医療情報学会(医療情報技師育成部会)