エンベデッドシステムスペシャリストの難易度は?勉強法とキャリア

みんなの資格

家電や自動車、身の回りのあらゆる機器を、内側から動かしている「組込みシステム」。その開発の高度な技術を認定する国家試験が「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」です。組込みエンジニアの登竜門とも言われますが、「どんな試験?」「難しいの?」と気になる人も多いはず。この記事では、難易度と勉強の進め方、そして組込みエンジニアにとっての位置づけに絞って解説します(試験の概要は、記事末のリンク先にまとまっています)。

スポンサーリンク

どんな試験?組込みシステムの国家試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の一区分で、国家試験です。IPA(情報処理推進機構)が実施し、経済産業省が所管しています。略して「ES」とも呼ばれます。この試験が認定するのは、「組込みシステム(エンベデッドシステム)」の開発に関する、高度な知識と技能です。

情報処理技術者試験には、難易度によってレベル1から4までの区分がありますが、この試験は最上位の「レベル4(高度試験)」に位置づけられる、最難関クラスの一つです。数ある情報処理技術者試験のなかでも、組込みという専門分野に特化した区分です。求められるのは、ハードウェアとソフトウェアの両方をまたいで、組込みシステムを企画・開発できる、幅広い技術力。IoT(モノのインターネット)に関する知識も、範囲に含まれています。組込みの分野で、確かな専門性を証明できる、価値の高い国家試験です。

そもそも「組込みシステム」とは

そもそも、組込みシステムとは何でしょうか。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、じつは、私たちの暮らしのすぐそばにあります。

組込みシステムとは、パソコンやスマートフォンのような汎用のコンピュータではなく、特定の機能のために、機器の中に組み込まれたコンピュータのことです。たとえば、炊飯器やエアコンといった家電、自動車のエンジン制御、産業用のロボット、医療機器――こうした身の回りのあらゆる機器の中で、組込みシステムが働いています。表からは見えませんが、機器を思いどおりに動かしているのが、この技術です。ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要で、近年はIoT機器の普及で、その重要性がますます高まっています。エンベデッドシステムスペシャリストは、こうした技術を担うプロを認定する試験なのです。

組込みシステムが、一般的なソフトウェア開発と大きく違うのは、「限られた条件の中で動かす」という点です。パソコンと違って、組込み機器はメモリや処理能力が小さく、消費電力も抑えなければなりません。しかも、自動車や医療機器のように、少しの不具合も許されない、高い信頼性が求められる場面が多くあります。限られた資源の中で、確実に、安全に動くしくみを設計する――そこには、ハードウェアの制約を理解したうえでソフトウェアを組む、独特の難しさと面白さがあります。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、まさにこうした総合的な力を問う試験なのです。

試験の構成と難易度

気になる試験の中身と難易度を見ていきましょう。高度試験だけあって、簡単ではありません。

試験は、選択式の問題と、記述式・論述式の問題を組み合わせた、複数の部からなります。午前は多肢選択式で基礎知識を、午後は記述式・論述式で、より実践的な設計・開発の力を問われます。受験資格に制限はなく、誰でも挑戦できます。合格率は、年によりますが、おおむね10〜20%程度とされる難関です。各科目に基準点があり、一つでも下回ると不合格になる、厳しい仕組みです。実務経験を積んだエンジニアが、しっかり対策して臨む試験だと言えます。

※ この試験は現在、制度の移行期にあります。試験の方式(パソコンで受けるCBTへの移行など)や、区分の名称、実施時期が変わる予定です。合格率や試験構成の細部とあわせて、受験の際は必ずIPAの公式サイトで最新の情報を確認してください。

誰が受ける?キャリアでの位置づけ

この試験は、どんな人が受けるのでしょうか。そして、取るとどんな意味があるのでしょうか。

おもな受験者は、組込みエンジニアや、家電・自動車・機器メーカーの開発者などです。自分のスキルを証明し、キャリアアップを図るために挑戦します。高度試験に合格することは、社内での評価や、報奨金、技術者としての信頼につながります。情報処理技術者試験は、入門のITパスポートから、基本情報技術者、応用情報技術者、そして高度試験へと積み上がる体系になっています。エンベデッドシステムスペシャリストは、応用情報のさらに上、組込み分野に特化した高度区分。組込みの道に進むエンジニアにとって、一つの到達目標となる試験です。IoTや自動運転の広がりで、組込み技術者の需要は堅調に続いています。

とりわけ、自動運転やスマート家電、産業機器のIoT化が進む今、組込み技術者の重要性は増す一方です。あらゆるモノがインターネットにつながる時代、その「モノ側」を設計できる技術者は、なくてはならない存在になっています。一方で、組込みは、ソフトとハードの両方を理解する必要があるため、育つのに時間がかかり、人材が不足しがちな分野でもあります。だからこそ、その高度な技術力を国が認めるこの試験に合格していることは、キャリアの強力な後押しになります。派手さはなくとも、社会の土台を支える技術を極めたい――そんなエンジニアにとって、目指す価値の大きい試験です。

持ち帰り豆知識:身の回りの機器は”組込み”で動いている

ふだん、あまり意識することはありませんが、私たちの身の回りは、組込みシステムであふれています。朝、炊飯器がご飯を炊き、エアコンが部屋を快適に保ち、電車が正確に走り、車が安全に止まる――その一つひとつに、組込みシステムが関わっています。

こうした、暮らしを支える機器の頭脳を設計するのが、組込みエンジニアの仕事です。そして、その高度な技術力を国が認めるのが、エンベデッドシステムスペシャリスト試験です。表舞台には出てこないけれど、社会のあらゆる場面を、静かに支えている技術。その専門家であることを証明できるこの試験には、地味ながらも確かな価値があります。モノづくりの内側で活躍したい人にとって、目指す価値のある国家試験です。

まとめ:組込みエンジニアの到達目標となる高度試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IPAが実施する国家試験で、組込みシステム開発の高度な技術を認定します。情報処理技術者試験の最上位(レベル4・高度試験)にあたり、合格率10〜20%程度の難関です。ハードとソフトの両方をまたぐ総合的な力が問われ、組込みエンジニアが、スキルを証明しキャリアを高めるための、一つの到達目標となる試験です。

組込みの分野で専門性を高めたいなら、最初の一歩は、まず基本情報技術者や応用情報技術者で土台を固め、その先にこの試験を見据えること。いきなり挑むより、段階を踏むのが着実です。ハードとソフトの両方を学べる、奥の深い分野でもあります。身の回りの機器を動かす技術に関わる、やりがいの大きな仕事です。なお、試験の概要は下のリンク先(固定ページ)にまとまっています。この試験は制度の移行期にあり、方式や構成が変わる予定なので、受験の際は必ずIPAの公式サイトで最新情報を確認してください。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験について
「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」とは?組み込みシステムの開発に関する高度な専門知識を認定する国家資格です。難易度や試験内容、取得メリットをわかりやすく解説します。

関連記事

Azure認定はどれから取る?種類と勉強の順番を整理
クラウドの資格を調べていると、必ず出てくるのが「Azure認定資格」。マイクロソフトのクラウド資格ですが、種類が多く、「何が違うの?」「どれから取ればいいの?」「AWSとどっちがいい?」と迷う人はとても多いはずです。じつはAzure認定資格...
LinuCとLPICの違いは?もとは一つだったLinux資格を整理
Linuxの資格を調べていると、必ず出てくるのが「LinuC(リナック)」と「LPIC(エルピック)」。名前も内容もよく似ていて、「何が違うの?」「どっちを取ればいいの?」と迷う人はとても多いはずです。じつはこの2つ、もともとは同じ資格でし...
応用情報技術者とは?基本情報との違いと、レベル体系での位置づけ
ITの資格を調べていると出てくる「応用情報技術者試験」。名前は聞いたことがあっても、「基本情報技術者とは何が違うの?」「どのくらい難しいの?」と迷う人は多いはずです。この記事では、応用情報技術者がIT国家資格のなかでどんな位置づけにあるのか...

更新・有効期限