建築設備士とは?建築士との違いと、設備の専門家の役割

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建築の資格を調べていると出てくる「建築設備士」。名前は建築士と似ていても、「建築士とは何が違うの?」「そもそもどんな仕事をするの?」と疑問に思う人は多いはずです。じつは建築設備士は、建物全体を設計する建築士とは役割が違い、空調や電気といった「設備」の専門家として建築士を支える立場です。この記事では、建築設備士の仕事を、建築士との違いを軸に解説します。

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ひと目でわかる:設計する人か、助言する人か

まず、いちばん気になる建築士との違いを、下の表にまとめました。

建築士建築設備士
役割建物全体の設計・工事監理建築設備の専門家として助言
設計の権限単独で建物を設計できる単独では設計できない
立場設計の主体設備部分を支える専門家

建築士が建物全体の設計を担うのに対し、建築設備士は空調・電気・給排水といった設備について、建築士に「助言」する専門家です。この「設計」か「助言」かという立場の違いが、2つの資格の関係をよく表しています。順に見ていきましょう。

建築設備士:設備のスペシャリスト

建築設備士について
「建築設備士」とは?建築物の設備設計・工事監理に関する助言を行う国家資格です。一級建築士試験の受験資格にも関わる重要な資格で、難易度や試験内容、取得メリットをわかりやすく解説します。

建築設備士は、建築士法にもとづく国家資格です。空調や換気、給排水衛生、電気など、建築設備の全般にわたる高度な知識と技能を持ち、建築士に対して、設備の設計や工事監理について適切なアドバイス(助言)を行える資格者です。建物の「快適さ」や「省エネ」を、設備という面から支える専門家だと言えます。

制度ができたのは1983年の建築士法改正のときで、建物の設備がどんどん高度に、複雑になっていったことが背景にあります。エアコンや換気、給排水、電気設備など、現代の建物には高度な設備が欠かせません。それらを専門的に扱える人材として、建築設備士が生まれたのです。試験は、学科の第一次試験と、設計製図の第二次試験があり、合格率はおおむね20%前後の難関です。

受験するには、建築・機械・電気系の学歴と実務経験、または一級建築士などの資格と実務経験が必要です。つまり、実務経験を積んだうえで挑戦する資格であり、いわば設備分野の実力者が目指すものです。快適な室温を保つ空調、清潔な水を届ける給排水、安全な電気――こうした「建物の中で暮らしを支える仕組み」を一手に引き受けるのが建築設備士です。ふだんは目立たない部分ですが、その良し悪しが、建物の使い心地を大きく左右します。

建築士との違い:「設計」か「助言」か

いちばん気になる建築士との違いを、はっきりさせておきましょう。建築士は、建物全体の設計・工事監理を行える資格で、これは建築士だけに認められた独占業務です。だから、単独で建物を設計できます。

一方の建築設備士は、あくまで設備の専門家として建築士に助言する立場で、単独で建物を設計する資格ではありません。設計そのものは建築士が行い、その設備の部分を、建築設備士が専門知識で支える――そんな関係です。「設計の主体は建築士、設備を支えるのが建築設備士」と考えると、2つの役割がすっきり整理できます。

※ 建築士法では、延べ面積が2,000平方メートルを超える建物の設備設計などで、建築士は建築設備士の意見を聴くよう努めることとされています。意見を聴いたときは、設計図書にその旨を記す決まりです。

「設備設計一級建築士」とは別物

もう一つ、名前が似ていて混同されやすいのが「設備設計一級建築士」です。これは建築設備士とは別物なので、区別しておきましょう。

一級建築士について
「一級建築士」とは?大規模建築物の設計・工事監理を行える最上位の国家資格です。難易度や試験内容、取得メリットをわかりやすく解説します。

設備設計一級建築士は、一級建築士のなかでも、設備設計の高度な専門資格です。大規模な建築物の設備設計で、法律に適合しているかを確認する役割を持ち、こちらには法的な強制力があります。つまり「確認する立場」が設備設計一級建築士、「意見を言う立場」が建築設備士、という違いです。どちらも設備にかかわる資格ですが、権限がはっきり異なります。まずは一級建築士を取り、その先に設備設計一級建築士がある、という関係も知っておくとよいでしょう。

ややこしいのは、建築設備士の資格が、じつは建築士試験の受験資格につながる点です。建築設備士として一定の実務経験を積むと、一級建築士の受験資格が得られます。設備の専門家としてキャリアを積みながら、建築士へとステップアップする道も開けているわけです。設備から建築の世界に入り、やがて設計全体を見渡す立場へ――そんなキャリアの広がりも、この資格の魅力の一つです。

活躍の場と、高まる需要

建築設備士が活躍するのは、設計事務所やゼネコン、設備工事会社などです。建物の設計や工事の現場で、設備の専門家として、その力を存分に発揮します。

近年、その重要性はますます高まっています。省エネルギーへの意識が高まり、建物の設備も高度化・複雑化しているためです。快適で環境にやさしい建物をつくるには、設備の専門知識が欠かせません。建築設備士は、建築設備の技術者のなかでも最も高度な技術力を持つ資格として位置づけられており、これからの建築を支える存在として、活躍の場が広がっています。

地球温暖化への対策として、建物の省エネ性能はいっそう重視されるようになりました。断熱や空調の効率、再生可能エネルギーの活用など、建物のエネルギーにまつわる設計は、これからの建築の大きなテーマです。その中心を担えるのが、設備の専門家である建築設備士です。建築士を目指す人のなかにも、設備の専門性を武器にしたいと、建築設備士を取得する人がいます。設計の世界で確かな存在感を示せる、価値の高い資格です。

持ち帰り豆知識:意見を聴いたら”名前を残す”仕組み

建築設備士は「助言する立場」だと説明しましたが、その助言には、きちんとした重みがあります。じつは、建築士が建築設備士の意見を聴いたときには、設計図書に「建築設備士の意見を聴いた」とわざわざ明記することが、法律で義務づけられているのです。

縁の下で建物の快適さや省エネを支える専門家が、書類の上でも、きちんとその名前を残す仕組みになっている――これは、建築設備士の助言が、それだけ重要視されていることの表れです。表舞台に立つ建築士を、確かな専門知識で支える。そんな建築設備士という役割の大切さが、この小さな決まりからも伝わってきます。

まとめ:設備の専門家として建築士を支える

建築設備士は、空調・電気・給排水といった建築設備の専門家として、建築士に対して助言する国家資格です。建物全体を設計する建築士とは役割が違っていて、設備の面から建物を支えます。名前の似た設備設計一級建築士とも、その権限がはっきりと分かれています。

建築のなかでも、とくに設備の分野を深く極めたいなら、建築設備士は目指す価値の大きい資格です。最初の一歩は、受験資格を確認すること。実務経験が必要なので、まずは建築・設備の仕事に就いて経験を積むのが道になります。設備設計事務所や、ゼネコンの設備部門、設備工事会社などで実務を重ねながら、資格取得を目指すのが一般的な流れです。なお、受験資格や合格率は年度で変わることがあるので、公式の最新情報を確認しておくと安心です。

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