入国警備官採用試験とは?
概要・難易度・出入国管理を担う仕事を解説
入国警備官採用試験の概要
入国警備官採用試験は、出入国在留管理庁で働く「入国警備官」を採用するための試験です。入国警備官は、不法に入国・滞在する外国人の調査・摘発・収容や、退去強制を受けた外国人の送還などを担う実力部門の国家公務員です。人事院が高卒程度の試験として実施し、日本の出入国管理の最前線を守る役割を担います。
※ 出入国在留管理庁とは、外国人の出入国や在留を管理する法務省の外局です。2019年に従来の入国管理局が格上げされて発足しました。入国警備官は、このうち取締り・収容・送還などの実力部門を担います。
入国審査官との違い
出入国在留管理の仕事には「入国審査官」と「入国警備官」があります。入国審査官が空港などで上陸審査や在留審査を行うのに対し、入国警備官は違反者の調査・摘発・収容・送還を担う実力部門です。同じ出入国管理でも、役割が大きく異なります。
試験の構成と受験資格
第1次試験は多肢選択式の基礎能力試験と作文試験、第2次試験は人物試験(面接)、身体検査、身体測定、体力検査で構成されます。高卒程度の試験で、高校卒業後一定年数以内の人が対象の区分のほか、年齢上限の高い社会人区分も設けられています。最新の要件は人事院の受験案内で確認してください。
※ 退去強制とは、不法滞在などで日本にいる資格がないと認められた外国人を、法律に基づいて国外へ退去させる手続きのことです。入国警備官は、その調査から送還までの一連の業務に携わります。
難易度・学習時間の目安
基礎能力試験は数的処理・文章理解・時事など公務員試験共通の対策が中心で、作文試験では文章力と適性が見られます。実力部門であるため体力検査があり、筆記の勉強と並行して体力づくりをしておくことが大切です。語学(英語など)に強いと、実務で活かせる場面が多くあります。
採用後にできる仕事・キャリア
違反調査・摘発
不法入国・不法滞在などの入管法違反が疑われる外国人について、事実関係を調査し、必要に応じて摘発を行います。証拠を集めて違反の有無を明らかにする、捜査的な側面のある仕事です。
調査にあたっては、関係者への聞き取りや資料の確認など、地道な作業を積み重ねる場面が多くあります。事実を一つひとつ丁寧に確認し、法に基づいて適正に手続きを進める姿勢が求められる仕事です。
収容・処遇
退去強制の手続き中の外国人を収容施設で適正に処遇します。人権に配慮しながら、規律ある収容環境を保つことが求められる、責任の重い業務です。
収容者の健康管理や生活面のケアにも目を配りながら、秩序を保つバランス感覚が必要とされる仕事です。
送還
退去強制令書を受けた外国人を、本国などへ送還します。航空機での護送を伴うこともあり、国際的な調整や語学力が活きる場面もある、出入国管理の締めくくりを担う仕事です。
同じ「実力系」の公務員試験には、皇室の護衛・警備を担う皇宮護衛官採用試験や、海の安全を守る海上保安官採用試験もあります。いずれも高卒程度から挑戦でき、筆記に加えて体力検査が課される点が共通しています。
制度の背景・位置づけ
国境を管理する実力部門
適正な出入国管理は、国の安全と秩序を守るうえで欠かせません。ルールに反して入国・滞在する人に対応する実力部門として、入国警備官は出入国管理制度の重要な一翼を担っています。
国際化の中で増す重要性
訪日外国人や在留外国人が増え、出入国管理の重要性は年々高まっています。適正な管理と外国人の人権保護の両立が求められる中で、現場を担う入国警備官の役割は大きくなっています。
訪日外国人数の増加や国際情勢の変化に伴い、出入国管理をめぐる業務は一段と多様化しています。摘発や送還といった実力行使の場面だけでなく、収容中の処遇や関係機関との連携など、幅広い視点と対応力が求められる仕事へと役割が広がっています。
※ 入管法とは「出入国管理及び難民認定法」の略称で、外国人の出入国や在留、難民認定などのルールを定めた法律です。入国警備官の業務は、この入管法に基づいて行われます。
どんな人が受験しているのか
治安・公共の安全に関わりたい人
国の安全や秩序を守る仕事に就きたいと考える人が受験します。警察官や自衛官と並ぶ「実力部門の国家公務員」として、社会の安全を支えたい人に向いています。
体力に自信があり、規律を重んじる人
摘発・収容・送還といった現場の業務には体力と規律が求められます。スポーツ経験があり、チームで規律を守りながら職務にあたれる人が活躍します。
収容施設や現場での業務はチームで対応する場面が多く、上司・同僚との連携や報告・連絡・相談を確実に行う姿勢も欠かせません。個人の体力だけでなく、組織の一員として規律ある行動をとれることが評価されます。
国際的な仕事・語学に関心がある人
外国人と接する機会が多く、語学力や異文化への理解が活きる仕事です。国際的な現場で働きたい、語学を実務に活かしたいという人にも選ばれています。
豆知識:出入国管理の最前線
「審査」と「警備」の二本立て
空港のパスポート審査でおなじみの入国審査官と、違反者に対応する入国警備官。出入国管理は、この「審査」と「警備」の二本立てで成り立っています。普段あまり知られない警備側の仕事こそ、ルールを守って入国する大多数の人の安全・公平を陰で支えています。
語学力が武器になる現場
相手が外国人であるため、英語をはじめとする語学力は大きな武器になります。調査や送還の場面で言葉が通じることは、円滑かつ人権に配慮した対応につながります。学生時代に語学を磨いておくと、入庁後に強みとして活きてきます。
採用後は、各地の地方出入国在留管理局や収容施設に配属され、実務を通じて出入国管理制度への理解を深めていきます。経験を重ねることで、より専門性の高い調査・警備業務や、後進の指導にあたる立場へとキャリアを重ねることもできます。
まとめ ― 出入国管理を守る実力部門へ
こんな方にとくにおすすめ
- 国の安全・秩序を守る実力部門の仕事に就きたい方
- 体力に自信があり、規律を重んじて働ける方
- 外国人と接する国際的な仕事・語学を活かしたい方
- 高校卒業後に国家公務員として活躍したい方
受験に向けた第一歩
まずは人事院の受験案内で、受験資格・日程・試験内容を確認しましょう。基礎能力試験と作文の対策を進めつつ、体力検査に向けた体づくりも欠かせません。人物試験では「なぜ入国警備官か」を、出入国管理の役割への理解とともに語れるよう準備しておくと安心です。
公式サイト:入国警備官採用試験(人事院)
