コールド・プロセスソープマイスター資格とは?
概要・難易度・手作り石けんの学び方を解説
コールド・プロセスソープマイスター資格の概要
コールド・プロセスソープマイスター®資格は、一般社団法人日本デザインプランナー協会(JDP)が実施する認定試験です。「コールドプロセス製法」と呼ばれる低温製法での手作り石けんに関する知識と技術を証明する民間資格です。
※ コールドプロセス製法とは、油脂と苛性ソーダを約40度程度の低温で反応させて作る石けんの製法です。90度以上の高温で作るホットプロセス製法と対になる、昔ながらの手法です。
試験の出題範囲と形式
試験は在宅受験の郵送方式です。申し込むと1週間以内に試験問題が郵送され、解答を返送してから10日前後で合否が確認できます。出題範囲は、ハンドメイドソープの利点、石けんの種類と作り方、道具・材料・オイルの選び方、色付けや香り付け、型の使い方、スキンケア効果など多岐にわたります。
合格基準は70%以上の評価とされ、受験料は10,000円(税込)です。試験期間・申込期間の制限はなく、随時受験できます。
受験資格・対象者
年齢・学歴・実務経験の制限はなく、石けん作りが未経験の方でも受験できます。合格後の認定カード・認定証はそれぞれ5,500円で発行され、指定の認定講座としてSARAスクールジャパン・諒設計アーキテクトラーニングが用意されています。
「化学」と「クラフト」が交わる資格という特徴
苛性ソーダという薬品を扱う工程があるため、単なる手芸的な創作にとどまらず、けん化反応という化学の知識も問われる点が他のハンドメイド系資格と異なる特徴です。安全な取り扱いを理解したうえで創作する力が求められます。同じJDPが認定する資格には、裁縫・編み物・染色を横断的に扱うハンドメイドマイスターもあり、手芸全般の基礎力を証明したい場合はあわせて検討するとよいでしょう。
難易度・学習時間の目安
手作り石けん自体の経験がなくても、油脂と苛性ソーダの配合比率(けん化価)や安全な取り扱い方法を基礎から学べば、1〜2ヶ月程度で合格を目指せる水準です。ただし薬品を扱う知識が必要なため、他のクラフト系資格よりやや専門性が高めといえます。
※ けん化とは、油脂とアルカリ(苛性ソーダ)が化学反応を起こして石けんとグリセリンに変化する現象のことです。石けん作りの根幹となる化学反応です。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
手作り石けん教室の講師
薬品を扱う工程がある分、正しい知識を持つ講師であることの証明として資格が役立ちます。安全な受講環境を整える説明力にもつながります。
ハンドメイド作家・雑貨ブランド運営者
オイルの配合を変えることで肌質や香りの異なる石けんを作り分けられるため、オリジナリティのある商品開発につながります。minneやCreemaといったマーケットでの販売実績づくりにも活かせます。
エステサロン・ナチュラル志向の美容関係者
添加物を抑えたオリジナル石けんを施術やケア用品に取り入れたいと考える美容関係者にも取得されています。素材の効能を理解したうえで提案できる点が強みになります。
誕生の背景・歴史
千年以上前から続く製法がルーツ
コールドプロセス製法自体は千年以上の歴史を持つ古い製法とされ、南フランスの伝統的な「マルセイユ石鹸」もこの製法の流れを汲むといわれています。熱を使わず低温で作るため、材料に含まれる良質な成分が壊れにくいという特徴が、長く受け継がれてきた理由の一つです。
2000年代、日本で手作り石けんブームが拡大
日本では2000年代初頭、オリーブオイル100%の石けんをコールドプロセス製法で製造・販売する動きが注目を集め、手作り石けんの人気と認知が一気に広がりました。この流れを受けて、体系的に技術を学べる資格としてコールド・プロセスソープマイスターが整備されました。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
肌にやさしいスキンケアを求める方
市販品の添加物が気になり、自分や家族のために無添加の石けんを手作りしたいという方が、正しい知識を身につけるために取得しています。
ハンドメイド販売で新しいジャンルを開拓したい作家
アクセサリーや布小物とは異なる「使って消費される」商品ジャンルとして、石けん作りに挑戦する作家も増えています。リピート購入が見込める点も魅力とされています。
薬品の扱いに不安があり体系的に学びたい方
ネット上の情報だけで独学するのが不安で、苛性ソーダの安全な取り扱い方を含めてきちんと学びたいという方にも選ばれています。
豆知識:手作り石けんのうんちく
石けんと一緒に「保湿成分」も生まれる
コールドプロセス製法では、けん化反応によって石けんと同時にグリセリンという保湿成分が生成されます。市販の多くの石けんはこのグリセリンを工業的に分離・抽出してしまいますが、手作り石けんはグリセリンをそのまま含むため、しっとりとした洗い上がりになりやすいのが特徴です。
完成まで1ヶ月以上かかることも
コールドプロセス製法で作った石けんは、型から出した後も「熟成」と呼ばれる乾燥期間が必要で、使えるようになるまで4〜6週間ほどかかるのが一般的です。すぐに完成しないからこそ、じっくり育てる感覚を楽しめるのもこの資格ならではの魅力です。
まとめ ― 低温でじっくり育てる、手作り石けんの世界
こんな方にとくにおすすめ
- 無添加・低刺激なスキンケアを自分の手で作りたい方
- ハンドメイド販売で「使って消費される」商品を扱いたい方
- 薬品の安全な取り扱いを含めて体系的に学びたい方
- 石けん教室の講師として活動したい方
取得に向けた第一歩
まずは苛性ソーダの安全な取り扱い方法と、けん化価の基礎知識をテキストや通信講座で学ぶのがおすすめです。小さな型で少量から試作を重ねることで、材料の配合による仕上がりの違いを体感しながら学習を進められます。
