情報検定(J検)とは?
3試験制・難易度・合格率・キャリアを解説
情報検定(J検)の概要
情報検定(通称「J検」)は、パソコンやインターネットを「使う」「創る」「伝える」という3つの角度からICT活用力を評価する検定試験です。実施しているのは、一般財団法人職業教育・キャリア教育財団。文部科学省の後援を受けている点も、この検定の信頼性を裏づける特徴のひとつです。
※ 一般財団法人職業教育・キャリア教育財団とは、専修学校・高等学校などの職業教育やキャリア教育を支援する団体のこと。もともとは「一般財団法人専修学校教育振興会」という名称でしたが、2012年4月の公益法人制度改革にともなって法人格を移行し、現在の名称に変わりました。この記事では現行名称で統一して紹介します。
「使う」「創る」「伝える」の3試験制
J検の大きな特徴は、単一の試験ではなく、目的の異なる3つの試験群から自分に合ったものを選んで受けられる点です。ITスキルを「利用する側」の視点だけでなく、「つくる側」「伝える側」の視点からも評価してくれる、懐の深い構成になっています。
- 情報活用試験(「使う」力):3級・2級・1級。パソコンやインターネットを日常的に活用するための基礎知識・実践力を測る
- 情報システム試験(「創る」力):基本スキル・プログラミングスキル・システムデザインスキルの3段階。システムやプログラムをつくる側の知識を測る
- 情報デザイン試験(「伝える」力):初級・上級。伝わる情報デザイン・表現力を測る
※ 情報デザインとは、文章・図表・レイアウトなどを工夫して「情報を相手に伝わりやすく整理・表現する」考え方や技術のこと。プレゼン資料やWebページのわかりやすさにも直結するスキルです。
受験資格・出題形式
受験資格に制限はなく、年齢や国籍を問わず誰でも受験できます。出題形式は多肢選択式で、紙を使う「PBT方式」と、コンピュータで受験する「CBT方式」の2方式が用意されているため、学校単位の団体受験にも、個人でのスキマ受験にも対応しやすい設計です。
※ PBT方式・CBT方式とは、それぞれ「Paper Based Testing(紙で受ける試験)」「Computer Based Testing(コンピュータで受ける試験)」の略。J検は年2回の全国一斉実施に加え、個人出願のCBT方式であれば随時受験できる柔軟さも備えています。
他のIT系検定と何が違うのか
ITパスポート試験など国家資格が「社会人共通のITリテラシー」を測るのに対し、J検は「使う・創る・伝える」という3方向に試験そのものを分けているのが最大の個性です。自分がどの力を伸ばしたいかに応じて、ピンポイントで試験を選べる点は、幅広い年代・立場の受験者にとって取り組みやすいポイントといえるでしょう。
難易度・学習時間の目安
J検は級・スキルの選択肢が広く、入門レベルの級であれば、パソコンの基本操作に慣れている人なら大きな負担なく挑戦できる難易度です。
学習時間・勉強法の目安
情報活用試験の3級であれば、市販のテキスト・問題集を1冊仕上げる程度の学習で十分合格が狙えるといわれています。上位級やプログラミングスキル・システムデザインスキルになると出題内容がぐっと専門的になるため、学校の授業やeラーニング教材と組み合わせて計画的に学習するのが一般的です。
※ 出題範囲や試験時間は、情報活用試験で3級40分・2級/1級60分(100点満点)と級によって異なります。合格基準の目安は3級70点・1〜2級65点です。最新の出題範囲・合格基準は必ず公式サイトでご確認ください。
受験料の目安
受験料は試験の種類によって異なり、情報活用試験は3級3,000円・2級4,000円・1級4,500円、情報システム試験は各スキル3,000〜3,500円、情報デザイン試験は初級4,000円・上級4,500円が目安です(税込・変更される場合があるため、お申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください)。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
J検は「使う」「創る」「伝える」のどの試験を取得したかによって、活かせる場面も変わってくるのが特徴です。
一般事務・オフィスワーク全般
情報活用試験で身につく知識は、パソコンやインターネットを日常的に使うあらゆる事務職・営業職で役立ちます。ビジネス文書の作成や情報検索、セキュリティ意識など、社会人として当たり前に求められる基礎力を客観的に証明できる資格です。
システムエンジニア・プログラマーを目指す入口として
情報システム試験のプログラミングスキル・システムデザインスキルは、専修学校や高校の情報系・工業系コースで、エンジニアやプログラマーを目指す学生の学習到達度チェックとしてよく活用されています。実務未経験の段階から、体系立った知識を身につけている証明になります。
※ システムデザインスキルとは、単にプログラムを書く技術だけでなく、要件定義や設計といった「システム全体をどう組み立てるか」を考える力を問うスキル区分のこと。
Web制作・広報・企画職など「伝える」仕事
情報デザイン試験で問われる「伝わる表現力」は、Webサイトやパンフレットの制作、社内資料の作成、広報・企画業務など、情報を人に届ける仕事全般で活きるスキルです。デザインの専門職でなくても、資料作成の質を上げたい人にとって実用的な学びになります。
誕生の背景・歴史
J検のルーツは1988年に始まった前身の試験にまでさかのぼります。当時からパソコンの普及を見据え、情報活用力を測る試験としてスタートしました。
1988年:前身試験の開始
1988年、後にJ検へとつながる前身試験が始まりました。当時はまだパソコンが一般家庭に広く普及する前の時代で、専修学校を中心に情報処理教育の成果を測る試験として位置づけられていました。
1994年:「情報処理活用能力検定」としてのスタート
1994年6月、試験は「情報処理活用能力検定」という名称に整理され、文部省(当時)の認定を受けてあらためてスタートを切りました。この頃から、学校教育の中でICT活用力を測る検定として本格的に位置づけられるようになります。その後、時代とともに出題内容や試験区分が見直され、現在の「情報検定(J検)」という名称・3試験制のかたちに発展してきました。
※ 運営団体も2012年4月の公益法人制度改革にともない、旧・一般財団法人専修学校教育振興会から現行の一般財団法人職業教育・キャリア教育財団へと法人格移行・名称変更されています。試験の看板だけでなく、支える団体の体制も時代に合わせて更新されてきた歴史があります。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
J検は学校教育との結びつきが強い検定で、受験者層にも独特の特徴があります。
専修学校・高校生の団体受験
もっとも多いのが、専修学校や高校の情報系・商業系コースでの団体受験です。授業で学んだICT活用力やプログラミングの知識がどれだけ身についたかを、学年やクラス単位でまとめて確認する目的で導入されているケースが多く見られます。
就職活動を控えた学生
就職活動を控えた学生にとっては、履歴書に書ける客観的なスキル証明としての意味合いもあります。特にIT・事務系の職種を志望する学生が、基礎的なICTリテラシーをアピールする材料として活用しています。
社会人のスキルアップ・学び直し
社会人になってから、業務でパソコンを扱う機会が増えた人が、あらためて基礎から知識を整理し直す目的で受験するケースもあります。特定の級・スキルに絞ってピンポイントで学べるため、「まずは情報活用試験の3級から」というように、無理のない範囲で始めやすいのも魅力です。
豆知識:情報検定(J検)の〇〇
J検には、長い歴史を持つ検定ならではのエピソードや数字がいくつかあります。
延べ受験者数は約150万人
1988年の前身試験開始から現在までの延べ受験者数は約150万人、そのうち合格者数は約70万人にのぼるとされています。学校単位での団体受験が積み重なった結果とはいえ、長年にわたり教育現場に根づいてきた検定であることがうかがえる実績です。
文部科学省の後援を受けている検定
J検は文部科学省の後援を受けている検定です。学校教育の現場で長く活用されてきた背景もあり、教育的な位置づけが公的にも支えられている点は、他の民間検定にはあまり見られない特徴といえるでしょう。
名前は変わっても、目的は一貫している
「情報処理活用能力検定」から「情報検定(J検)」へと名称は変わり、運営団体も専修学校教育振興会から職業教育・キャリア教育財団へと変わりましたが、「学校で学んだICT活用力を、社会で通用するかたちで証明する」という目的は、1988年の前身試験から一貫して変わっていません。
まとめ ― 「使う・創る・伝える」を証明する検定
情報検定(J検)は、単一の試験でICTスキルをひとまとめに測るのではなく、「使う」「創る」「伝える」という3つの視点から、自分に合った試験を選んで挑戦できるユニークな検定です。
こんな方にとくにおすすめ
- 専修学校・高校でICTや情報処理を学んでいて、学習成果を形にしたい学生
- 就職活動でパソコン・ITリテラシーをアピールしたい学生・第二新卒
- プログラミングやシステム設計の基礎を体系的に学びたい人
- 資料作成や情報発信など「伝える力」を鍛えたい社会人
- 資格試験に挑戦するのが初めてで、まずは易しいものから始めたい人
取得に向けた第一歩
まずは自分が伸ばしたい力が「使う」「創る」「伝える」のどれに近いかを考え、情報活用試験の3級など、取り組みやすい級から挑戦してみるのがおすすめです。基礎を固めたあとは、ITパスポート試験や情報セキュリティ管理士認定試験、ディジタル技術検定、マルチメディア検定といった関連資格へとステップアップしていく道も開けています。
公式サイト:情報検定(J検)
