AWS認定 高度なネットワーキング – 専門知識とは?
概要・難易度・廃止スケジュールを解説
AWS認定 高度なネットワーキング – 専門知識の概要
AWS認定 高度なネットワーキング – 専門知識(試験コード:ANS-C01)は、Amazon Web Services, Inc.(AWS)が提供する専門知識(Specialty)区分の認定資格です。AWSクラウド上での複雑なネットワーク設計・実装・運用スキルを証明するもので、AWS認定シリーズの中でも技術的な難度がとくに高い資格として知られています。
※ Specialty(専門知識)認定とは、AWS認定の中で特定領域を深く問うカテゴリのこと。ネットワーキングのほか、セキュリティ、データ分析、機械学習などの分野が用意されています。
試験の出題範囲と形式
試験は65問の選択式・複数選択式で構成され、制限時間は170分です。出題範囲はAmazon VPCの設計、Transit Gatewayを使ったネットワーク統合、Direct ConnectやVPNによるオンプレミス接続、BGPなどのルーティングプロトコル、マルチリージョン・マルチVPC構成、さらにAWS WAFや侵入検知・防御の仕組みを含むネットワークセキュリティまで多岐にわたります。
※ Transit Gatewayとは、複数のVPCやオンプレミス拠点のネットワークを1つのハブに集約して接続できるAWSのサービスのこと。BGP(Border Gateway Protocol)とは、異なるネットワーク間で最適な経路情報をやり取りするための通信プロトコルです。
受験は、AWS認定テストセンター(PSI)またはオンライン監督形式のいずれかを選べます。受験料は300米ドルで、他のAWS認定に合格している場合は次回受験時に50%割引となる特典も用意されています。
受験資格・対象者
制度上、必須の前提資格や受験条件は定められておらず、誰でも申し込みが可能です。ただし公式には、ネットワーキングの実務経験5年以上、そのうちクラウドまたはハイブリッドネットワーキングの経験2年以上が推奨されています。事前にAWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトなど基礎レベルの認定を取得しておくことが望ましいとされています。
「最難関級」と評される専門資格というポジション
対象者はネットワークエンジニア、クラウドアーキテクト、ネットワーク運用担当者など、実務で複雑なネットワーク基盤を扱う層が中心です。2022年にはANS-C00からANS-C01へと試験内容が改訂され、それに伴って難易度がさらに上がったとされています。AWS認定Specialty系全体の中でも「もっとも歯応えがある」との評判が業界内でよく聞かれる資格です。
難易度・学習時間の目安
学習時間の目安は、AWS実務経験が十分にある人でも200〜300時間程度、ネットワーク分野の経験が浅い場合はそれ以上かかることが多いとされています。VPC・Direct Connect・Transit Gateway・BGPなどの各要素を個別に理解するだけでなく、それらを組み合わせた大規模構成を設計・トラブルシューティングできる応用力が問われるため、座学だけでなくハンズオンでの検証が欠かせません。
※ ハンズオン学習とは、実際にAWSの管理画面やコマンドを操作しながら学ぶ学習スタイルのこと。テキストだけの学習に比べて、試験で問われる「実運用でのつまずきどころ」を体感的に理解しやすくなります。
合格ラインとなるスコアは100〜1000点のスケールで統計的に算出され、具体的な合格基準点は公式に非公開とされています。合格率についても公式データは公表されていませんが、AWS認定Specialty系の中でも屈指の難しさという評判が定着しています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
クラウドネットワークエンジニア
企業のオンプレミス環境からクラウドへの移行、複数拠点・複数リージョンをまたぐネットワーク設計など、大規模かつ複雑な通信基盤の構築を担う場面で、この資格で証明されるスキルがそのまま実務に直結します。
クラウドソリューションアーキテクト
顧客の要件に合わせてAWS全体のシステム構成を提案する立場では、ネットワーク部分の設計品質がシステムの可用性・セキュリティ・コストに直結します。高度なネットワーキングの知識は提案の説得力を高める武器になります。
セキュリティ・運用担当者
AWS WAFや侵入検知・防御の仕組みを含めたネットワークセキュリティの知識は、日々の監視・インシデント対応・脆弱性対策など運用フェーズの業務でも重宝されます。障害発生時の原因切り分けにおいても、ネットワーク層への深い理解は大きな武器になります。
誕生の背景・歴史
登場の経緯:クラウド移行の複雑化に対応するために
企業のクラウド活用が進むにつれ、単一のVPC内で完結する構成から、複数のVPC・複数リージョン・オンプレミス環境を横断する大規模ネットワーク構成へと需要が広がっていきました。こうした複雑な設計・運用を担える人材を見極める目的で、AWSはネットワーキングに特化したSpecialty認定を用意しました。
ANS-C00からANS-C01へ:2022年の改訂と難易度上昇
2022年、試験は旧バージョンのANS-C00から現行のANS-C01へと改訂されました。Transit Gatewayやマルチアカウント・マルチリージョン構成など、当時急速に普及していたAWSの新しいネットワークサービス・設計パターンが出題範囲に加わり、結果として試験の難易度がさらに上がったといわれています。
※ マルチアカウント構成とは、1つの組織が複数のAWSアカウントを使い分けて、部署やシステムごとにリソースを分離・管理する運用スタイルのこと。大企業のガバナンス強化でよく採用されます。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
インフラエンジニアからクラウド専門職へのキャリアアップ志望者
オンプレミスのネットワーク構築・運用経験を積んできたエンジニアが、クラウド領域での専門性を客観的に証明する手段としてこの認定を目指すケースが多く見られます。実務経験があるからこそ、出題内容と現場感覚が結びつきやすいのも特徴です。
大規模プロジェクトのアーキテクト職を目指す人
複数リージョン・複数アカウントにまたがる大規模システムの設計を任される立場を目指す人にとって、この資格は「複雑なネットワーク要件を整理し、実現できる」という技術力の証明になります。
社内でのネットワーク専門家としての立場を固めたい人
すでにAWS環境の運用を担当している人が、社内で「ネットワークならこの人」というポジションを確立するために取得するケースもあります。難関資格であることが、そのまま専門性の裏付けとして機能します。
豆知識:2026年8月に姿を消す試験というタイムリミット
最終受験可能日は2026年8月25日
この資格でもっとも押さえておきたいのが、試験そのものが廃止予定というニュースです。AWSは本試験(ANS-C01)の最終受験可能日を2026年8月25日とアナウンスしており、それ以降は新規に受験することができなくなります。
これから受験を検討している方にとっては、残された期間がかなり限られている状況です。学習を始めるタイミングが遅くなるほど、試験を受けられる最後のチャンスを逃すリスクが高まります。取得を考えているなら、早めに学習計画を立てて動き出すことが重要です。
※ 試験が廃止されても、廃止前に合格して取得した認定自体は無効になりません。通常どおり3年間の有効期間が適用されます。
「専門知識」区分ならではの合格ライン非公開という仕組み
AWS認定は100〜1000点のスケールでスコアが算出され、合格に必要な点数は統計的手法によって決定されるため、受験者には具体的な合格ラインが明かされません。同じ正答率でも試験回によって合否の基準が変動しうる仕組みであり、「何点取れば安全」という単純な目安が立てにくい点も、この試験を難しく感じさせる一因といえます。
まとめ ― 「終わりが見えているからこそ」挑む価値がある専門資格
こんな方にとくにおすすめ
- ネットワーク実務経験があり、クラウド領域での専門性を客観的に証明したい方
- Transit Gateway・Direct Connect・BGPなど大規模ネットワーク設計の知識を体系的に整理したい方
- AWS認定Specialty系の中でも難関資格に挑戦し、市場価値を高めたい方
- 2026年8月25日の廃止までに、このタイミングでしか取れない認定を取得しておきたい方
取得に向けた第一歩
まずは公式の試験ガイドで出題範囲を確認し、自分がすでに理解している領域と手薄な領域を洗い出すところから始めましょう。VPCやDirect Connectなど基礎的なサービスに不安がある場合は、AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトなど下位の認定から学習を積み上げるのも有効です。廃止までの期限が限られているため、学習計画は早めに立てて着実に進めることをおすすめします。
