Associate Android Developer Certificationとは?
概要・難易度・現在の受験状況を解説
Associate Android Developer Certificationの概要
Associate Android Developer Certificationは、Googleが公式に運営していたAndroidアプリ開発者向けの認定資格です。まず押さえておきたい大切な点として、この資格は現在、新規受験の受付を停止しています。すでに取得している人の認定は取得から3年間有効ですが、これから新しく受験して取得することはできません。
Google Developers側の公式ページでは「retired(引退)」扱いとして新規登録の案内がない一方、developer.android.com側では「現在見直し中」といったニュアンスの記載も見られ、完全な廃止というよりは「休止・見直し中」という色合いが強い状態です。この記事では、かつて実施されていた実技型の資格として、その内容や特徴を紹介します。
※ レガシー資格とは、新規の受験受付が終了し、既存の合格者・認定者のみが資格を保持できる状態の資格を指します。今後の学習者が新しく取得することはできません。
試験の出題範囲と形式(休止前の情報)
この資格の最大の特徴は、選択式のペーパーテストではなく、パフォーマンス(実技)ベースの試験だったことです。受験者はAndroid Studio上で用意された既存アプリを渡され、そこに含まれる未実装の機能を実装したり、意図的に仕込まれたバグを見つけて修正したりする課題に取り組みました。
提出後には「終了インタビュー」と呼ばれる口頭確認のステップがあり、実際に本人がそのコードを書いたかどうかを確認する仕組みになっていました。支払い後48時間以内に試験を開始し、提出まで進める必要があったため、実務さながらの緊張感のあるテストだったといわれています。
※ パフォーマンスベース試験とは、知識を問う選択問題ではなく、実際に手を動かして課題を完成させる形式の試験のことです。プログラミング分野では「実際にコードを書けるか」を直接評価できる方式として注目されていました。
受験資格・対象者(休止前の情報)
公式には前提資格や学歴の条件はなく、誰でも申し込める建て付けでした。ただし試験内容がAndroid Studioでの実装・デバッグそのものだったため、実質的にはエントリーレベルから中級程度のAndroidアプリ開発経験、具体的にはKotlinやJavaでの実務レベルのコーディングとAndroid Studioの操作に慣れていることが前提とされていました。
Google公式の実技型資格という珍しい立ち位置
IT系の認定資格の多くは選択式や記述式の筆記試験ですが、この資格はGoogleが公式に運営する数少ない「実技で開発力そのものを測る」資格でした。受験料は149米ドルで、これには3回分の受験機会が含まれるプランになっていたことも特徴です。合格率は公式に公表されていません。
難易度・学習時間の目安
選択問題を暗記すれば突破できる試験ではなく、実際に動くコードを制限時間内に書き切る必要があったため、事前準備には腰を据えた実装経験が欠かせませんでした。Kotlin・Javaでの基本文法はもちろん、Android StudioでのUI構築、非同期処理、既存コードの読解とデバッグに慣れていることが前提になります。
目安として、Androidアプリ開発の学習を始めたばかりの人であれば数百時間規模の実践経験を積んでから挑む内容でした。すでに簡単なアプリを自力で開発した経験がある人であれば、既存コードの読解力とデバッグの慣れを仕上げる形での対策が中心になったと考えられます。
※ Kotlinとは、Googleが2017年にAndroid公式開発言語として採用したプログラミング言語です。Javaより簡潔に書けることから、現在のAndroidアプリ開発の主流言語になっています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
Androidアプリエンジニア
最も直結する職種です。実技試験という性質上、「コードが書ける証明」として採用選考の場でアピール材料になりました。特に未経験からの転職では、ポートフォリオに加えて客観的な証明があることが安心材料になったといわれています。
フリーランスの受託開発者
クライアントワークでは初対面の相手に実力を証明する手段が限られます。Google公式の認定を持っていることは、実績が少ない段階でも一定の信頼を得やすい材料になっていました。
社内のAndroid担当・技術リーダー候補
自社サービスのAndroidアプリを担当するエンジニアが、自分のスキルを客観的に確認する目的で受験するケースもありました。実技試験のため、日々の業務で本当に手を動かしているかどうかが如実に反映される点も特徴です。
誕生の背景・歴史
2016年:Google I/Oでの発表
この資格は2016年のGoogle I/O(Googleが毎年開催する開発者向けカンファレンス)で発表されました。当時Androidアプリ開発者の数が世界的に急増しており、「開発力を客観的に証明できる仕組みが欲しい」という声にGoogleが応える形で企画されたとされています。
※ Google I/Oとは、Googleが毎年開催する開発者向けの技術カンファレンスです。新しいAndroidのバージョンや開発ツール、認定プログラムなどがここで発表されることが多くあります。
2017年のローンチから現在まで
翌2017年に正式にローンチされ、実技型という珍しい形式の資格として注目を集めました。その後もAndroidの技術トレンドに合わせて試験内容が見直されてきましたが、近年はGoogleの認定制度全体が整理・見直しの時期に入り、この資格も新規受験の受付を停止するに至っています。既存の認定は取得から3年間有効という枠組みは維持されていますが、期限が切れた場合の再受験(re-validate)も現在は事実上できない状態です。
どんな人が、どんな目的で取得していたのか
未経験からAndroidエンジニアを目指す人
独学やスクールでAndroid開発を学んだ人が、実務経験がない中で自分のスキルを証明する手段として受験していました。実技試験という性質上、「本当に書けること」を示せる点が評価されていました。
すでに現場で働くエンジニアのスキル証明
すでにAndroidアプリ開発の実務経験があるエンジニアが、自分のスキルを棚卸しする目的、あるいは社内評価や転職活動での客観的な裏付けとして取得するケースも多くありました。
教育機関・研修プログラムの修了目標として
プログラミングスクールや大学の演習課程で、Androidアプリ開発コースの到達目標としてこの資格の取得を掲げるケースもありました。実技試験であるため「学んだ内容が実際に手を動かせるレベルに達しているか」を測る指標として使いやすかったためです。
豆知識:実技型認定というユニークな存在
ローンチ直後に61カ国322人以上が取得
Google公式ブログによると、この資格がローンチされた2017年時点で、世界61カ国で322人以上が認定を取得したと報告されています。これは選択式試験のように大量の受験者をさばく形式ではなく、実技試験という時間のかかる形式であったことを踏まえると、決して少なくない数字だったといえます。
「コードを書いて直す」という珍しい試験設計
多くのIT資格が「知識を問う」形式であるのに対し、この資格は「既存のアプリの未実装機能を実装し、バグを直す」という、まさにエンジニアの日常業務そのものを試験にした点が異色でした。さらに終了インタビューまで用意されていたことから、Googleがこの資格の信頼性をかなり重視していたことがうかがえます。単なる資格という枠を超え、実務スキルの証明としての性格が強かった資格といえるでしょう。
なぜ休止状態になったのか
近年、Googleは開発者認定プログラム全体の構成を見直しており、この資格もその流れの中で新規受付を停止したと見られています。実技試験は運営コストが高く、審査に人手がかかることも一因とされていますが、公式に明確な廃止理由が発表されているわけではなく、developer.android.com側では見直し中というニュアンスの記載も残っているため、完全な終了と断定できない状態が続いています。
まとめ ― かつて存在した「実技で証明する」Android資格
こんな方にとくに知っておいてほしい
- すでにAssociate Android Developer Certificationを取得していて、有効期限や今後の扱いを知りたい方
- Android開発の資格を探していて、この資格が今も受験できると思っていた方
- Google公式の認定プログラムの歴史や実技型試験の仕組みに興味がある方
- これからAndroidエンジニアを目指すにあたり、代わりになるスキル証明の方法を探している方
今からAndroid開発力を証明したい場合の代替手段
この資格は新規受験ができないため、これからAndroid開発力を証明したい場合は、GitHub上に公開したポートフォリオアプリや、Google Playでのアプリ公開実績、あるいはKotlin関連の他の技術系認定などで代替するのが現実的です。すでに取得している方は、有効期限内であれば引き続き実績として活用できます。まずは公式サイトで自身の認定状況(有効期限など)を確認してみるとよいでしょう。

