鉛筆デッサンマスター資格(JDP)とは?
概要・難易度・デッサンの基礎技法を学ぶ方法を解説
鉛筆デッサンマスター資格(JDP)の概要
鉛筆デッサンマスター資格は、一般社団法人日本デザインプランナー協会(JDP)が実施する認定試験です。デッサンのセオリーや技術を理解し、石膏像をはじめとする様々なモチーフを描く技法を身につけていることを証明する民間資格として位置づけられています。
※ デッサンとは、鉛筆や木炭などを使って対象物の形・陰影・質感を写し取る絵画技法のことです。色を使う絵画の土台となる「見る力・描く力」を鍛える基礎訓練として、美術教育で重視されています。
試験の出題範囲と形式
試験は在宅受験の郵送方式です。インターネットで申し込むと1週間以内に試験問題が届き、解答を返送してから10日前後で合否が確認できます。出題範囲は、デッサンの用具・材料に関する知識(鉛筆・木炭などの描画材料、消し具、ぼかし用具、計測用具、支持体=デッサン用紙)、線・調子・質感の表現、描く位置と姿勢、エスキース、ウォーミングアップなど基本要素全般、そして石膏像を題材にした実践的な出題が含まれます。
合格基準は70%以上の評価とされ、受験料は10,000円(税込)です。試験期間・申込期間の制限はなく、随時受験できます。合格後は認定カード・認定証が各5,500円で発行されます。
※ エスキースとは、本番の作品に取りかかる前に描く簡単な下絵・構図案のことです。全体のバランスや構成を事前に確認するための、いわば「設計図」の役割を果たします。
受験資格・対象者
年齢・学歴・実務経験に関する制限はなく、絵を描いた経験がほとんどない方から独学でデッサンを続けてきた方まで誰でも受験できます。協会からの独自テキスト販売はなく、SARAスクールジャパンなどの通信講座でデッサンの基礎技法全般を学びながら資格取得を目指すルートが一般的です。
難易度・学習時間の目安
鉛筆デッサンは専門的な設備を必要とせず、鉛筆と紙、身近なモチーフさえあれば練習を始められます。用具の知識や基本要素はテキストで学びやすく、実際に何点か作品を描きながら1〜2ヶ月ほど練習すれば十分対応できるレベルです。
※ 調子(トーン)とは、鉛筆の濃淡で表現する明暗のグラデーションのことです。光の当たり方を正確に観察し、濃淡を段階的に描き分ける力が、立体感のあるデッサンを描くための鍵になります。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
デッサン教室・カルチャースクールの講師
自宅やカルチャースクールでデッサンの基礎を教える講師活動をする際、体系立てた知識と技術を持っていることが指導の裏付けになります。
イラストレーター・デザイナーの基礎力強化
デジタルイラストや商業デザインの分野でも、対象を正確に観察して形を捉えるデッサン力は土台となる技術であり、資格取得を通じて基礎を体系的に見直す機会になります。
似顔絵・ポートレート制作の副業
イベント会場やオンラインでの似顔絵制作といった副業でも、質感や陰影を正確に描き分けるデッサンの基礎技術が仕上がりの質を左右します。
誕生の背景・歴史
石膏像デッサンは明治の美術教育とともに始まった
石膏像をモチーフにしたデッサンは、明治政府が西洋美術を取り入れるため、1876年に開校した工部美術学校でお雇い外国人教師が教材として持ち込んだのが始まりとされています。1887年の東京美術学校(現・東京藝術大学)開校後は海外から多くの石膏像が輸入され、日本の美術教育の基礎として定着しました。
石膏像が今も定番のモチーフとされているのは、人体の理想的な形として骨格や陰影が把握しやすいうえ、真っ白な素材ゆえに細かい濃淡(グラデーション)の練習に適しているためといわれています。
在宅で学べる資格として現代に整備
美術予備校や専門学校に通わなくても、独学でデッサンに取り組む人は昔から一定数存在してきました。JDPは、こうした独学の学びを体系化し、通学せずに知識と技術を証明できる資格として鉛筆デッサンマスターを展開しています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
絵を描く趣味を体系的に見直したい方
我流で絵を描いてきた方が、基本に立ち返って正しいデッサンの理論を学び直したいという理由で資格取得を目指すケースが多く見られます。
イラスト・デザイン系の仕事を目指す方
デジタルイラストやデザインの仕事を目指すにあたり、観察力と描写力の土台となるデッサン力を客観的に示したい方が、履歴書に書ける資格として取得しています。
デッサン教室講師を目指す方
子ども向け・大人向けを問わず、絵の楽しさを教える講師活動をしたい方が、指導内容の裏付けとして資格を取得するケースもあります。
豆知識:デッサンとものづくりのうんちく
石膏像は「西洋美の基準」を伝える存在だった
明治期に輸入された石膏像は、単なる練習用モチーフではなく、日本にとって「西洋美術の理想的な美しさ」を学ぶための象徴的な存在でもあったとされています。もとは古代ギリシャ・ローマ彫刻やルネサンス彫刻の複製であり、遠く海を渡ってきた美術教材が、今も全国のデッサン教室で使われ続けているのは興味深い歴史です。
デッサンは色を使う絵画の「土台」
油絵や水彩画など色を使う絵画の分野でも、美術学校の多くはまずモノクロのデッサンから指導を始めます。色に惑わされず形と陰影だけで対象を捉える訓練が、結果的にどんな画材を使う場合でも通用する観察力を養うといわれています。
まとめ ― 「見る力・描く力」を鍛え直す資格
こんな方にとくにおすすめ
- 我流で描いてきたデッサンを基礎から見直したい方
- イラスト・デザイン系の仕事に活かしたい方
- デッサン教室の講師活動を目指す方
- 特別な設備を使わず自宅で始めたい方
取得に向けた第一歩
まずは身近な静物を鉛筆でスケッチし、陰影のつけ方に慣れることから始めるのがおすすめです。並行してSARAスクールジャパンなどの通信講座で、用具の使い方や石膏像デッサンの技法を体系的に学ぶと、効率よく試験対策が進みます。
