安全管理者選任時研修について

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安全管理者選任時研修とは?

労働安全衛生法に基づく国家制度(法定研修)をわかりやすく解説

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安全管理者選任時研修の概要

安全管理者選任時研修は、労働安全衛生法第11条・安全衛生規則第5条第1号・厚生労働省告示第24号(平成18年)に基づき、事業場の安全管理者として新たに選任される者が受講義務を負う法定研修です。合計9時間・1日(機関によって1〜1.5日)の講習で修了証(カード型)が交付されます。修了考査(試験)はなく、全科目受講完了で修了証が交付されます。学歴・実務経験の一定の要件(大学理科系卒業後2年以上の産業安全実務経験等)と本研修修了を組み合わせることで、安全管理者として選任できる資格要件を満たします。製造業・建設業・運送業等の常時50人以上の事業場で必須の安全管理専門職への登竜門です。

平成18年10月1日施行──法定化されたのは比較的最近:本研修が法定義務化されたのは2006年(平成18年)10月1日施行の改正です。それ以前は「安全管理者への選任に際して研修を修了すること」は法定要件ではなく、学歴・実務経験のみで選任できていました。現在は安衛則第5条第1号が定める学歴・実務経験の要件に加えて「厚生労働大臣が定める研修(=本研修)の修了」が必須要件となっています。ただし①労働安全コンサルタント(国家資格保有者)②旧法下で2006年9月30日以前から安全管理者として選任されていた者は研修修了不要です。

安全管理者に「なれる人」の5つのルート

安衛則第5条が定める安全管理者の選任資格は、①大学・高専の理科系課程卒業+産業安全実務2年以上②高校・中等教育学校の理科系学科卒業+産業安全実務4年以上③大学・高専の理科系以外の課程卒業+産業安全実務4年以上④高校・中等教育学校の理科系以外の学科卒業+産業安全実務6年以上⑤学歴不問+産業安全実務7年以上のいずれかに該当し、かつ本研修を修了した者(または労働安全コンサルタント)です。「産業安全の実務」とは工場・建設現場等での安全管理業務(設備点検・危険箇所の改善・安全教育の実施・作業環境測定等)に直接携わった経験を指します。実務経験年数が要件を満たす見通しがたった時点で本研修を受講するのが一般的な流れです。

基本情報の早見表

取得方法法定研修(学科9時間・1日間)の全科目受講完了(試験なし)
研修科目(学科9時間)①安全管理(3時間)②事業場における安全衛生水準向上のための自主的活動・リスクアセスメント(3時間)③安全教育(1.5時間)④関係法令(1.5時間)
修了条件試験(修了考査)なし。全9時間受講完了で修了証(カード型)交付
受講資格学歴・実務経験の一定要件を満たす者(詳細は上記参照)または労働安全コンサルタント
受講料約13,000〜25,000円(機関・会員区分により差あり)
有効期限なし(終身有効・更新義務なし)
実施主体中央労働災害防止協会(中災防)・一般社団法人安全衛生マネジメント協会・各都道府県の労働基準協会等
公式根拠安衛法第11条・安衛則第5条第1号・厚生労働省告示第24号(平成18年2月16日)

研修内容を詳しく

9時間(1日間)の科目詳細

本研修は厚生労働省告示第24号(平成18年)が定める4科目9時間のカリキュラムで構成されています。特に「リスクアセスメントを含む自主的安全衛生活動(3時間)」が中核科目で、事業場での危険性・有害性の特定→リスク評価→優先順位付け→対策実施の一連のプロセスを実践的に学びます。機関によっては1日(9時間・みっちり)または1.5日(一部グループ演習含む)で実施されます。eラーニング(オンライン)対応コースも一部機関で提供されています。

  • 安全管理(3時間):安全管理者の具体的な職務内容(安全設備の定期点検・安全教育の計画・立案・実施・評価・安全推進計画の作成・統計的手法による事故分析・KY(危険予知)活動の推進・安全委員会の運営)・ヒヤリハット報告制度の活用・「なぜなぜ分析」「4M分析(人・機械・媒体・管理)」による事故原因究明方法・安全目標の設定と達成度評価・安全パトロールの実施方法と指摘事項の記録管理
  • 事業場における安全衛生水準向上のための自主的活動・リスクアセスメント(3時間):リスクアセスメントの概要(安衛法第28条の2・義務規定と対象)・危険性・有害性の特定手法(チェックリスト法・What-if分析・FMEA等)・リスクの見積り方法(重篤度×発生可能性の評価マトリクス)・リスク低減措置の検討(本質的安全化→設備対策→管理的対策→個人保護具の優先順位)・化学物質のリスクアセスメント(SDS・ラベルの読み方・CREATE-SIMPLE等の評価ツール)・PDCA(計画→実施→評価→改善)に基づく安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の運用・JISHA方式適格OSHMS・ISO45001の概要
  • 安全教育(1.5時間):雇入れ時教育・作業内容変更時教育・特別教育・職長教育・危険有害業務従事者教育の5種類の法定教育の概要と実施計画の立て方・教育効果を高めるための手法(OJT・ワンポイントレッスン・危険体感教育・VR教育)・外国人労働者・若年労働者・パートタイム労働者等への教育上の配慮事項・教育記録の作成・保存(3年間)・社内安全衛生教育の年間計画作成
  • 関係法令(1.5時間):労働安全衛生法の体系(法→施行令→規則→告示の関係)・安全管理者の選任義務・資格要件・職務規定(安衛法第11条・安衛則第3条の2・第6条)・安全委員会の設置義務・構成・運営(安衛法第17条)・労働基準監督署への報告義務(重篤な労働災害発生時の報告・安全衛生改善計画等)・下請け・請負関係での安全衛生管理責任の明確化・最近の法令改正動向(化学物質の自律的管理・2024年改正等)

修了の条件(試験なし・全科目受講完了)

安全管理者選任時研修には法令上の修了考査(試験)がなく、全9時間の全科目受講完了で修了証(カード型)が交付されます。修了証は全国どこでも有効で有効期限はありません。受講後は事業者が安全管理者として選任し(選任後14日以内に所轄労働基準監督署へ報告)、事業場内の安全業務に従事します。受講記録は3年間の保存が義務です。研修修了後もリスクアセスメントや化学物質管理の知識のアップデートのために「能力向上教育(安全管理者等に対する教育)」の受講が推奨されています。

難易度・受講のポイント

★☆☆☆☆ 試験なし・学科9時間(1日)で完了。受講には学歴+実務経験の一定要件あり(詳細は上記)。最重要ポイントはリスクアセスメント(危険性・有害性の特定→リスク見積り→対策立案のPDCA)・SDS・化学品ラベルの読み方・安全委員会の運営(100人以上の事業場)・重篤災害発生時の監督署への報告義務・安全管理者の専任義務(300人以上)。安全担当者のキャリアに必要な法定研修。

安全管理者選任時研修は試験がない1日研修ですが、事業場の安全管理責任者という重い職責に就くための法定研修です。特に2023年以降の化学物質の自律的管理制度(化学物質管理者の選任義務・リスクアセスメント義務の拡大・GHS分類に基づくSDS交付義務)との関係を正確に理解しておくことが現代の安全管理者には求められています。本研修の内容だけでなく、実務では化学物質リスクアセスメントの実施ツール(CREATE-SIMPLE・コントロール・バンディング等)の操作習熟が重要です。

修了率:試験なし・全9時間受講で修了。リスクアセスメント(危険性・有害性の特定→見積り→対策立案)・化学品SDS読み方・安全委員会の設置・運営・重篤災害の監督署報告・安全管理者の専任義務(300人以上)・OSHMS(PDCA運用)が安全管理者の実務核心知識。

キャリアパスと需要

安全管理者の具体的な職務内容

安全管理者は安衛則第6条が定める以下の職務を担います。①建設物・設備・作業場所・作業方法の危険防止措置②安全装置・保護具の整備・点検③安全教育の実施④発生した労働災害原因の調査と再発防止措置⑤安全委員会の構成員として協議に参加⑥事業者への必要な勧告。製造業・建設業・運送業等の常時50人以上の事業場(一部業種は100人以上・300人以上で専任義務)で必須とされており、安全担当者・工場管理者・施設管理者のキャリアで最も重要な資格要件の一つです。大企業では「本社安全部門→事業所安全管理者→労働安全コンサルタント」というキャリアパスが一般的です。

労働安全コンサルタント・衛生管理者・職長教育との組み合わせ

労働安全コンサルタント(国家資格・筆記+口述試験・難関)は安全管理者の上位に位置する資格で、本研修での安全管理実務が試験対策の基礎になります。「第一種衛生管理者(国家試験)」と合わせると、安全(安全管理者)と衛生(衛生管理者)の両方を担当できる安全衛生のオールラウンダーとして企業内で重宝されます。職長・安全衛生責任者教育の修了証と組み合わせると、現場リーダー教育から事業場の安全管理者業務まで幅広いカバーが可能な人材として評価されます。中小企業では安全管理者が総務・人事・施設管理を兼務するケースが多く、複数の安全衛生関連資格を持つ総合的な人材へのニーズが高まっています。

豆知識:安全管理者制度の知識

安全管理者の選任義務──対象事業場の業種・規模ルール

安全管理者の選任義務が課される事業場は「安全管理者の選任を要する業種(施行令第3条)で常時50人以上の労働者を使用する事業場」です。対象業種は林業・鉱業・建設業・製造業(物の加工業を含む)・電気業・ガス業・水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・清掃業・屠畜業・農業・通信業等です。同一の事業者でも事業場(物理的な作業場所・工場・営業所)ごとに判断されるため、本社が100人でも各工場が49人以下の場合は各工場での義務はありません。選任後14日以内に所轄労働基準監督署への報告義務があります(安衛則第2条)。

安全委員会との関係──常時50人以上で設置義務

安全管理者が選任される事業場(常時50人以上・対象業種)では、安衛法第17条に基づき「安全委員会」の設置が義務付けられています。安全委員会は①総括安全衛生管理者または事業場の安全衛生に関する事項で権限のある者(委員長)②安全管理者(委員)③当該事業場の労働者で安全に関し経験を有する者(委員)で構成されます。毎月1回以上の開催が義務付けられており、労働災害の防止計画・安全衛生規程の作成・安全に関する計画の作成・実施・評価等を協議します。安全委員会と衛生委員会を合わせた「安全衛生委員会」として合同開催することも認められています。

専任義務のある事業場──常時300人以上で「専任」が必要

安全管理者は原則として兼任(他の業務との兼務)が認められていますが、「常時300人以上の労働者を使用する事業場」や「坑内労働・爆発性物質等の危険な業務が行われる一定の事業場(施行令別表)」では安全管理者を「専任」(安全管理業務のみに専従)させることが義務付けられています。この「専任の安全管理者」は安全衛生管理を本職とするプロフェッショナルであり、労働安全コンサルタントの資格を持つ者が当たるケースも多いです。大企業の工場・製造拠点では「専任安全管理者ポスト」が存在し、本研修+豊富な産業安全実務経験を持つ人材への需要があります。

よくある質問

Q. 実務経験の要件を満たしていない段階で本研修を受講できますか?

研修自体の受講には制限がなく、実務経験の要件を満たす前でも講習機関の判断で受講できるケースがほとんどです。ただし安全管理者として選任されるには学歴・実務経験の要件と本研修修了の両方が必要です。実務経験の要件を満たす見通しがあれば前もって本研修を受講しておき、実務経験が満たされた時点で安全管理者に選任することが実務上の一般的な流れです。なお労働安全コンサルタントの資格保有者は本研修の修了が不要で、資格取得後すぐに安全管理者として選任できます。

Q. 安全管理者と「安全衛生推進者」はどう違いますか?

安全管理者(安衛法第11条)は常時50人以上の事業場で必要な安全専門職、安全衛生推進者(安衛法第12条の2)は常時10〜49人の事業場で必要な安全衛生担当者です。規模と担当範囲が異なり、安全管理者は「安全」専門の役職(衛生は衛生管理者が別途必要)、安全衛生推進者は安全・衛生を一人で担う役職です。選任資格の要件も異なります(安全管理者のほうが学歴・実務経験の要件が厳しい)。50人を超えた時点で安全衛生推進者を廃止して安全管理者+衛生管理者に移行する義務があります。小規模事業場での安全衛生推進者経験は安全管理者へのキャリアアップの基礎として有効です。

こんな方におすすめ

  • 製造業・建設業・運送業等の常時50人以上の事業場で安全管理者として選任される予定で、学歴・実務経験の要件を満たしており本研修の修了証取得を急いでいる安全担当者の方(試験なし・9時間・1日で取得可)
  • 現在は工場の班長・安全推進担当として働いており、将来的に事業場の安全管理者として活躍するキャリアパスを目指して早めに本研修を受講しておきたい方
  • 第一種衛生管理者・職長・安全衛生責任者教育と合わせて、安全と衛生の両方をカバーできる安全衛生のオールラウンダーとして企業内で評価されたい安全衛生担当者の方
  • 中小製造業・建設業の事業主として、自社事業場の安全管理者選任義務の適否確認と本研修の受講計画の策定を検討している経営者・総務担当の方

最新の講習日程・受講料・申込方法の詳細は中央労働災害防止協会(中災防)または一般社団法人安全衛生マネジメント協会にお問い合わせください。eラーニングコースも一部機関で提供されています。

公式サイト:一般社団法人安全衛生マネジメント協会 安全管理者選任時研修