認知症ケア上級専門士について

筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

認知症ケア上級専門士とは?

概要・難易度・認知症ケア専門士制度の最上位資格を解説

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認知症ケア上級専門士の概要

認知症ケア上級専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する民間資格です。同学会が運営する「認知症ケア専門士」制度のなかで最も上位に位置づけられており、ケアチームのリーダーや地域のアドバイザーとして活躍することが期待される人材の養成を目的としています。

日本認知症ケア学会とは、認知症ケアに関する研究・実践の質を高めることを目的に活動する学術団体です。認知症ケア専門士制度をはじめ、学術集会の開催や機関誌の発行を行っています。

試験の出題範囲と形式

認知症ケア上級専門士の資格試験はWEB試験形式で実施されます。出題数は50問で、五者択一のマークシート形式に準じた選択式です。出題範囲は認知症ケアの倫理、ケアマネジメント、チームアプローチの3領域とされ、単なる知識の暗記ではなく、現場のリーダーとして判断できるかどうかが問われる内容になっています。

合格基準は正答率70%以上です。受験料は第17回(2025年度実施分)で10,000円となっています。年度によって変更される可能性があるため、受験を検討する際は必ず学会公式サイトの最新の実施要項を確認してください。

WEB試験とは、指定された期間内にパソコンやタブレットからオンラインで受験する試験方式のことです。会場に足を運ぶ必要がなく、全国どこからでも受験できるのが特徴です。

受験資格・対象者

受験にあたっては、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。まず、認知症ケア専門士としての実務経験が3年以上あること。次に、所定期間内に専門士単位を30単位以上取得していること。さらに、認知症ケア上級専門士研修会を修了していること。そして、学術集会での演題発表、または査読制度のある機関誌への論文発表(筆頭著者であることが条件)のいずれかを満たしていることです。

つまり、認知症ケア上級専門士は「誰でもいきなり受験できる」資格ではなく、認知症ケア専門士としての実務経験と学会活動への参加実績が前提になっている点が大きな特徴です。ステップを踏んで初めて到達できる資格だといえるでしょう。

認知症ケア専門士制度における位置づけ

日本認知症ケア学会の認定制度は、准専門士・専門士・上級専門士という3段階の構造になっています。まず准専門士があり、そこから専門士へ、そして最上位となる上級専門士へとステップアップしていく仕組みです。この記事で扱う上級専門士は、その最上位にあたる資格です。

准専門士・専門士については別記事で詳しく紹介していますが、上級専門士だけが持つ大きな違いは「実務経験3年以上」「単位取得」「研修会修了」「学術発表または論文発表」という4条件がそろって初めて受験できる点にあります。知識を問う試験であると同時に、現場での実績と学会活動への参加が問われる、キャリアの集大成としての資格だと考えるとわかりやすいでしょう。

認知症ケア専門士とは、日本認知症ケア学会が認定する基礎資格で、認知症ケア上級専門士の前提となる資格です。上級専門士の受験にはこの専門士資格を保有し、かつ資格の更新を継続していることが必要です。

難易度・学習時間の目安

★★★★☆ 受験資格のハードルが高く、実務経験と学会活動の積み重ねが前提の資格

認知症ケア上級専門士は、試験そのものの難易度以上に「受験資格を満たすまでの道のり」が長い資格です。認知症ケア専門士として3年以上の実務経験を積み、その間に専門士単位を30単位以上取得し、さらに研修会を修了し、学術集会での発表か論文発表の実績まで求められます。ここまでたどり着くだけで数年単位の準備期間が必要になるのが実情です。

試験自体は50問・五者択一のWEB試験で、出題範囲も倫理・ケアマネジメント・チームアプローチという専門士としての実務経験があれば取り組みやすい内容とされています。とはいえ、正答率70%以上という基準は決して低くはなく、日々の業務のなかで得た知識を体系的に整理し直す学習時間の確保が合格の鍵になります。

専門士単位とは、学会が主催・認定する研修や学術集会への参加などを通じて積み上げるポイントのことです。認知症ケア専門士の資格更新にも必要とされる仕組みで、上級専門士を目指す期間中も継続的な取得が求められます。

合格率の目安:学会から合格率そのものは公表されていません。参考情報として合格者数は第17回(2025年度)36名、2023年度18名と把握できますが、受験者数が公表されていないため合格率は算出できません。受験資格の条件をクリアした人だけが挑む試験であるため、一般的な資格試験の合格率と単純に比較できない点にも注意が必要です。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

介護施設・医療機関のケアリーダー

特別養護老人ホームやグループホーム、病院の認知症病棟などでは、現場スタッフをまとめ、ケアの方向性を示す立場が必要とされています。認知症ケア上級専門士は、そうしたケアチームのリーダーとして、スタッフへの助言やケアプランの質向上に貢献できる立場を裏づける資格です。

地域包括ケアのアドバイザー

地域包括支援センターや自治体の認知症施策との連携において、専門的な立場から助言を行う役割も期待されています。学会が資格の目的として「地域のアドバイザーとして活躍する人材」を掲げている通り、施設内にとどまらず地域全体の認知症ケアの質を底上げする活動に携わる道も開けます。

後進育成・研修講師

実務経験・単位取得・学術発表実績を経て取得する資格であるため、後進の認知症ケア専門士・准専門士を指導する立場としても信頼を得やすくなります。施設内研修の講師や、学会主催の研修会での登壇など、知識と経験を次世代に伝える役割を担う専門士も少なくありません。

誕生の背景・歴史

2009年度:上級専門士制度の創設

認知症ケア専門士制度自体は2005年度に始まりましたが、上級専門士はその発展形として2009年度に創設されました。介護現場で専門士の数が増えるにつれ、「知識を持つ人材」から一歩進んで「チームを牽引し、地域に貢献できる人材」を育てる必要性が学会内で認識されたことが背景にあります。専門士の上にもう一段階のキャリアパスを設けることで、現場に根を張った実践知をより広い範囲へ還元する仕組みが整えられました。

創設以降:現在への変遷

制度創設から現在まで、上級専門士の受験条件は「実務経験」「単位取得」「研修会修了」「学術発表・論文発表」という4本柱でほぼ一貫しています。試験形式は近年WEB試験へと移行しており、全国どこからでも受験しやすい環境が整えられてきました。認知症ケアを取り巻く社会状況が変化するなかで、学会は倫理・ケアマネジメント・チームアプローチという出題範囲を通じて、時代に即したリーダー像を問い続けています。

チームアプローチとは、医師・看護師・介護福祉士・ケアマネジャーなど多職種が連携して一人の利用者を支える考え方です。認知症ケアでは特に、職種の垣根を越えた情報共有と役割分担が重視されます。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

施設のケア方針を担う立場を目指す介護福祉士

認知症ケア専門士として現場経験を積んだ介護福祉士が、施設全体のケア方針を担うポジションを目指して上級専門士を取得するケースが多く見られます。現場の一スタッフから、ケアの質そのものに責任を持つ立場へとステップアップする節目として位置づけられています。

地域連携を担いたい看護師・相談員

病院や地域包括支援センターに勤める看護師・生活相談員のなかには、施設内のケアだけでなく地域全体の認知症支援に関わりたいという動機で取得を目指す人もいます。学会活動を通じて他機関の専門職とのネットワークを築けることも、取得の後押しになっているようです。

研究・発表活動にも力を入れたい実務者

受験条件に学術集会での発表や論文発表が含まれるため、日々の実践を言語化し、他者に伝える経験を積みたいと考える実務者にとっても意義のある資格です。現場での気づきを研究的な視点でまとめる過程そのものが、自身のケアを見つめ直す機会になったという声もあります。

豆知識:乱立する「認知症ケア」系資格の見分け方

似た名前でも主催団体はバラバラ

「認知症ケア」を冠する資格は、実は複数の別団体がそれぞれ独自に運営しています。認知症ケア指導管理士は一般社団法人総合ケア推進協議会が、認知症ライフパートナーは日本認知症コミュニケーション協議会(JADECC)が、それぞれ独自の基準で認定している資格です。名称が似ているためインターネット検索では混同されやすいのですが、この記事で紹介している認知症ケア上級専門士は、これらとはまったく別の制度である日本認知症ケア学会の認定資格です。

資格を探す際は「どの団体が認定しているか」を必ず確認することをおすすめします。主催団体が違えば、受験資格・試験内容・資格の位置づけもまったく異なるためです。この記事で紹介する上級専門士は、准専門士・専門士から積み上げてたどり着く学会内の最上位資格という点が、他の類似資格にはない特徴です。

総合ケア推進協議会日本認知症コミュニケーション協議会(JADECC)は、いずれも日本認知症ケア学会とは異なる別団体です。認知症ケア指導管理士・認知症ライフパートナーは、それぞれの団体が独自に運営する資格であり、准専門士・専門士・上級専門士という段階制度は持ちません。

「専門士」の上には「上級」しかない

日本認知症ケア学会の認定制度は准専門士・専門士・上級専門士の3段階のみで、上級専門士より上の階層は設けられていません。つまり上級専門士は、この学会の認定制度における「到達点」にあたる資格です。2009年度の創設から現在まで、この3段階構造が維持されている点も学会制度の安定性を物語っています。

まとめ ― 認知症ケアの「まとめ役」を証明する最上位資格

こんな方にとくにおすすめ

  • 認知症ケア専門士としての実務経験が3年以上ある方
  • 施設内でケアチームのリーダーやまとめ役を目指したい方
  • 地域包括ケアの分野でアドバイザー的な役割を担いたい方
  • 学術集会での発表や論文執筆にも意欲がある方

取得に向けた第一歩

認知症ケア上級専門士は、いきなり目指せる資格ではなく、認知症ケア専門士としての実務と学会活動の積み重ねが前提になります。まずは認知症ケア専門士(その前段階の准専門士から)の取得を目指し、実務経験を重ねながら専門士単位をこつこつ取得していくことが、上級専門士への確実な第一歩です。あわせて、学術集会への参加や発表の機会を積極的に探しておくと、受験資格を満たすタイミングがスムーズになるでしょう。

公式サイト:認知症ケア上級専門士 公式ページ(日本認知症ケア学会)