経営士とは?
概要・受験料・難易度・経営コンサルの資格を徹底解説
経営士の概要
経営士は、経営コンサルタントとしての知識と実務能力を認定する民間資格です。一般社団法人 日本経営士会が認定しており、日本で最も歴史のある経営コンサルタント団体を標榜しています。資格制度は昭和52年(1977年)に始まり、長い歴史を持ちます。理論だけでなく、経営の実務に親身に関わり、企業の業績向上や効率化に貢献するスペシャリストであることを証明する資格です。独立コンサルタントから企業内の経営人材まで、幅広く活用されています。
※ 注意:同名の別資格があります。「経営士」は、本記事で扱う一般社団法人日本経営士会のほか、別団体である日本経営士協会(JMCA)も同名の資格を認定しています。両者は別の団体・別の制度なので、受験の際は団体を確認してください。本記事は日本経営士会の経営士について解説します。
経営士・経営士補・環境経営士
資格には、上位の「経営士」と、その補佐レベルの「経営士補」、さらに環境分野の「環境経営士」があります。経営士は経営管理の実務経験5年以上、経営士補は実務経験3年以上が目安とされ、経験に応じて挑戦できます。経営の効率化や業績向上に貢献するスペシャリストとして、自分のレベルに合った資格を選べます。
実務経験を重視
経営士の大きな特徴は、実務経験を重視している点です。経営士は大学卒業程度以上の学識に加え、経営管理の実務経験5年以上が求められます。机上の理論だけでなく、現場で経営に関わってきた経験を持つ人を認定する資格のため、取得者には熟練したコンサルタントが多いのが特徴です。実務に根ざした助言ができる専門家であることの証になります。
基本情報の早見表
| 主催 | 一般社団法人 日本経営士会(※日本経営士協会の同名資格とは別制度) |
|---|---|
| 受験資格 | 経営士=大卒程度以上+経営管理の実務経験5年以上/経営士補=実務経験3年以上 |
| 試験形式 | 筆記試験+面接試験+経歴審査の総合評価(筆記は共通試験〈論述2時間〉+専門試験〈3時間〉) |
| 試験科目 | 専門試験は経営・生産・販売・人事・財務・情報などの6科目から2科目選択/共通試験は論述 |
| 合格基準 | 60点以上(経歴・筆記・面接を総合評価) |
| 試験日程 | 年2回(筆記:5月第2日曜・11月第1日曜/面接:6月・12月の第1日曜) |
| 受験料 | 10,000円(合格後の入会時に別途、入会金・年会費が必要) |
| 難易度の目安 | 合格率は約70%。ただし実務経験5年以上が前提で、対象者が絞られる |
※ 筆記試験の代わりに「経営士及び経営士補養成講座」を受講し、所定の単位を履修して研修終了試験に合格するルートもあります(受講料は別途)。働きながら取得を目指す人に向いた選択肢です。
試験内容を詳しく
経営士の認定は、筆記試験・面接試験・経歴審査の3つを総合して評価される点が特徴です。知識だけでなく、これまでの実務経験や、コンサルタントとしての適性まで含めて判断されます。それぞれの内容は次のとおりです。
筆記試験(共通試験・専門試験)
筆記試験は、共通試験と専門試験の2つで構成されます。共通試験は2時間の論述形式で、経営に関する総合的な理解が問われます。専門試験は3時間で、経営・生産・販売・人事・財務・情報などの6科目から2科目を選んで解答します。自分の得意分野や専門性を活かして挑戦できる構成です。
面接試験
筆記試験に加えて、面接試験が行われます。経営コンサルタントとして、相手と適切にコミュニケーションを取り、的確に助言できる資質があるかが見られます。知識を実際の場面で活かせるか、人柄や姿勢も含めて評価される点が、実務を重視するこの資格らしい部分です。
経歴審査
これまでの経歴や業績についての審査も、評価に含まれます。経営管理の実務経験が求められるため、その経験の内容や実績が確認されます。実務に根ざした資格であることを反映した、特徴的な審査です。3つの要素を総合して、経営士としてふさわしいかが判断されます。
難易度・合格率・取得の道のり
経営士の合格率は約70%とされ、試験そのものの難易度は極端に高いわけではありません。ただし、受験には経営管理の実務経験5年以上が前提となるため、そもそも挑戦できるのは一定の経験を積んだ人に限られます。論述や面接では、知識を実務に結びつけて語る力が問われます。経験を整理し、自分の言葉で経営を語れるよう準備することが大切です。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
独立系の経営コンサルタント
独立して経営コンサルタントとして活動する際に、専門性と信頼の証になります。中小企業の経営支援、起業支援、経営戦略の立案、コスト削減、IT導入など、幅広いコンサルティング業務に活かせます。歴史ある資格であることも、顧客からの信頼につながります。
企業内の経営・管理人材
企業の中で、経営・生産・販売・人事・財務・情報など、幅広い分野の管理業務に携わる人にも役立ちます。経営を体系的に理解していることで、より高い視点から業務改善や戦略立案に取り組めます。管理職や経営幹部を目指すうえでの土台にもなります。
中小企業・起業の支援
中小企業の経営支援や、起業を志す人へのアドバイスにも力を発揮します。経営革新を支援するアドバイザーとしての活動機会もあり、地域の企業を支える専門家として貢献できます。実務に根ざした助言ができることが、現場で重宝される理由です。
他の資格との違い・位置づけ
中小企業診断士との違い
経営コンサルタント系の資格としては、国家資格の中小企業診断士がよく知られています。中小企業診断士が、試験合格による国家資格で「診断」を主な業務とするのに対し、経営士は民間資格で、理論より実務を重視し、経営そのものに親身に関わることを強調しています。実務経験5年以上が前提のため、すでに経験を積んだ人が、その専門性を証明する資格という位置づけです。
経験者向けの実務派資格
経営士は、これから学ぶ人向けの入門資格というより、すでに経営や管理の実務経験を持つ人が、その力を体系的に証明するための資格です。筆記・面接・経歴審査という総合評価も、実務経験を重視する姿勢の表れです。経験を積んだコンサルタントや管理職が、専門性を裏付ける目的で取得するケースが多くあります。
※ 中小企業診断士は、経営コンサルタントに関する唯一の国家資格です。経営士とあわせて理解しておくと、自分の目的に合った資格選びがしやすくなります。
誕生の背景・関連知識
歴史ある経営コンサルタント資格
日本経営士会は、日本で最も歴史のある経営コンサルタント団体を標榜し、その資格制度は昭和52年(1977年)に自主規制として始まりました。経営士は、能率向上に取り組む団体連合の称号登録制度における登録第一号ともされています。長い歴史の中で、日本の経営コンサルティングの一翼を担ってきた、伝統ある資格です。
「実務に親身に関わる」という姿勢
経営士が大切にしているのは、外から診断するだけでなく、企業の経営に親身に関わり、ともに改善を進めるという姿勢です。実務経験を重視し、面接や経歴審査を含めて総合的に評価するのは、こうした実践的なコンサルタントを認定するためです。理論と現場の両方を備えた専門家を育てる、という理念が根底にあります。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
独立を目指すコンサルタント
経営コンサルタントとして独立・開業を目指す人が、専門性の証明として取得します。歴史ある資格を持つことが、顧客からの信頼や、活動の幅を広げることにつながります。
企業の管理職・経営幹部
企業で経営や管理に携わる管理職・幹部が、自らの経営知識を体系化し、証明するために取得します。実務経験を資格という形にすることで、社内外での評価や、今後のキャリアに活かせます。
実務経験を活かしたい人
長年の経営・管理の経験を持つ人が、その実績を資格として裏付けたいと考えて取得します。経験者向けの資格だからこそ、これまでのキャリアを価値ある専門性へと結びつけられます。
豆知識:経験が「ものを言う」資格
知識だけでは取れない
経営士は、筆記試験の知識だけでなく、実務経験や面接での受け答えまで総合的に評価される資格です。つまり、一夜漬けの勉強では取れません。これまで経営の現場で積み重ねてきた経験こそが、最大の武器になります。経験豊富な人ほど力を発揮できる、実務派のための資格といえます。
働きながら目指せる養成講座
経営士には、筆記試験のほかに、養成講座を受講して取得を目指すルートもあります。少人数で、働きながら学べる形が用意されているため、忙しい社会人でも挑戦しやすいのが特徴です。自分の状況に合わせて、試験ルートと講座ルートを選べる柔軟さも、この資格の魅力の一つです。
まとめ ― 実務派の経営コンサルタント資格
こんな方にとくにおすすめ
- 経営コンサルタントとして独立・開業を目指す方
- 企業で経営・管理に携わり、知識を証明したい管理職・幹部の方
- 長年の経営・管理の実務経験を活かしたい方
- 中小企業支援や起業支援に関わりたい方
取得に向けた第一歩
まずは日本経営士会の公式情報で、受験資格(実務経験)や試験の内容、養成講座について確認しましょう。同名の別資格と間違えないよう、団体名の確認も忘れずに。自分の実務経験が要件を満たすなら、試験ルートか養成講座ルートかを選び、これまでの経験を整理して、論述や面接に備えて準備を進めましょう。
公式サイト:経営士(日本経営士会)
