損害保険募集人一般試験(自動車保険単位)とは?
概要・難易度・自動車保険を売るために必要な理由を解説
損害保険募集人一般試験(自動車保険単位)の概要
「損害保険募集人一般試験(自動車保険単位)」は、損害保険の代理店で働く募集人が自動車保険を販売するために合格しておく必要がある試験です。実施しているのは一般社団法人日本損害保険協会で、損保会社各社が加盟する業界団体が全国共通の基準で運営しています。
※ 損害保険募集人とは、保険会社の委託を受けて自動車保険・火災保険などの契約締結を代理・媒介する人のことです。代理店の営業職員のほとんどがこの立場にあたります。
「損保一般試験」を構成する4単位のひとつ
ここが誤解されやすいポイントですが、「自動車保険単位」は単体で独立した資格ではありません。正式には「損保一般試験」と呼ばれる試験制度があり、その中に基礎単位・自動車保険単位・火災保険単位・傷害疾病保険単位という4つの単位が用意されています。募集人は自分が扱う保険種目に応じて、必要な単位だけを選んで受験する仕組みです。
つまり自動車保険を販売したい人は「自動車保険単位」、火災保険を扱いたい人は「火災保険単位」を受け、複数の商品を扱う人はそのぶん複数の単位に合格する必要があります。この記事では、その中でも受験者数が多い「自動車保険単位」にしぼって解説します。
| 単位名 | 対応する保険種目 | 備考 |
| 基礎単位 | 募集人としての基礎知識全般 | 他の単位を受ける前提として求められることが多い |
| 自動車保険単位 | 自動車保険(任意保険) | 本記事で解説する単位 |
| 火災保険単位 | 火災保険・地震保険など | 住宅関連商品を扱う場合に必要 |
| 傷害疾病保険単位 | 傷害保険・医療保険など | 第三分野商品を扱う場合に必要 |
※ 各単位の詳しい併願条件や必須の組み合わせについては、日本損害保険協会の公式ページで最新情報を確認することをおすすめします。本記事では自動車保険単位の内容を中心に扱っています。
試験の出題範囲と形式
自動車保険単位は、CBT方式で実施されます。試験時間は40分、出題数は20問で、1問5点の配点で100点満点、70点以上で合格となります。自動車保険の補償内容や契約に関する基本知識が問われる内容です。
※ CBT方式とは、Computer Based Testingの略で、紙の答案ではなくパソコン画面上で解答する試験形式です。この試験ではプロメトリック社のテストセンターを通じて受験します。
受験料は自動車保険単位のみを受ける場合で2,700円(税込)です。他の単位とあわせて併願する場合は料金の組み合わせが変わりますが、詳細な料金表は公式ページでの確認が必要です。
受験資格・対象者
受験できるのは、これから代理店登録または募集人届出をしようとしている人、そしてすでに登録・届出済みで所属する損害保険会社から承認を得た人です。年齢や実務経験年数についての規定は特に設けられていません。
言い換えると、保険代理店に入社したばかりの新人でも、所属会社の承認さえ得られれば受験できる試験です。裏を返せば「勝手に個人の判断だけで受験する」という性質の試験ではなく、あくまで所属する損保会社を通じた手続きが前提になっている点は押さえておきたいところです。
登竜門としてのポジション
自動車保険は損害保険の中でも契約件数がとりわけ多い商品です。そのため、保険代理店の営業職員としてキャリアをスタートする人の多くが、まずこの自動車保険単位の合格を目指すことになります。合格しなければ自動車保険を販売できないため、業界に入った人がほぼ例外なく最初に通過する登竜門のような位置づけの試験だといえます。
難易度・学習時間の目安
出題は20問・70点以上が合格ラインというシンプルな構成で、募集人として最低限押さえておくべき自動車保険の基礎知識が中心です。所属する損害保険会社が用意する研修資料やeラーニング、公式テキストを一通り学習すれば、実務未経験の新入社員でも十分に合格を狙えるレベルとされています。
※ 学習時間の目安は所属する損保会社や研修プログラムによって差があります。目安となる公式の標準学習時間は公表されていないため、配布される教材のボリュームに応じて計画するのが現実的です。
CBT方式のため、テストセンターの空き状況にあわせて自分の都合で受験日を選べるのも特徴です。まとまった学習時間が取りにくい新人でも、研修の進み具合にあわせて受験タイミングを調整しやすいというメリットがあります。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
損害保険代理店の営業職員
自動車保険単位の合格は、代理店の営業職員が自動車保険を販売するための必須条件です。個人向け・法人向けを問わず、車を持つ顧客への提案・見積もり・契約手続きの入り口として、日々の営業活動に直結する資格といえます。
自動車ディーラーの保険担当スタッフ
新車・中古車の購入時に自動車保険の加入手続きを案内するディーラーのスタッフにとっても、この単位の合格は欠かせません。車両販売と保険提案をセットで行う場面が多いため、販売店に所属しながら保険業務も兼務する人が数多く受験しています。
自動車整備・レンタカー関連企業の窓口担当
自動車整備工場やレンタカー会社の中にも、顧客への保険案内を行うために募集人登録をしているケースがあります。車に関わる業種全般で、この単位の合格が「保険も扱える人材」としての付加価値になっています。
誕生の背景・歴史
業界共通の募集人試験としての成り立ち
損害保険の募集人になるためには、保険業法にもとづき所定の教育を受けたことを確認する仕組みが必要とされてきました。以前は保険会社ごとに独自の試験や研修が行われていた時期もありましたが、業界全体で共通の基準を設けることで、募集人の知識水準を一定に保つ狙いから、日本損害保険協会が主催する統一的な試験制度が整えられてきました。
CBT方式への移行と単位制の意味
現在はCBT方式が採用され、全国のテストセンターで随時受験できる体制に整備されています。試験を基礎単位・自動車保険単位・火災保険単位・傷害疾病保険単位という4つの単位に分けているのは、募集人ごとに扱う商品が異なるためです。全種目を一律に学ばせるのではなく、担当する商品に応じて必要な単位だけを受けられるようにすることで、新人が実務に入るまでの学習負担を現実的な範囲に抑える工夫だといえます。
※ 単位ごとの合格には5年間の有効期間があり、期限が近づくと更新のための手続き(更新研修や再受験)が必要になる制度になっています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
損保代理店に新卒・中途で入社した人
代理店に入社してまず取り組む研修の中に、この試験の受験が組み込まれているケースがほとんどです。自動車保険は代理店の主力商品であることが多く、入社後できるだけ早い段階で合格し、実際の営業活動に加わることを目指します。
自動車販売・整備業から保険業務へ幅を広げたい人
車の販売や整備を本業としながら、顧客への提案の幅を広げるために保険業務も担当したいという人にも選ばれています。車検や購入のタイミングで保険の相談を受けることも多く、その場で案内できる体制を整えたいというニーズから受験するパターンです。
他の保険種目からキャリアを広げたい募集人
すでに火災保険単位や傷害疾病保険単位に合格している募集人が、取扱商品を増やすために自動車保険単位を追加で取得するケースもあります。扱える保険種目が増えるほど、顧客に総合的な提案ができるようになるため、キャリアの幅を広げる目的で受験する人も少なくありません。
豆知識:自動車保険と募集人試験の意外なつながり
自動車保険は「更新のたびに見直される」身近な保険
自動車保険は多くの人が1年ごとに更新する保険であるため、募集人にとっては顧客と接する機会がとても多い商品です。だからこそ協会側も、この単位の学習内容を「実務に直結する基礎知識」に絞り込んで設計しているとされ、他の単位に比べて実務との距離が近い試験だといわれています。
4単位すべてに合格する募集人は意外と少ない
損保一般試験は4単位に分かれているため、必ずしも全員が全単位を取得するわけではありません。取扱商品が限定されている代理店やスタッフの場合、自動車保険単位だけを取得して業務を行っていることも珍しくないとされています。「損保の資格を持っている」といっても、人によって取得している単位の組み合わせが異なる点は、この試験制度ならではの特徴です。
同じ協会が運営する事故車両調査系の資格も
同じ一般社団法人日本損害保険協会は、自動車保険の募集人試験のほかにも、事故車両の損害額や損傷部位を調査する技術アジャスターや、損害保険登録鑑定人(自動車鑑定人)といった専門資格の運営も行っています。保険を「売る」立場と、事故時に損害を「査定する」立場は業務内容が大きく異なりますが、同じ協会が自動車保険に関わる幅広い専門人材の育成を担っている点は知っておくと理解が深まります。
まとめ ― 自動車保険を売るための、いちばん最初の関門
こんな方にとくにおすすめ
- 損害保険代理店に入社し、自動車保険を担当することになった人
- 自動車ディーラーや整備業で、保険提案の業務も兼務したい人
- すでに他の単位に合格していて、扱える保険種目を増やしたい募集人
取得に向けた第一歩
まずは所属する(または所属予定の)損害保険会社に、代理店登録・募集人届出の手続きと研修スケジュールを確認することから始まります。会社から支給される研修資料やeラーニングを一通り進めれば、CBT方式のテストセンターで自分の都合に合わせて受験できます。自動車保険単位に合格したら、必要に応じて火災保険単位や傷害疾病保険単位にも挑戦し、扱える商品の幅を広げていくとよいでしょう。
公式サイト:損保一般試験(一般社団法人日本損害保険協会)
