ノルディック・ウォーク公認指導員とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
ノルディック・ウォーク公認指導員の概要
ノルディック・ウォーク公認指導員は、一般社団法人全日本ノルディック・ウォーク連盟が認定する民間資格です。2本のポールを使って歩く「ノルディックウォーキング」を、正しいフォームと安全な指導法で広める人を養成する目的で設けられています。
※ ノルディックウォーキングとは、専用の2本のポールを使いながら歩くウォーキングエクササイズのことです。ポールで地面を押し出す動作が加わるため、通常の徒歩よりも上半身の筋肉も使い、運動量を高めやすいのが特徴です。
試験の出題範囲と形式
資格取得は、いわゆる「筆記試験に合格する」形式ではありません。2日間の講習会に参加し、カリキュラムを修了することで認定される仕組みです。
講習では、ノルディックウォーキングの起源や理論を学ぶ座学から始まり、正しいポールの使い方、歩行フォームの見方、そして実際に受講者役に指導する実技指導実践研修まで、約10項目にわたるカリキュラムが組まれています。座学と実技の両方を2日間でしっかり体験できる構成です。
受験資格・対象者
受講条件は、講習会を開催する地方連盟によって内容が異なります。たとえば「18歳以上で10km以上歩行できること」を条件とする地方連盟もあれば、「原則47歳以上」といった年齢層を対象にした条件を設けている地方連盟もあります。
※ 地方連盟とは、全日本ノルディック・ウォーク連盟のもとで各都道府県・地域ごとに講習会や普及活動を行う組織のことです。運営は地域ごとに独立しているため、講習内容や条件に差が出ることがあります。
この資格を目指す際は、必ず開催する地方連盟の募集要項を確認し、自分が対象条件を満たしているかを事前にチェックすることが大切です。年齢条件だけでなく、体力面の目安が示されている場合もあるため、体調に不安がある方は事前に相談しておくと安心です。
混同しやすい類似団体への注意
国内には「ノルディックウォーキング」の指導資格を発行する団体が複数存在しています。たとえばNPO法人日本ノルディックフィットネス協会(JNFA)も同種の指導資格を独自の体系で運営しており、まったく別の認定制度です。
この記事で紹介しているのは、あくまで一般社団法人全日本ノルディック・ウォーク連盟(公式サイト:nordic-walk.or.jp)が発行する「公認指導員」資格です。講習会への申し込み前には、案内しているのがどの団体の講習かを必ず確認するようにしてください。似た名称・似た内容の講習が複数存在するため、思っていた団体と違う講習に申し込んでしまう、というトラブルを避けるためにも重要なポイントです。
難易度・学習時間の目安
特筆すべきは、いわゆる「落ちる試験」ではなく、講習会に参加してカリキュラムをこなせば認定される形式である点です。事前に分厚いテキストを暗記するような勉強は基本的に不要で、当日の2日間に集中して取り組む形になります。
とはいえ、実技指導実践研修では実際に受講者役へ指導する場面があり、人に教える経験がまったくない人にとっては緊張する部分もあります。事前にウォーキングやポールを使った運動に多少慣れておくと、当日の理解がスムーズになるでしょう。
※ 受講料についても地方連盟ごとに幅があります。教材費・認定証・専用ベストなどを含めて47,500円程度とする連盟もあれば、11万円(税別)を提示する連盟もあり、金額差が大きいのが実情です。申し込み前に必ず開催連盟の最新の案内で確認してください。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
フィットネスクラブ・スポーツ施設のインストラクター
フィットネスクラブやスポーツ施設で、ノルディックウォーキング教室を担当するインストラクターとして活動できます。ウォーキングは走る運動に比べて膝や腰への負担が少なく、幅広い年代の会員に指導しやすいプログラムとして重宝されます。
自治体・地域の健康づくり事業の担い手
自治体が主催する健康増進イベントや、地域の高齢者向け運動教室でノルディックウォーキングを取り入れるケースが増えています。公認指導員の資格を持っていることで、こうした地域事業の講師として声がかかりやすくなります。
ウォーキングツアー・アウトドアイベントの主催者
観光地や自然公園でのウォーキングツアー、ハイキングイベントなどにノルディックウォーキングを組み込み、企画・引率を行う活動にもつながります。ポールを使うことで長距離・坂道でも安定して歩けるため、参加者の安全確保という面でも指導員の存在は大きな価値を持ちます。
誕生の背景・歴史
1930年代:クロスカントリースキー選手の夏場トレーニングから
ノルディックウォーキングの起源は、1930年代のフィンランドにさかのぼるとされています。クロスカントリースキーの選手たちが、雪のないオフシーズンの体力維持のために、スキーのストックのようなポールを持って歩くトレーニングを行っていたのが始まりだったといわれています。
※ クロスカントリースキーとは、雪原や山野を長距離にわたって滑走する競技用のスキーのことです。夏場は雪がないため、選手たちは陸上で足腰や体力を維持するための独自のトレーニング方法を工夫していました。
1997年:「ノルディックウォーキング」の命名と世界への普及
この歩き方が一般向けの運動として広く紹介されたのは1996年のことです。フィンランドスポーツ研究所、用品メーカーのExel社、野外レクリエーション協会Suomen Latuの3者が共同でプロジェクトを立ち上げ、翌1997年に「ノルディックウォーキング」という名称が正式に定められました。このときあわせて、歩行に適した専用のカーボン製ポールも開発されています。
2000年には、普及の拠点としてヘルシンキに国際ノルディックウォーキング協会が設立され、フィンランド発の運動として世界各国へ広まっていきました。日本では2009年10月に一般社団法人全日本ノルディック・ウォーク連盟が設立され、創始者である宮下充正氏のもとで国内での普及と指導者育成の体制が整えられていきました。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
定年後にセカンドキャリアを探すシニア世代
現役を退いたあと、自身の健康維持を兼ねながら地域の人と関わる活動を始めたいというシニア世代の受講者が多く見られます。ウォーキングという取り組みやすい運動を通じて人とつながる場を作りたい、という動機での取得が目立ちます。
フィットネス業界でスキルの幅を広げたい指導者
すでにフィットネスインストラクターやパーソナルトレーナーとして活動している人が、担当できるプログラムの幅を広げるために取得するケースもあります。ランニングよりも膝への負担が少ないため、高齢の会員や運動初心者向けメニューとして提案しやすくなります。
地域の健康づくり活動に携わりたいボランティア志向の人
自治会や地域の健康サークルなどで、ウォーキングイベントの世話役をしたいという人にも人気があります。専門知識をきちんと身につけたうえで、地域住民に正しいフォームを伝えたいという思いから受講を決める人が多いようです。
豆知識:ポール1本から広がった歩行文化
スキー選手の「オフシーズン対策」が世界的な運動文化になった
もともとはスキー選手の体力維持トレーニングに過ぎなかった動作が、専用ポールの開発と名称の統一を経て、フィンランドから世界中に広まる一般向けの運動文化になったという流れは、フィットネスの歴史の中でもユニークな事例のひとつです。特別な競技経験がなくても始められる手軽さが、世界的な普及の後押しになったといわれています。
ポールを使うことで消費エネルギーが増えるとされる理由
ノルディックウォーキングは、通常のウォーキングに比べて上半身の筋肉も動員するため、同じ距離・同じ時間でも消費エネルギーが高まりやすいとされています。腕や肩、体幹まで使う全身運動になることから、ダイエットや姿勢改善を目的に始める人も少なくありません。
創始者・宮下充正氏について
日本での普及を主導した宮下充正氏は、スポーツ医科学の分野で長年活躍してきた研究者として知られています。運動生理学の知見をもとに、ノルディックウォーキングを単なる流行の運動としてではなく、年齢を問わず取り組める健康づくりの手段として日本国内に根づかせようとした点が、この資格制度の設計思想にも表れています。
まとめ ― ポール2本で、歩く景色が変わる
こんな方にとくにおすすめ
- ウォーキングを通じて地域の健康づくりに関わりたい方
- フィットネスインストラクターとして指導メニューの幅を広げたい方
- 膝や腰への負担が少ない運動を人に教えたいシニア世代の方
- スポーツ・アウトドア分野で新しい活動の軸を持ちたい方
取得に向けた第一歩
まずは、一般社団法人全日本ノルディック・ウォーク連盟の公式サイトで、開催予定の地方連盟の講習会情報を確認することから始めましょう。前述のとおり受講条件・受講料は地方連盟によって差があるため、複数の連盟の案内を見比べて、自分に合った開催地・日程を選ぶのがおすすめです。また、資格は年度更新制(4月1日〜翌年3月31日)となっており、取得後も名札代や年会費などを納めて毎年更新していく必要がある点もあわせて押さえておきましょう。
