高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育について

筆記試験誰でも受験可
国家資格

高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育とは?

労働安全衛生法に基づく国家資格(特別教育)をわかりやすく解説

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高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育の概要

高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育は、労働安全衛生法第59条第3項・労働安全衛生規則(安衛則)第36条第4号に基づき、高圧(直流750V超〜7,000V以下・交流600V超〜7,000V以下)または特別高圧(7,000V超)の充電電路の敷設・修理・開閉器操作業務に従事させる場合に、事業者が従業員に対して実施義務を負う「特別教育」です。学科11時間に実技(充電電路操作のみ:1時間以上、活線作業・活線近接作業:7〜15時間以上)を組み合わせた講習で、修了考査(試験)は法令上定められておらず、全科目の受講完了をもって修了証が交付されます。受講資格の制限はなく、誰でも受講できます。

2023年10月1日改正で高圧と特別高圧が統合:2023年10月1日施行の安衛則改正以前は「高圧」と「特別高圧」の特別教育が別々に定められていましたが、改正後は「高圧・特別高圧電気取扱業務」として統合されました。改正前に取得した「高圧電気取扱業務特別教育」または「特別高圧電気取扱業務特別教育」の修了証は引き続き有効です。また低圧電気取扱業務特別教育(安衛則第36条第5号)とは根拠条項・対象電圧が異なる別制度で、相互の免除はありません。

特別教育が義務付けられる業務と電圧区分

安衛則第36条第4号が定める対象業務は、高圧・特別高圧の充電電路の敷設・修理・開閉器の操作です。電圧区分は高圧が直流750V超〜7,000V以下・交流600V超〜7,000V以下、特別高圧が7,000V超です。工場・ビル・商業施設に設置されたキュービクル(高圧受電設備:一般的に6,600V)の開閉器(VCB・LBS等)の操作・点検は高圧に該当し、これらを担当する電気担当者・設備管理者は本特別教育の受講が義務です。送電線・鉄塔・変電所の設備(数万〜数十万V)は特別高圧に該当します。

基本情報の早見表

取得方法特別教育(学科11時間+実技1〜15時間以上)の全科目受講完了
講習科目学科:①高圧・特別高圧電気の基礎知識(1.5h)②電気設備の基礎知識(2h)③安全作業用具の基礎知識(1.5h)④活線作業・活線近接作業の方法(5h)⑤関係法令(1h)
修了条件試験(修了考査)なし。全科目受講完了で修了証交付
受講資格制限なし(年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受講可)
受講料約15,000〜40,000円(コース・機関・地域により大きく差あり)
有効期限なし(終身有効・更新義務なし)
実施主体各都道府県の労働基準協会・関東電気保安協会・安全衛生マネジメント協会等の外部機関(社内実施も可)
公式根拠安衛法第59条第3項・安衛則第36条第4号・安全衛生特別教育規程第5条

講習内容を詳しく

学科11時間の科目詳細と実技コース

学科は全コース共通で11時間(5科目)、実技は「充電電路操作業務のみ(1時間以上)」と「活線作業・活線近接作業従事(7〜15時間以上)」の2コースがあります。低圧電気取扱業務特別教育(学科7時間)と比べて学科が4時間多く、高圧・特別高圧特有の「アーク放電による近接感電」「特高設備の絶縁特性」等の高度な内容が含まれます。

  • 高圧・特別高圧電気の基礎知識(学科・1.5時間):高圧・特別高圧の電圧区分と法令上の定義・直流と交流の違い・三相交流(6,600V高圧受電の仕組み)・電力(kW)・電力量(kWh)・力率の意味・高圧・特別高圧の感電特性(アーク放電・接近感電:低圧と異なり「触れなくても感電する距離」が存在する)・高圧(6,600V)での安全距離(60cm以内は要保護具)
  • 電気設備の基礎知識(学科・2時間):高圧受電設備(キュービクル)の構成(断路器DS・遮断器VCB・負荷開閉器LBS・変圧器TR・計器用変成器CT/VT・避雷器LA)・各機器の動作原理と役割・地中引込み方式とケーブルの種類(CVT・CVケーブル)・キュービクル内の電路区分(高圧部・低圧部)・特別高圧変電所の構成・送電線・鉄塔の構造と絶縁支持物
  • 安全作業用具の基礎知識(学科・1.5時間):高圧用絶縁用保護具(高圧絶縁手袋・高圧絶縁長靴)のJIS規格と試験電圧・高圧絶縁用防護具(高圧ゴム管・絶縁シート)の使用方法・高圧検電器(ネオン式・電子式)の使用方法と注意事項・高圧活線作業用工具(ホットスティック・ヤットコ)の種類と使い方・絶縁用保護具の点検(ひび割れ・穴あき・汚染の確認)と更新時期
  • 活線作業・活線近接作業の方法(学科・5時間):キュービクルの停電操作手順(断路器→遮断器→変圧器の順)と投入順序(逆手順)・高圧充電部への安全距離(接近限界・作業限界)・開閉器操作前後の確認事項(検電・放電・接地)・活線作業での保護具着用義務・活線近接作業(充電部から60cm以内での作業)時の防護・高圧試験後の放電確認・停電事故・地絡事故(アース短絡)時の緊急措置・感電者の救助(高圧では「触れずに」電源遮断が最優先)
  • 関係法令(学科・1時間):安衛則第36条第4号の条文・特別教育の実施義務と記録(3年間保存:安衛則第38条)・電気工事士法との関係(特別教育は安全教育、電気工事士は工事の許可制度)・電気事業法に基づく保安規程・電気主任技術者制度との関係・設備事故発生時の労働基準監督署への報告義務

修了の条件(試験なし・全科目受講完了)

高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育には法令上の修了考査(試験)がありません。全科目の学科受講と実技の修了確認をもって「高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育修了証」が交付されます。ただし学科11時間・実技(最大15時間以上)の受講時間は低圧電気取扱業務特別教育より長く、実技では高圧絶縁手袋の着脱・高圧検電器の操作・キュービクル開閉器の操作実習など実践的な内容が含まれ、集中して取り組む必要があります。

難易度・受講のポイント

★★☆☆☆ 試験(修了考査)なし・全科目受講完了で修了。ただし学科11時間+実技最大15時間以上と受講時間が長く、高圧設備の構成・安全距離・操作手順を正確に理解する必要がある。低圧電気取扱業務特別教育より内容が高度。

高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育は試験がないため形式的なハードルは低いですが、実際に高圧設備(キュービクル6,600V)を操作する業務の安全を担うため、学科の内容(特に高圧の安全距離・開閉器の操作手順・アーク放電の危険性)を実務に直結する知識として真剣に習得することが求められます。低圧と異なり「電路に触れなくても感電する」高圧の特性を正しく理解することが最重要です。受講機関によって実技の充実度が大きく異なるため、実技設備が整った機関での受講を推奨します。

修了率:試験なし・全科目受講で修了。高圧の「接近感電・アーク放電」・キュービクル停電操作手順(断路器→遮断器)・安全距離(高圧60cm)・高圧絶縁手袋の使い方を実技でしっかり習得することが実務安全の要。

キャリアパスと需要

キュービクル管理・電力会社関連工事・工場電気担当で必須

工場・商業施設・病院・ホテル・マンション・学校等のキュービクル(高圧受電設備)を自社管理する設備担当者・ビルメンテナンス会社の電気担当者・電気設備工事会社(高圧設備の点検・改修担当)・電力会社の協力会社(送配電設備の工事・保守)が主な就業先です。全国に100万台以上設置されているキュービクルの定期点検(電気事業法に基づく月次点検・年次点検)を担当するには本特別教育が必要であり、ビルメンテナンス業界での電気担当者としての必須資格として位置づけられています。

電気主任技術者・第一種電気工事士との組み合わせ

高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育と「電気主任技術者(第三種・第二種・第一種)」の組み合わせは電気設備の保安管理の最強の組み合わせです。電気主任技術者は高圧受電設備の法定点検の「監督」を行う国家資格で、特別教育は「実際に操作・作業する者」の教育義務です。第一種電気工事士(自家用電気工作物の工事が可能)との組み合わせで、キュービクルの設置から日常管理まで一貫して担当できる電気のスペシャリストになれます。低圧電気取扱業務特別教育との両取得で、低圧・高圧の全領域に対応できます。

豆知識:高圧電気の恐ろしさ

高圧は「近づくだけで」感電する──アーク放電の危険

低圧(交流600V以下)は充電電路に「触れる」ことで感電しますが、高圧(6,600V等)は充電電路に「近づくだけで」感電します。これは「アーク放電(弧光放電)」と呼ばれる現象で、高電圧では空気中を電気が飛び越えて流れ、触れていない人体に流れ込みます。6,600Vでは理論上30cm程度の距離でアーク放電が発生し得るため、安衛則では高圧充電電路から60cm以内の接近限界距離が定められています。キュービクルを開扉して内部作業を行う際は、高圧絶縁手袋を着用し充電部から60cm以内に近づかないことが鉄則です。

キュービクルの開閉器操作で最重要なのは「順序」

キュービクル(高圧受電設備)の停電操作は断路器(DS)と遮断器(VCB・LBS)の操作順序が厳格に定められています。正しい停電順序は「①負荷遮断(遮断器で電流を遮断)→②断路器で電路を切り離す」で、逆の順序(断路器を先に開く)は大量の電流が流れている状態で電路を切り離すことになり、断路器のアーク焼損・爆発事故につながります。投入(通電)時は逆に「①断路器を閉じる→②遮断器を投入」の順です。高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育では、この操作順序を誤ると即死レベルの事故になることを実技を通じて確実に習得します。

特別高圧(7,000V超)は送電線・変電所・工場の超高圧設備

特別高圧(7,000V超)には、電力会社の送電線(6万6千V・15万4千V・27万5千V等)・超高圧変電所・鉄道変電所(直流1,500V区分は低圧だが交流20,000V等の架線は特別高圧)・大型工場の特別高圧受電設備(6万6千V)等が含まれます。特別高圧の作業は電力会社・鉄道会社・大型工場の電気設備部門・電力会社の協力会社の高度専門職が対象で、活線作業には高圧以上の高度な保護具・装備・手順が必要です。本特別教育(2023年統合後)では特別高圧に関する内容も学科11時間の中に含まれています。

よくある質問

Q. 2023年10月の改正で「高圧」と「特別高圧」が統合された影響は?

2023年10月1日以前は「高圧電気取扱業務特別教育」と「特別高圧電気取扱業務特別教育」が別々に定められていましたが、安衛則改正により「高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育」として統合されました。主な変更点は①高圧と特別高圧の両方を1回の受講でカバーできるようになった点と②改正前に高圧のみの修了証を取得した方は特別高圧の作業に従事するには差分の教育が必要になる点です。改正前に取得した修了証は引き続き有効です(取得時点の法令に基づく有効な教育の証明として認められます)。

Q. 低圧電気取扱業務特別教育を修了済みの場合、一部免除はありますか?

低圧電気取扱業務特別教育(安衛則第36条第5号)と高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育(安衛則第36条第4号)は別の法令根拠に基づく別制度であるため、法令上の相互免除規定はありません。ただし、低圧電気取扱業務特別教育で習得した電気の基礎知識・絶縁保護具の使い方・検電の方法は高圧の特別教育でも活用できる内容であり、実務経験がある方は学科の内容が理解しやすくなります。受講機関によっては低圧の修了証を持つ受講者向けに短縮コースを提供している場合があるため、申込前に確認することをおすすめします。

こんな方におすすめ

  • 工場・商業施設・病院・マンションのキュービクル(6,600V高圧受電設備)の月次点検・年次点検・開閉器操作を担当する設備管理者・ビルメン担当者として本特別教育の受講が必要な方
  • 電気設備工事会社で高圧設備(キュービクル改修・高圧ケーブル更新等)の工事に従事し、勤務先または元請けから特別教育修了証の提示を求められている方
  • 電力会社・鉄道会社の協力会社(送配電設備・変電設備の保守工事)で特別高圧設備の近傍での作業に従事する方
  • 低圧電気取扱業務特別教育は修了済みで、さらにキュービクルの開閉器操作まで担当できる上位の電気担当者を目指す方

最新の講習日程・受講料・申込方法の詳細は関東電気保安協会または各都道府県の労働基準協会・安全衛生マネジメント協会にお問い合わせください。

公式サイト:関東電気保安協会 高圧・特別高圧電気取扱業務特別教育