防災管理点検資格者について

筆記試験実務経験・学歴が必要
公的資格

防災管理点検資格者とは?

消防法施行規則第51条の12に基づく公的資格をわかりやすく解説

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防災管理点検資格者の概要

防災管理点検資格者は、消防法施行規則第51条の12に基づき、大規模建築物(防災管理対象物)の防災管理業務の実施状況を点検し、消防機関に報告できる公的資格です。一般財団法人日本消防設備安全センターが実施する2日間の講習を修了し、修了考査に合格することで取得できます。「防火対象物点検資格者」が主に火災予防を点検するのに対し、防災管理点検資格者は地震・風水害を含む総合的な防災管理(自衛消防組織・防災計画・備蓄品・地震対策設備)を点検対象とし、大規模建築物に特化した役割を担います。

防災管理対象物とは、消防法施行規則の別表に定める大規模建築物のことです。延べ面積5万㎡超・または地下街・大型複合施設などが主な対象で、一般的な特定防火対象物よりも大規模な建物が想定されています。これらの大規模施設では年1回の点検・消防機関への報告が義務付けられています。防火対象物点検資格者は小規模〜中規模の特定防火対象物(飲食店・病院・ホテル等)、防災管理点検資格者は大規模建築物という棲み分けです。

防火対象物点検資格者との違い

防火対象物点検資格者は「火災対策(消防計画・消防用設備・避難誘導)」の点検が主目的で対象は特定防火対象物(飲食店・ホテル等)全般です。防災管理点検資格者は「総合防災(地震・風水害・自衛消防組織・備蓄)」の点検が主目的で、対象は大規模建築物(収容人員・延床面積の要件あり)に限定されます。講習日数は防火対象物が4日間・防災管理が2日間で、防火対象物点検資格者を既に持っている場合は一部科目が免除されます。

基本情報の早見表

取得方法登録講習(2日間)+修了考査(最終日・1時間・16問)。テキスト持ち込み可
受講資格防火対象物点検資格者(3年以上)・防災管理者(3年以上)・消防職員(1年以上)等(複数の要件あり)
修了考査16問・1時間。各分類50%以上かつ全体70%以上(12問以上)正解で合格
再考査不合格の場合1年以内に1回限り再考査可
受講料A区分(科目免除なし):20,210円 / B区分(一部科目免除):19,010円(各税込)+テキスト代別途
免状交付手数料2,430円(税込)
有効期限5年(5年ごとに再講習が義務。未受講の場合は資格喪失)
実施頻度年4期(4〜6月・7〜9月・10〜12月・1〜3月)。定員に達し次第締め切り
主催一般財団法人 日本消防設備安全センター(消防庁長官の登録講習機関)

講習内容を詳しく

2日間の科目構成

防火対象物点検資格者の4日間と比べてコンパクトな2日間の講習で、防災管理に特化した内容が学べます。修了考査は1時間・16問とシンプルです。

  • 防災管理の意義及び制度(1.5時間):消防法改正の経緯(阪神淡路・東日本大震災の教訓)・防災管理制度の創設背景・防災管理者の選任義務と届出・防災管理対象物の要件・防火管理との違いと相互補完関係
  • 防災管理に係る訓練及び教育(1.5時間):地震・風水害発生時の自衛消防活動の手順・防災訓練(地震・津波・洪水対応)の企画・実施方法・帰宅困難者対策・BCPとの連携・外国人・障害者への対応訓練の考え方
  • 防災管理に係る消防計画(1.5時間):防災管理に係る消防計画の作成・変更・届出・防火対象物点検資格者が作成する消防計画との関係・自衛消防組織(本部・班・隊)の編成と役割分担・備蓄品の種類・必要量・配置・管理方法
  • 防災管理対象物の点検要領(2時間):点検チェックリストの使い方・書類確認(消防計画・訓練記録・組織図・備蓄リスト)・現地確認(地震対策設備・備蓄倉庫・避難経路)・点検結果報告書の記載方法・消防機関への提出手続き

修了考査の概要

修了考査は2日目の最後(1時間・16問)に実施されます。各分類で50%以上、全体で70%以上(12問以上)正解で合格となります。不合格の場合は1年以内に1回だけ再考査が認められています。テキストの持ち込みが可能なため、講義内容の理解と要点の把握が合格の鍵です。

難易度・受講の目安

★★☆☆☆ 2日間の講習+修了考査(テキスト持ち込み可・16問1時間)。防火対象物点検資格者より短期・低コストで取得できる。防災管理者・防火管理者の実務経験者が対象。

防災管理点検資格者の講習は2日間(A区分20,210円)と防火対象物点検資格者(4日間・40,410円)と比べて短期・低コストで取得できます。修了考査も16問・1時間でテキスト持ち込み可と取り組みやすい設計です。防火対象物点検資格者取得後に科目免除(B区分19,010円)で受講することが多く、ステップアップとして計画的に取得する方が多い資格です。

修了率:テキスト持ち込み可・再考査制度あり。防火管理・防災管理の実務経験者が受講するため修了率は高め。防火対象物点検資格者との違いをしっかり理解することがポイント。

キャリアパスと需要

大規模ビル・複合施設・地下街の防災管理専門家として

大型商業施設(ショッピングモール・百貨店)・超高層オフィスビル・ホテル(大規模)・病院(大型)・地下街の設備管理部門・ビル管理会社が主な就業先です。防災管理点検資格者は選任義務ではなく「点検業務を行える資格者」という立場ですが、法定点検の実施責任者として建物管理のキャリアで高い評価を得られます。阪神・東日本・能登半島地震を経た現在、大規模施設の地震対策・事業継続計画(BCP)に資格者の知見が求められています。

消防設備点検資格者→防火対象物→防災管理の3資格体制

消防設備点検資格者(消防設備の機器点検)→防火対象物点検資格者(防火管理体制の点検)→防災管理点検資格者(総合防災の点検)と段階的に取得することで、建物の消防・防火・防災の全領域をカバーできます。3資格を持つ人材はビル管理会社・消防設備保守会社・不動産管理会社で希少性が高く、年間を通じて3種類の点検業務を専門的に担える人材として評価されます。

豆知識:防災管理の世界

「自衛消防組織」は誰のためにあるのか

大規模建築物では「自衛消防組織」の設置が消防法で義務付けられています。これは建物内に常駐する従業員が火災・地震時に「自分たちで最初の消防・避難誘導を行う」組織です。消防署が到着するまでの初動対応(火元の確認・消火活動・避難誘導・119番通報・防火扉の確認)を担うため、事前の訓練と体制整備が重要です。防災管理点検資格者はこの自衛消防組織が機能しているかを点検する専門家です。

「帰宅困難者対策」が防災計画に追加された経緯

東日本大震災(2011年)では首都圏で最大515万人の帰宅困難者が発生し、鉄道停止・道路渋滞・混乱した人々の状況が報道されました。これを受けて東京都では帰宅困難者対策条例(2013年施行)が制定され、大規模施設は従業員の3日分の備蓄義務・帰宅困難者の一時受け入れ検討が求められています。防災管理点検資格者の点検項目には、こうした備蓄品管理(食料・水・毛布・携帯トイレ等)の確認が含まれています。

「免震構造」の建物でも防災管理点検は必要か

免震・制震構造の建物は地震動そのものを軽減しますが、建物内の非構造部材(天井・照明・棚・配管)の脱落、電気・ガス・水道の停止、エレベーターの閉じ込めなどは依然として発生します。また免震装置自体の点検・維持管理も別途必要です。防災管理点検資格者が確認するのは建物構造の耐震性ではなく「災害が起きた後の人員・情報・物資の管理体制」であるため、最新鋭ビルでも防災管理の点検は欠かせません。

よくある質問

Q. 防火対象物点検資格者を取得してから受講した方が有利ですか?

有利です。防火対象物点検資格者として3年以上の実務経験がある場合、防災管理点検資格者の講習でB区分(科目免除・19,010円)が適用され、A区分(20,210円)より安く受講できます。また実務的な観点からも「防火管理と防災管理の違い」を体験で理解した上で受講することで、点検要領の習得がスムーズになります。両資格を組み合わせて持つことで、点検業務の幅が大幅に広がります。

Q. 防災管理対象物の具体的な規模を教えてください。

防災管理が必要な「防災管理対象物」の具体的な要件は消防法施行規則の別表で定められています。一般的には収容人員が一定数以上の大規模建築物(超高層ビル・大型複合施設・地下街等)が対象です。延べ面積5万㎡超の施設や高さ31m超かつ延べ面積5万㎡以上の建物などが目安とされていますが、用途・構造によって細かく異なります。担当施設が対象かどうかは、所轄の消防署または一般財団法人日本消防設備安全センターに確認することをお勧めします。

こんな方におすすめ

  • 防火対象物点検資格者を取得しており、防災管理の専門知識を加えてキャリアをステップアップしたい方
  • 大規模オフィスビル・大型商業施設・超高層ビルの設備管理部門の担当者
  • ビル管理会社・消防設備保守会社で消防・防火・防災の3分野を専門的に担いたい方
  • 防災管理者として選任され、点検業務の専門資格で法的責任を確固たるものにしたい方

最新の講習日程・受講料・受講資格の詳細は一般財団法人日本消防設備安全センターの公式サイトで確認してください。

公式サイト:一般財団法人 日本消防設備安全センター(防災管理点検資格者)