電気製図技能士について

実技試験あり筆記試験実務経験・学歴が必要
国家資格

電気製図技能士とは?

1〜3級・配電盤・制御盤製図の国家技能検定をわかりやすく解説

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電気製図技能士の概要

電気製図技能士は、配電盤・制御盤・分電盤などの電気設備の製図技能を国が認定する国家資格です。職業能力開発促進法に基づく「技能検定」の一職種で、中央職業能力開発協会(JAVADA)が問題を作成し、都道府県職業能力開発協会が実施します。電機メーカー・電気設備工事会社・配電盤製造業で活躍する電気製図のプロが取得する専門資格です。

電気製図とは、配電盤・制御盤・分電盤のシステム構成(単線結線図)・制御回路(展開接続図)・機器配置(正面図・側面図)を図面に表す技術です。JIS C 0617(電気図記号)に基づいた図面は電気機器の設計・製造・保守に不可欠な「共通言語」です。

等級は1級・2級・3級

作業区分は全等級とも「配電盤・制御盤製図作業」の1区分のみです。等級によって課題の複雑さが異なります。

  • 3級:電動機起動用の制御盤外形図・接続図の作成(試験時間3時間)
  • 2級:高圧フィーダ回路の配電盤扉正面図・単線結線図・展開接続図の作成(試験時間6時間)
  • 1級:高圧受電設備の複数種類の図面(単線結線図・保護協調曲線・展開接続図・短絡電流計算)の作成(試験時間6時間)

基本情報の早見表

主催中央職業能力開発協会(JAVADA)が問題作成、都道府県職業能力開発協会が実施
等級1級・2級・3級
作業区分配電盤・制御盤製図作業(1区分のみ)
受検資格3級=実務不問(在学中可)/2級=実務2年以上/1級=実務7年以上(または2級合格後2年以上)。学歴・養成施設の修了で短縮
試験形式学科試験(1・2級=真偽法25問+多肢択一25問 / 3級=真偽法30問)+実技試験(手書き製図)
試験時間実技:1級・2級6時間 / 3級3時間(手書き製図のみ・CAD作業区分なし)
合格基準学科65点以上・実技60点以上(各100点満点)
実施時期前期・後期の年2回
受検料標準=学科3,100円+実技18,200円(都道府県により異なる。若年者減免あり)

試験内容を詳しく

学科試験の出題範囲

電気製図規格・配電盤の構造・電気理論・材料の知識が問われます。

  • 製図:電気製図に関するJIS規格(JIS C 0617・JSIA 118)・電気図記号(コイル・接点・変圧器・遮断器・電流計等)の意味と書き方・結線図の種類(単線結線図・展開接続図・正面図)の読み方と作成法
  • 配電盤・制御盤一般:配電盤・制御盤・分電盤・監視盤の種類・構造・性能・用途、JSIA(日本配電制御システム工業会)規格の主要内容、主回路機器(遮断器・開閉器・変流器等)と制御機器の種類と仕様
  • 電気:電気・磁気の基礎理論(オームの法則・キルヒホッフ法則・フレミングの法則)、電動機の起動方式(直入れ・スターデルタ・インバータ)、保護協調(過電流継電器・地絡継電器の整定)、電気設備技術基準・電気用品安全法の基礎
  • 材料:金属材料(鋼板・アルミ・銅)の種類・用途、導電材料(電線・ケーブル)の種類・公称断面積・許容電流、絶縁材料の種類と耐熱クラス、半導体材料の基礎

実技試験の主な作業

すべて手書き製図です。定規・テンプレート・コンパスを使用して、JIS C 0617の図記号で正確に描きます。

  • 1級:高圧受電設備の単線結線図作成・過電流保護協調曲線と整定表の作成・非常用発電設備制御の展開接続図作成・短絡電流値の計算。6時間のフルタイム製図
  • 2級:高圧フィーダ回路の配電盤扉正面図・制御盤の単線結線図・展開接続図を作成。6時間
  • 3級:電動機起動用制御盤の外形図・接続図を作成。3時間
  • 共通の評価ポイント:図記号の正確な使用・線の種類(実線・破線・一点鎖線)の使い分け・寸法記入の正確さ・図面の見やすさ

難易度・学習の目安

★★★★☆ 1級・2級は6時間の手書きフルタイム製図。複雑な電気システムを正確かつ速く図面化する高い技能が求められます。

電気製図技能士の最大の特徴は、機械製図(1級5時間)より長い6時間の手書き実技試験です。普段CADで業務を行っている方は、試験前に手書き製図の特訓が必要です。JIS C 0617の電気図記号の手書き練習・定規の使い方習熟が合格への鍵となります。学科では電気理論・保護協調の計算も出題されるため、電気の基礎知識も欠かせません。

合格の目安:職種別の合格率は公表されていません。合格基準は学科65点以上・実技60点以上。図記号の正確さと手書き製図の速度が合否を分けます。

キャリアパスと需要

電機・インフラ分野での需要は安定

電機メーカーの配電盤・制御盤設計部門、電気設備工事会社の設計部門、官公庁・インフラ施設(発電所・変電所・ビル管理)の電気設計部門が主な就業先です。日本全国の工場・ビル・インフラ設備の電気システムは配電盤・制御盤で支えられており、その設計図面を担当する電気製図技能士の需要は安定しています。

電気工事士とのダブルライセンス

電気工事士(施工・工事の業務独占資格)と電気製図技能士(設計図面の名称独占資格)のダブルライセンスは、設計から施工まで一貫して理解できる人材として評価されます。電気設備工事会社・電機メーカーでのキャリアアップに有利に働きます。

豆知識:電気製図の世界

JIS C 0617への移行で現場は新旧記号が混在

1997年にIEC 60617に準拠したJIS C 0617が制定され、それ以前のJIS C 0301(日本独自記号)から大きく変わりました。例えばリレーコイルの記号は旧規格の「丸にコイル巻き」から新規格の「長方形」に変更されました。しかし現場には古い図面が多数残っており、新旧両方の記号を読める能力が実務では不可欠です。試験はJIS C 0617準拠で出題されます。

JSIA 118はJIS C 0617の「業界版サブセット」

電気製図技能士が日常的に扱うJSIA(日本配電制御システム工業会)118規格は、JIS C 0617の膨大な図記号の中から配電盤・制御盤・分電盤・監視盤に使う記号だけを抽出・統一したものです。JIS C 0617には数百の図記号がありますが、配電盤製図の現場で実際に使うのはその一部のため、業界固有のこのサブセット規格の習熟が合格の近道です。

「保護協調」は電力システムの安全設計

電力系統では短絡・地絡などの事故が起きたとき、事故点に最も近い遮断器だけを選択的に動作させて健全な回路への波及を防ぐ設計を「保護協調」と呼びます。過電流継電器の整定値(動作電流・動作時間)を正しく設計しないと、上位の遮断器が先に動いて工場全体が停電するリスクがあります。電気製図1級ではこの保護協調曲線の作成が実技課題に含まれており、電力システムの深い理解が必要です。

よくある質問

Q. 電気工事士と電気製図技能士の違いは?

電気工事士は電気工事の施工・工事を行う業務独占の国家資格で、施工現場での配線・設置作業が対象です。電気製図技能士は配電盤・制御盤の製図技能を証明する名称独占の資格で、設計図面の作成が対象です。業務が重なることはありませんが、電気設備の設計から施工まで一貫して理解する人材としてダブルライセンスが評価されます。

Q. 実技試験はCADではなく手書きが必須ですか?

電気製図技能士の実技試験は手書き製図が基本です(機械製図技能士のようなCAD専用作業区分はありません)。普段CADで業務を行っている方は、試験前に手書き製図の練習を改めて行う必要があります。定規・コンパス・テンプレートの扱いとJIS C 0617の電気図記号の手書き練習が合格への必須準備です。

こんな方におすすめ

  • 電機メーカーの配電盤・制御盤設計部門で製図を担当している方
  • 電気設備工事会社の設計部門で配電図・接続図を作成している方
  • 電気工事士の資格を活かしてさらなるキャリアアップを目指す方
  • 電気製図の技能を国家資格で証明したい電気系技術者

最新の試験日程・受検料・受検資格は厚生労働省「技のとびら」の公式情報で確認してください。

公式サイト:技能検定「電気製図」(厚生労働省 技のとびら)