航空整備士とは?
概要・受験料・区分の違い・航空機整備の国家資格を徹底解説
航空整備士の概要
航空整備士は、航空機を整備し、その機体が安全に飛べる状態であることを確認するための国家資格です。航空法に基づく「航空従事者」の資格で、所管は国土交通省(航空局)。整備をした航空機が安全性の基準に適合していることを確認する「確認行為」を行えるのが、この資格の核心です。空の安全を最終的に支える、責任の重い専門職といえます。
※ 確認行為(耐空性の確認)とは、整備した航空機が「安全に飛べる状態(耐空性)」の基準を満たしていることを確認する、航空法上の行為です。これができることが、航空整備士という資格の最大の意味です。
整備士と運航整備士の違い
資格は大きく「航空整備士」と「航空運航整備士」に分かれます。航空整備士は、格納庫でエンジンや脚を交換するような重整備(ドック整備)まで確認できます。一方、航空運航整備士は、日常的な点検やホイール・ブレーキ交換などの軽微な整備(ライン整備)の確認に限られます。上位・下位ではなく、確認できる整備の範囲が異なる資格です。
一等と二等、対象機の違い
それぞれに一等と二等があり、対象となる航空機が異なります。一等は旅客機などの大型機、二等は小型の飛行機やヘリコプター、グライダーなどが対象です。さらに、飛行機・回転翼航空機(ヘリコプター)といった種類や型式ごとの「限定」が付きます。つまり「一等航空整備士(飛行機)」のように、扱える機種が資格に紐づく仕組みです。
基本情報の早見表
| 所管 | 国土交通省(航空局)/航空法に基づく航空従事者の国家資格 |
|---|---|
| 主な区分 | 一等・二等航空整備士(重整備まで確認可)/一等・二等航空運航整備士(ライン整備の確認) |
| 受験資格(整備実務経験) | 一等航空整備士=20歳以上・実務4年以上/二等航空整備士=19歳以上・実務3年以上/航空運航整備士=18歳以上・実務2年以上(指定養成施設の修了で短縮あり) |
| 試験形式 | 学科試験(2023年11月期からCBT方式)+実地試験(口述を含む実技)。科目合格制 |
| 学科の科目 | 整備士=機体(航空力学含む)・発動機・装備品・航空法規/運航整備士=機体・発動機・航空法規 |
| 合格基準 | 学科は70点(70%)が合格ラインとされる(※公式一次資料での明記は要確認)。学科合格の有効期限は2年 |
| 試験日程 | 学科はCBT化後 年6回程度 |
| 受験手数料 | 学科=全区分5,600円。実地=一等整備士50,100円/二等整備士45,000円/一等運航整備士37,200円/二等運航整備士34,600円(別途、登録免許税) |
| 合格率 | 区分別の公式合格率は非公表 |
試験内容を詳しく
試験は学科と実地で構成されます。それぞれの内容を見ていきましょう。
学科試験:CBTで複数科目
学科試験は、2023年11月期からCBT方式(コンピューターで受験)になり、日程や会場を選べるようになりました。科目は、航空整備士なら「機体(航空力学を含む)」「発動機」「装備品」「航空法規」の4科目。航空運航整備士は装備品が機体に統合され、科目数が少なめです。科目合格制があり、最初の合格から一定期間内に全科目をそろえれば合格となります。学科合格の有効期限は2年で、その間に実地試験に合格する必要があります。
実地試験:技術と口述
実地試験では、整備の基本技術や、航空機の点検作業、動力装置の操作などが、実技と口述を通じて審査されます。知識だけでなく、実際に手を動かして安全に整備できるか、その判断ができるかが問われます。航空機の安全を預かる資格だけに、実地のハードルは高く、相応の実務経験と準備が求められます。
難易度・学習時間の目安
航空整備士は、難度の高い資格です。そもそも受験には数年の整備実務経験(区分により2〜4年)が必要で、誰でもすぐ挑戦できるわけではありません。学科は専門性が高く、実地では確かな整備技術が問われます。多くの人は、航空整備の専門学校(指定養成施設)で学んで実務経験を短縮したり、航空会社で経験を積みながら段階的に上位資格を目指したりします。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
航空会社の整備部門
航空会社の整備部門で、ライン整備やドック整備を担います。出発前の点検から、格納庫での本格的な整備まで、安全運航を支える要の仕事です。航空整備士の資格は、こうした現場で確認行為を行うための基礎要件となります。
MRO(整備専業会社)
MROと呼ばれる航空機整備の専業会社でも活躍できます。複数の航空会社から整備を請け負う専門企業で、高度な整備技術が求められます。グローバルに需要があり、専門性を磨いてキャリアを築ける分野です。
確認主任者へのステップ
整備した航空機の耐空性を確認する「確認主任者」など、より責任の重い役割への土台にもなります。航空整備士の資格は、空の安全を担う専門職としてキャリアを積み上げるうえで、欠かせない出発点です。
他の資格との違い・位置づけ
航空工場整備士との違い
よく似た資格に「航空工場整備士」があります。航空整備士が航空機を「型式」単位で整備・確認するのに対し、航空工場整備士は機体構造・発動機・プロペラ・計器・電子装備品など「部品の種別」ごとに限定された、地上での部品整備の専門資格です。航空整備士は運航する機体全体を、航空工場整備士は製造や大規模改修などの部品整備を担う、という役割の違いがあります。
自動車整備士との違い
同じ「整備士」でも、自動車整備士とはまったく別の制度です。所管も対象も異なりますが、決定的な違いは「確認行為」にあります。航空整備士は、整備後に航空機の耐空性(安全に飛べること)を確認するという、航空安全の最終ゲートを担います。空を飛ぶという特性ゆえに、整備の確認が極めて重視されているのです。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
航空整備の専門学校で学ぶ人
国土交通大臣の指定を受けた航空整備の専門学校(指定養成施設)で学ぶ人が、必要な実務経験を短縮しながら取得を目指します。在学中に基礎を固め、卒業後に航空会社などで活躍する王道のルートです。
航空会社で経験を積む整備士
航空会社や整備会社で実務経験を積みながら、運航整備士から整備士へ、二等から一等へと、段階的に上位資格を目指す人が多くいます。扱える機種や整備の範囲が広がり、キャリアアップにつながります。
空の安全を支えたい人
飛行機が好きで、その安全を支える仕事に就きたい人が目指します。パイロットとは違う形で空に関わり、確かな技術で多くの命を守る、誇りある専門職です。
豆知識:整備士は「空の安全の最後の砦」
確認行為が資格の核心
航空整備士の資格が特別なのは、「整備をした航空機が安全に飛べる」と確認できる権限を持つ点です。どれだけ整備をしても、最後にこの確認がなければ航空機は飛べません。だからこそ航空整備士は、文字どおり「空の安全の最後の砦」。その責任の重さが、資格の価値そのものになっています。
学科はCBTで受けやすく
かつて学科試験は年数回の決まった日程でしたが、2023年11月期からCBT方式になり、日程や会場を選んで受けられるようになりました。働きながら計画的に学科に挑戦しやすくなったのは、受験者にとって大きな前進です。なお、古い情報では「年3回」とあることもありますが、現行は年6回程度です。最新情報は公式で確認しましょう。
まとめ ― 空の安全を確認する国家資格
こんな方にとくにおすすめ
- 航空会社・MROで航空機整備の仕事に就きたい方
- 航空整備の専門学校で学び、整備士を目指す方
- 運航整備士から整備士へステップアップしたい方
- 確かな技術で空の安全を支えたい方
取得に向けた第一歩
まずは、自分が目指す区分(整備士か運航整備士か、一等か二等か)と、必要な実務経験を確認しましょう。未経験から目指すなら、国土交通大臣指定の航空整備専門学校で学ぶのが近道です。最新の試験日程・科目・手数料は、国土交通省の航空従事者試験の公式情報で確認してください。
公式サイト:航空従事者技能証明等申請・学科試験(国土交通省)
