
「動物が好きだから、ペットに関わる仕事がしたい」。そう考えたとき、気になるのが資格です。ただ、トリマー、ドッグトレーナー、飼養管理士…と種類が多く、「どれを取ればいいの?」「そもそも資格は必要?」と迷ってしまいます。じつはペットの仕事の資格は、ほとんどが民間資格。この記事では、代表的な3つの資格を横断で紹介し、「何がやりたいか」から選べるように整理します。
まず全体像:ペットの資格はほぼ「民間資格」
個別の資格を見る前に、大事な前提を押さえておきましょう。ペットに関わる仕事の資格は、そのほとんどが民間資格です。国が認める国家資格は、ペット分野では「愛玩動物看護師」(2023年から)がほぼ唯一で、トリマーやドッグトレーナーなどは、すべて民間の団体が認定する資格です。
そしてもう一つ大切なのが、これらの仕事の多くは、無資格でも働けるという点です。トリマーもドッグトレーナーも、「この資格がないと働けない」という決まりはありません。それでも資格を取る人が多いのは、就職や、お客さんからの信頼、さらには開業のときに、資格が大きな後押しになるからです。「必須ではないけれど、あると強い」――それがペットの仕事の資格の位置づけです。では、代表的な3つを見ていきましょう。
トリマー:犬や猫の”美容師”

トリマーは、犬や猫の被毛のカットやシャンプー、爪切りなどを行う、いわばペットの美容師です。代表的な資格が、ジャパンケネルクラブ(JKC)が認定する公認トリマーで、C級からB級、A級、さらに指導者向けの教士・師範へと、段階的に上がっていく仕組みになっています。
取得する方法として一般的なのは、JKCが認めたトリミングスクールや専門学校で学び、所定の課程を修了して資格を得るルートです。ブラッシングからシャンプー、乾かし、そしてカットまで、犬や猫を美しく整える技術を、実践的に身につけていきます。無資格でもトリマーとして働くことはできますが、資格があると、技術の証明になり、就職の際に有利になります。犬や猫の見た目を整える仕事に興味があるなら、トリマーが第一候補になります。
ドッグトレーナー:犬のしつけ・訓練の専門家

ドッグトレーナー(訓練士)は、犬のしつけや訓練を行う専門家です。こちらも民間資格で、複数の団体がそれぞれ認定を行っています。たとえばJKCの公認訓練士は、準士補から始まり、実績を積むごとに上位の段階へと昇格していく仕組みです。しつけ教室や訓練所、ペットショップなどで活躍します。
取得には、団体の会員となり、一定の経験や訓練の実績を積んだうえで、筆記や実技の試験を受けるのが一般的です。犬の困った行動を直したり、家庭犬として気持ちよく暮らせるようにしつけたりと、飼い主と犬の両方を支える仕事です。なお、警察犬や警備犬を育てる訓練士も、こうした民間資格の延長線上にあります。「犬と深く向き合い、しつけを通じて信頼関係を築きたい」という人に向いた道です。
愛玩動物飼養管理士:ペット業界の”基礎知識”

愛玩動物飼養管理士は、公益社団法人日本愛玩動物協会が認定する資格です。ペットの正しい飼い方や、動物愛護の考え方、関連する法律の知識などを学べる、いわばペット業界の基礎知識にあたる資格です。1級と2級があり、協会の通信教育で体系的に学び、試験に合格して認定を受けます。2級は受験資格がなく、誰でも挑戦できます。
この資格が知られているのは、ペットショップなどで働くうえで役立つだけでなく、ペットに関わる商売を始めるときに必要な「動物取扱業」の登録と関わりがあるためです。ただし、法改正によって、資格だけで責任者になれるかどうかの扱いは変わってきており、実務経験などとの組み合わせが求められる場合もあります。この点は自治体によって運用が異なるので、「登録要件のひとつとして知られる資格」と考え、詳しくは最新の情報を確認するのが安全です。ペット業界全体の知識を身につけたい人に向いた資格です。
そのほかのペット資格
この3つ以外にも、ペットに関わる資格はいろいろあります。目的によっては、こうした資格も選択肢になります。
たとえば、飼い主の留守中にペットの世話をする「ペットシッター」も人気の仕事で、認定ペットシッターやペットシッター士といった民間資格があります。こちらも資格が必須というわけではありませんが、お客さんの大切なペットを預かる仕事だけに、資格が信頼につながります。なお、ペットシッターとして開業する場合は、動物取扱業の登録が必要です。このように、ペットの仕事は幅広く、資格もそれぞれの分野に用意されています。
目的別:どれを選ぶ?
「何がやりたいか」で整理すると、選ぶべき資格がはっきりします。
- 犬猫の美容(カット・シャンプー)をやりたい→トリマー
- 犬のしつけ・訓練をやりたい→ドッグトレーナー(訓練士)
- ペット業界全般の知識を身につけたい、ペットショップや動物取扱業を意識→愛玩動物飼養管理士
- 留守中のペットの世話をしたい→ペットシッター系の資格
ポイントは、「動物のどんな面に関わりたいか」を考えることです。見た目を整えるならトリマー、行動を導くならドッグトレーナー、業界の知識を広く持ちたいなら飼養管理士。どれも民間資格で、無資格でも働けますが、資格は就職や信頼、開業のときに、あなたを後押ししてくれます。迷ったときは、実際に働きたい場所を思い浮かべてみるのも手です。トリミングサロンで働く自分か、しつけ教室で犬と向き合う自分か、ペットショップで接客する自分か――具体的な場面を想像すると、進みたい方向が見えてきます。
持ち帰り豆知識:唯一の国家資格は”看護”
ここまで紹介してきた資格は、すべて民間資格でした。では、ペット分野に国家資格はないのかというと、じつは一つだけあります。2023年に始まった「愛玩動物看護師」です。動物病院で、獣医師のもとで診療の補助などを行う、ペット医療の専門職の国家資格です。
つまり、ペットの「美容」や「しつけ」「飼育の知識」は民間資格が担い、「医療」の分野に、唯一の国家資格がある、という構図です。自分が関わりたいのは、ペットのどんな場面なのか。それを考えることが、資格選びの、そして進路選びの出発点になります。動物が好きという気持ちを、どんな形で仕事にしたいか――まずはそこから思い描いてみてください。
まとめ:やりたいことから選ぼう
ペットの仕事の資格は、そのほとんどが民間資格です。美容ならトリマー、しつけならドッグトレーナー、業界の知識なら愛玩動物飼養管理士、と目的で選び分けられます。多くは無資格でも働けますが、資格は就職・信頼・開業の大きな支えになります。唯一の国家資格は、医療を担う愛玩動物看護師です。
最初の一歩は、「動物のどんな面に関わりたいか」をはっきりさせること。それが決まれば、目指す資格も自然と絞られます。なお、各資格の認定団体や級の構成、動物取扱業との関係は変わることがあるので、挑戦の前に各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。好きな気持ちを、確かな一歩につなげていきましょう。
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