助産師について

筆記試験実務経験・学歴が必要
国家資格

助産師とは?

概要・難易度・取得後の働き方を解説

助産師の概要

助産師は、妊娠・出産・産後のケアを専門に行う国家資格です。妊婦健診や分娩の介助、産後の母子のケア、新生児のケアに加えて、思春期から更年期まで女性の健康全般に関する相談・指導を行うこともあります。看護師資格を持ったうえで、さらに専門の養成課程を修了することで取得できる資格です。

分娩の介助とは、出産が安全に進むよう、母体と赤ちゃんの状態を確認しながら、出産の各段階をサポートすることです。日本では、正常な経過の分娩であれば助産師が単独で介助を行うことが法律で認められています。

試験の出題範囲と形式

助産師国家試験は、マークシート形式の筆記試験です。出題範囲は、妊娠・分娩・産褥期の生理と異常、新生児のケア、地域母子保健、助産師の倫理など多岐にわたります。看護師国家試験で問われる基礎的な医学知識に加えて、母子保健に特化した専門知識が求められます。

産褥期とは、出産を終えた後、母体が妊娠前の状態に回復していくまでの期間のことです。一般的に出産後6〜8週間程度とされ、この時期の母体・新生児のケアも助産師の重要な役割の一つです。

受験資格・対象者

助産師国家試験を受験するには、看護師国家試験の受験資格を満たしたうえで、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した助産師養成所で1年以上、助産に関する知識・技術を修得する必要があります。看護系大学の中には、看護師と助産師の両方の受験資格を同時に得られる課程を設けているところもあります。

難易度・学習時間の目安

★★★★☆ 看護師資格を土台に、専門課程での集中的な学習が必要な資格

助産師養成課程は1年間と短期集中型ですが、その中で母子保健に関する専門知識に加え、分娩介助の実習(分娩件数のノルマが設けられていることが多い)もこなす必要があり、内容は非常に密度が高いといわれています。看護師としての基礎知識があることを前提に、専門性をさらに積み上げていくイメージです。

合格率の目安:助産師国家試験の合格率は例年99%前後と非常に高く、養成課程をきちんと修了した人にとっては、最終的な国家試験よりも、その前段階である養成課程での学習・実習のほうが大きなハードルといえます。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

病院・産科クリニックの助産師

産科病棟や産科クリニックで、妊婦健診や分娩の介助、産後の母子のケアなど、出産前後の女性とその家族を支える中心的な役割を担います。医師と連携しながら、出産という人生の大きな節目に深く関わる仕事です。

妊婦健診とは、妊娠中に定期的に行う健康診査のことで、母体と胎児の状態を確認しながら、出産までの経過を見守るために行われます。助産師は、健診の結果をもとに保健指導を行うこともあります。

助産院の開業・運営

助産師は、一定の条件のもとで助産院を開業することができる資格でもあります。正常な経過の妊娠・出産であれば、助産師が中心となってケアを行う「助産師主体のお産」を提供する場として、助産院を運営する道も開かれています。

助産院とは、助産師が開設する、出産や母子のケアを行う施設のことです。医療機関とは異なり、リスクの低い正常分娩を中心に扱い、緊急時には連携している病院に搬送する体制が整えられています。

地域母子保健・保健指導の現場

市区町村の母子保健事業や、両親学級・産後ケア事業などで、妊産婦やその家族への保健指導を行う役割もあります。出産後の育児不安に寄り添い、地域全体で母子を支える仕組みづくりに関わることもできます。

誕生の背景・歴史

「産婆」から「助産師」への歩み

助産師は、かつて「産婆」と呼ばれていた職業を起源に持ちます。明治時代に産婆の資格制度が整備されて以降、医療の近代化とともに教育内容や法的な位置づけが見直され、戦後の法律改正を経て「助産師」という名称になりました。長い歴史の中で、出産という営みに寄り添い続けてきた専門職です。

病院出産の普及と助産師の役割の変化

かつては自宅での出産が一般的で、産婆・助産師が自宅に出向いて分娩を介助することが多くありました。その後、病院や診療所での出産が主流になるにつれて、助産師の活躍の場も病院の産科病棟が中心になっていきました。近年では、助産院や地域母子保健の分野など、活躍のフィールドが再び多様化してきています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

看護師として産科で経験を積んだ人

看護師として産科病棟などで働く中で、より専門的に妊娠・出産・産後のケアに関わりたいという思いから、助産師養成課程に進む人が多く見られます。

看護学生時代から助産師を志す人

看護系大学の中には、入学時点から助産師の受験資格取得を目指せる課程を持つ学校もあり、学生時代から将来の目標として助産師を志している人も少なくありません。

地域の母子保健に貢献したい人

出産や育児に関する不安を抱える女性や家族に寄り添いたい、地域の子育て支援に関わりたいという思いから、病院だけでなく行政の母子保健分野での活躍を視野に入れて取得する人もいます。

豆知識:助産師にしかできない、ある「特別な業務」

「助産」は助産師と医師にしかできない

看護師は、医師の指示のもとでさまざまな診療の補助を行いますが、「助産」、つまり分娩の介助そのものを行うことができるのは、医師と助産師に限られています。これは法律で定められた助産師の独占的な業務であり、看護師資格を持っていても、助産師の資格がなければ分娩の介助を行うことはできません。看護師としてどれだけ経験を積んでも、この一点だけは助産師資格がなければ超えられない線として明確に区別されています。

「お産に立ち会う」という特別な仕事

助産師の仕事の大きな魅力の一つは、新しい命が生まれる瞬間に立ち会えることです。長い陣痛を乗り越えた家族の喜びの瞬間に寄り添い、無事に出産を終えられるよう支える仕事は、医療の中でも特に「人生の節目」に深く関わる職業といえるでしょう。出産という普遍的な出来事を通じて、多くの家族の物語に関わっていける点は、この資格ならではのやりがいです。

まとめ ― 命の誕生に寄り添う専門職を目指す資格

こんな方にとくにおすすめ

  • 看護師として、産科でさらに専門性を高めたい方
  • 出産・育児を支える仕事に強いやりがいを感じる方
  • 将来、助産院の開業や地域母子保健に携わりたい方

取得に向けた第一歩

まずは看護師国家試験の受験資格を得られる学校選びの段階から、助産師養成課程への進学を視野に入れておくと、その後のキャリアを描きやすくなります。すでに看護師として働いている方は、助産師養成所の入試情報や、産科での実務経験を積む方法を調べてみることから始めるとよいでしょう。1年間で凝縮した学びとなるため、進学前に体力面・経済面の準備を整えておくことも大切です。