JIDAデザイン検定とは?
概要・難易度・取得後に活かせる仕事を解説
JIDAデザイン検定の概要
JIDAデザイン検定は、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)が認定する検定試験で、プロダクトデザイン(工業製品のデザイン)に関する基礎知識を問います。家電・家具・乗り物・日用品など、身の回りのあらゆる製品の「形」や「使いやすさ」がどのような考え方のもとで作られているのかを体系的に学べる試験です。
※ プロダクトデザインとは、家電製品や家具、文房具など、量産される工業製品の形状・機能・使い心地などを設計するデザイン分野のことです。
試験の出題範囲と形式
JIDAデザイン検定は、選択式の筆記試験を中心とした構成です。出題範囲には、デザインの基礎理論(色彩・造形・人間工学など)、プロダクトデザインの歴史、製品が企画から発売に至るまでの開発プロセス、デザインに関する法律(意匠権など)の基礎知識まで、幅広い内容が含まれます。実際にものを作る実技試験ではなく、デザインを「考え方」として理解しているかを確認する試験です。
※ 人間工学とは、人の体の動きや感覚の特性に合わせて、製品や環境を使いやすく設計するための考え方です。プロダクトデザインの分野では特に重視される基礎知識の一つです。
級ごとの位置づけ
JIDAデザイン検定は複数の級で構成されており、初級にあたる級では、デザインに関する基本用語や身の回りの製品デザインへの興味・関心が問われます。上位の級になるにつれて、デザイン史や開発プロセス、知的財産に関する知識など、より専門的で実務に近い内容の比重が増えていきます。
受験資格・対象者
受験資格に年齢・学歴などの制限はなく、誰でも受験できます。プロダクトデザインを専門的に学んでいる学生はもちろん、デザインそのものに興味があり、身の回りの製品がどのような考え方で作られているのかを体系的に知りたいという一般の人にも開かれた試験です。
難易度・学習時間の目安
初級にあたる級は、公式テキストに沿ってデザインの基本用語や考え方を一通り押さえれば、20〜30時間程度の学習で合格ラインに届くとされています。普段から家電や家具などのデザインに興味を持って観察する習慣があると、用語のイメージがつかみやすくなります。
上位の級になると、デザイン史上の代表的な製品や、開発プロセス・知的財産に関する知識まで問われるため、学習時間の目安は40〜80時間程度に増えます。実際の製品を「なぜこの形なのか」という視点で見る習慣をつけることが、上位級の理解を深めるうえで役立ちます。
※ JIDAとは、公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会の略称で、日本のプロダクトデザイナーを代表する団体の一つです。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
プロダクトデザイナー・インダストリアルデザイナー
家電・家具・雑貨など量産品のデザインを手がけるプロダクトデザイナーにとって、デザイン史や人間工学、開発プロセスに関する基礎知識は、企画段階からデザインの方向性を考えるうえでの土台になります。資格の学習を通じて、こうした基礎を体系的に確認できます。
メーカーの商品企画・開発担当者
自分でデザインを手がける立場でなくても、商品企画や開発の担当者がデザインの基本的な考え方を理解していると、デザイナーとの打ち合わせや、デザイン案の評価・選定がスムーズになります。意匠権など知的財産に関する基礎知識も、新製品の企画段階で役立ちます。
デザイン教育・展示企画に関わる人
デザインの専門学校や博物館・展示施設などで、プロダクトデザインの歴史や考え方を分かりやすく伝える仕事に携わる人にとっても、JIDAデザイン検定で学ぶ知識は、説明の土台となる体系的な情報源になります。
※ 意匠権とは、製品のデザイン(形状・模様・色彩など)を保護する知的財産権の一つです。プロダクトデザインの仕事では、自社の製品デザインを守るための基礎知識として扱われます。
誕生の背景・歴史
戦後のデザイン振興とJIDAの設立
JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)は、1950年代に設立された、日本のプロダクトデザイナーを代表する団体の一つです。戦後の日本では、輸出産業を支える製品の品質や見た目の良さを高めることが国を挙げての課題とされ、デザインという分野そのものの社会的な地位を高めていく動きの中でJIDAは大きな役割を果たしてきました。
「デザインを学ぶ入り口」としての検定の整備
長年にわたりプロダクトデザイン分野を牽引してきたJIDAが、その知見を体系的に学べる形にまとめたのがJIDAデザイン検定です。デザインを専門的に学ぶ学生だけでなく、デザインに関心を持つすべての人が、プロダクトデザインの考え方や歴史に触れる「入り口」となることを目指して整備されました。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
プロダクトデザインを学ぶ専門学校・大学の学生
プロダクトデザインを専攻する学生が、授業で学ぶ実技や演習と並行して、デザイン史や理論を体系的に整理するためにJIDAデザイン検定に挑戦するケースが多く見られます。理論の裏付けがあることで、自分の作品の説明にも説得力が増します。
メーカーへの就職を目指す人
家電メーカーや家具メーカーなど、ものづくり企業のデザイン部門・商品企画部門への就職を目指す人にとって、JIDAデザイン検定はデザインへの関心と基礎知識を客観的に示す材料の一つになります。
身の回りの製品デザインに興味がある社会人
デザインを仕事にしていなくても、家電や家具、文房具などの「なぜこの形なのか」に興味を持ち、趣味としてデザインの背景を学び直したいという社会人が受験するケースもあります。
豆知識:あの名作椅子も「JIDAゆかりのデザイナー」が手がけた
柳宗理と「バタフライスツール」
日本のプロダクトデザインを語るうえで欠かせない人物の一人に、柳宗理(やなぎ そうり)がいます。流れるような曲線が特徴の「バタフライスツール」は、現在も国内外で愛され続けている代表的な名作家具で、美術館にも収蔵されています。柳宗理はJIDAの設立にも深く関わった人物の一人とされ、JIDAデザイン検定で学ぶデザイン史の中でも、こうした戦後デザインの歩みは重要なテーマの一つです。
「いいデザイン」を選ぶ仕組みとのつながり
優れたデザインの製品を選定して表彰する取り組みは、戦後の日本でデザインの質を底上げする目的で始まり、現在まで続いています。JIDAは、こうした「優れたデザインとは何か」を社会に示していく活動とも関わりが深い団体です。JIDAデザイン検定の学習を通じて、普段何気なく使っている製品の中にも、こうした評価の積み重ねの上に成り立っているものがあることに気づくきっかけになります。
まとめ ― JIDAデザイン検定は「ものの形の理由」を知る資格
こんな方にとくにおすすめ
- プロダクトデザインを専門的に学んでおり、理論面を体系的に整理したい方
- 家電・家具・雑貨メーカーのデザイン部門・商品企画部門を目指している方
- 身の回りの製品デザインの背景や歴史に興味がある方
取得に向けた第一歩
まずは初級にあたる級の出題範囲に沿って、デザインの基本用語と代表的なプロダクトデザインの歴史を一通り押さえましょう。普段使っている製品を「なぜこの形・素材なのか」という視点で観察する習慣をつけると、テキストの内容が実感を伴って理解しやすくなります。
