Illustratorクリエイター能力認定試験とは?
概要・難易度・取得後に活かせる仕事を解説
Illustratorクリエイター能力認定試験の概要
Illustratorクリエイター能力認定試験は、デザイン制作ソフト「Adobe Illustrator」を使った制作スキルを評価する民間資格です。運営は、Photoshopクリエイター能力認定試験と同じサーティファイ Web利用・技術検定委員会で、両者は姉妹資格にあたります。
※ Adobe Illustratorとは、ロゴ・図形・イラスト・チラシなどのデザインを作成するソフトです。線や図形を「データ」として扱うため、写真の加工を得意とするPhotoshopとは性質が異なります。
試験の出題範囲と形式
Photoshopクリエイター能力認定試験と同様、知識を問う選択式ではなく、実際にIllustratorを操作して課題を完成させる実技試験です。ロゴマークの作成、図形の組み合わせによるイラスト制作、文字とレイアウトを組み合わせたチラシ制作など、実務に近い課題が出題されます。
スタンダードとエキスパートの違い
試験はスタンダードとエキスパートの2段階(級)に分かれています。スタンダードでは、図形の作成・変形、色の指定、文字入力といった基本操作が中心です。エキスパートでは、ベジェ曲線を使った複雑な形の作成や、複数のオブジェクトを組み合わせたレイアウト構成など、より高度な表現力が求められます。
※ ベジェ曲線とは、点と方向線(ハンドル)を操作して描く、滑らかな曲線のことです。Illustratorで思い通りの形を描くための基本技術であり、多くの初心者が最初につまずくポイントでもあります。
受験資格・対象者
受験資格に年齢・学歴などの制限はなく、誰でも受験できます。デザイン系の専門学校・大学で授業の一環として導入されているケースも多く、学生から、独学でデザインスキルを身につけたい社会人まで幅広く受験しています。
難易度・学習時間の目安
スタンダード級は、図形の作成・変形・色指定・文字入力といった基本操作に慣れていれば、30〜50時間程度の練習で合格ラインに届くとされています。最初は操作に戸惑うことが多いものの、繰り返し手を動かすことで徐々にスムーズに作業できるようになります。
エキスパート級になると、ベジェ曲線を使った複雑な図形の作成や、ロゴ・チラシなど完成度の高いレイアウト構成が求められます。学習時間の目安は60〜100時間程度で、見本に近づける練習を数多くこなすことが合格への近道になります。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
グラフィックデザイナー・ロゴデザイナー
企業のロゴマークやポスター、パンフレットなど、印刷物のデザインを手がける際にIllustratorは欠かせないツールです。ベジェ曲線を使った図形作成のスキルは、こうした制作物のクオリティに直結します。
Webデザイナー・UIデザイナー
WebサイトのアイコンやUIパーツの作成にもIllustratorはよく使われます。拡大しても画質が劣化しないデータの特性は、さまざまな画面サイズに対応する必要があるWebデザインと相性が良い点です。
広報・販促資料を作成する事務担当者
社内のチラシやポスター、名刺などを自分で作成する機会がある事務職や広報担当者にとっても、Illustratorの基本操作を身につけておくことで、外部のデザイナーに依頼するコストや時間を抑えられる場面があります。
誕生の背景・歴史
1987年、印刷業界の「デジタル化」とともに誕生
Illustratorは1987年にAdobe社からリリースされたソフトで、当時普及し始めていたプリンター用の言語技術をもとに開発されました。文字や図形を、拡大・縮小しても輪郭が滑らかなまま保たれる「ベクターデータ」として扱える点が画期的で、それまで手作業で行っていた版下(印刷用の原稿)制作を、コンピュータ上で行えるようにした「DTP革命」の中心的な存在となりました。
※ ベクターデータとは、点・線・面を数値や数式で表現した画像データのことです。写真のように色の点(ピクセル)の集まりで表現するラスターデータとは異なり、どれだけ拡大しても輪郭がギザギザになりません。
検定が生まれた経緯
Illustratorの普及にともない、操作スキルを客観的に証明したいというニーズが高まり、サーティファイ Web利用・技術検定委員会によってIllustratorクリエイター能力認定試験が整備されました。Photoshopクリエイター能力認定試験とあわせて受験することで、写真加工とデザイン制作の両方のスキルを示すことができます。
※ DTPとは、パソコン上でチラシや雑誌などの印刷物のデザイン・レイアウトを行うことです。Illustratorは、このDTP分野で広く使われている代表的なソフトの一つです。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
デザイン専門学校・大学の学生
デザイン系の学校では、授業の一環としてIllustratorクリエイター能力認定試験の対策が組み込まれていることがあります。Photoshopクリエイター能力認定試験とセットで取得し、就職活動でのアピール材料にする学生も少なくありません。
独学でデザインスキルを身につけたい社会人
副業や転職を見据えて、独学でIllustratorの操作を学んだ社会人が、学習の到達度を測る目標として受験するケースもあります。実技試験のため、操作の正確さとスピードがそのまま結果に表れます。
個人で作品やグッズを制作・販売する人
イラストやロゴを自作してオリジナルグッズを販売したり、SNSで発信したりする個人クリエイターにとっても、Illustratorの操作スキルは制作の幅を広げる土台になります。資格取得を学習のきっかけにする人もいます。
豆知識:なぜ「拡大しても画質が落ちない」のか
写真とロゴで「データの仕組み」がまったく違う
スマートフォンで撮った写真を大きく拡大すると、画面がカクカクとギザギザになって見えることがあります。これは写真が、色のついた小さな点(ピクセル)を敷き詰めて作られているためです。一方、Illustratorで作るロゴや図形は、点と点を結ぶ線の「数式」としてデータが保存されています。そのため、看板サイズに拡大しても、名刺サイズに縮小しても、輪郭は常に滑らかなままです。企業のロゴマークがIllustratorで作られることが多いのは、名刺からビルの看板まで、あらゆるサイズで使う必要があるためです。
「版下作業」を一変させたソフト
Illustratorが登場する以前、ポスターやパンフレットの印刷原稿(版下)は、デザイナーが定規やカッターを使って、紙の上で文字や図形を物理的に貼り付けて作る手作業が主流でした。Illustratorの登場によって、こうした作業がコンピュータ上で完結するようになり、印刷物のデザイン制作のスピードと自由度は大きく向上しました。
まとめ ― Illustratorクリエイター能力認定試験は「形を作る力」を磨く資格
こんな方にとくにおすすめ
- ロゴ・チラシなどのグラフィックデザインに興味がある方
- Photoshopクリエイター能力認定試験とあわせてデザインスキルを証明したい方
- 個人でイラストやグッズの制作・販売をしている、または始めたい方
取得に向けた第一歩
まずはスタンダード級の出題範囲に沿って、図形の作成・変形・色の指定・文字入力といった基本操作を一通り練習しましょう。エキスパート級を目指す場合は、ベジェ曲線を使った曲線の作成に重点的に取り組むと、複雑な形のロゴやイラストも思い通りに描けるようになっていきます。
