自然観察指導員とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
自然観察指導員の概要
「自然観察指導員」は、地域の自然を観察しながら、その魅力や守るべき大切さを多くの人に伝える自然観察会を企画・案内する能力を認定するものです。公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)が実施する「自然観察指導員講習会」を受講することで登録され、「NACS-J自然観察指導員」として活動できるようになります。身近な自然の中で行われる観察会を通じて、参加者と一緒に自然の面白さに気づき、その自然を守る仲間を増やしていく、ボランティアリーダーとしての役割を持つ資格です。
※ 公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)とは、自然環境の保護活動や調査研究、自然観察指導員の育成などを行っている、日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつです。
1泊2日の講習会で野外学習と講義を受ける
自然観察指導員講習会は、5月から11月にかけて全国各地で例年10〜15回ほど開催されており、1泊2日の日程で野外学習と講義を受けます。受講料は開催回によって異なりますが、おおよそ2万円から3万5,000円程度とされています。野外での実習を通じて、自然観察会の進め方や安全への配慮などを体験的に学べる点が特徴です。
登録にはNACS-J会員であることが条件
NACS-J自然観察指導員として登録されるためには、NACS-Jの普通会員であることが条件とされています。講習会を受講したうえで会員登録を行うことで、各地の自然観察指導員のネットワークに加わり、地域での自然観察会の企画・運営に関わっていく仕組みになっています。
※ 普通会員とは、NACS-Jの活動を会費によって支える一般の会員のことです。自然観察指導員として登録するには、講習会の受講に加えて、この普通会員となることが条件とされています。
難易度・学習時間の目安
自然観察指導員は、合否を競うような筆記試験は実施されず、1泊2日の講習会に参加し、NACS-J普通会員として登録することが中心となる仕組みです。そのため、難易度という点では他の資格に比べて挑戦しやすい部類に入ります。一方で、講習会自体は野外での実習を含む内容であり、自然観察会を企画・案内する立場として求められる視点や心構えを、体験を通じてしっかりと身につけることが重視されています。気軽に挑戦できる一方で、登録後はボランティアリーダーとしての活動が期待される点も理解しておくとよいでしょう。
※ 自然観察会とは、参加者が森や公園、川辺などを歩きながら、植物や生き物、地形などを観察し、自然の面白さや大切さを学ぶイベントのことです。自然観察指導員は、こうした観察会の企画・案内を担う役割を持ちます。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
地域の自然観察会・環境イベントの運営者
地域で自然観察会や環境イベントを企画・運営する方にとって、NACS-Jの講習会で学んだ進め方やネットワークは、イベントの質を高め、参加者にとって安心できる活動づくりに役立ちます。
公園・自然学校のボランティアガイド
公園や自然学校でボランティアガイドとして活動したい方にとっても、自然観察指導員としての登録は、活動の入口として、また仲間とつながるきっかけとして活かせます。
学校・地域団体での環境教育の担い手
学校や地域団体で自然や環境について学ぶ機会をつくりたい方にとって、自然観察会の企画・案内のノウハウを学んだ経験は、子どもから大人まで幅広い参加者に対する環境教育の場づくりに活かせます。
※ ボランティアリーダーとは、報酬を目的とせず、自主的に活動を企画・運営する立場の人のことです。NACS-J自然観察指導員も、地域での自然観察会を支えるボランティアリーダーとして位置づけられています。
誕生の背景・歴史
身近な自然を守る仲間を増やすために発足
NACS-J自然観察指導員の制度は、地域に根ざした自然観察会を通じて、自然の大切さに気づき、自然を守る仲間を増やしていくことを目的に、日本自然保護協会によって整備されました。自然保護は専門家だけの活動ではなく、地域の一人ひとりが関わることで広がっていくという考え方が、この制度の背景にあるといえます。
全国各地で長年続けられてきた講習会
自然観察指導員講習会は、毎年5月から11月にかけて全国各地で開催されており、これまでに数多くの指導員が登録されてきました。地域ごとの自然観察指導員のネットワークが、それぞれの地域での自然観察会の運営を支えています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
自然や生き物が好きで、人にも伝えたい方
普段から自然観察や野鳥観察などを楽しんでいる方が、その面白さを他の人にも伝えたいという思いから講習会を受講するケースが多く見られます。
地域の活動に関わりたい方
地域の自然保護活動やボランティア活動に関わりたい方が、自然観察指導員の登録をきっかけに、地域のネットワークに加わることもあります。
子どもの環境教育に携わりたい方
学校や地域での環境教育に携わりたい方が、自然観察会の企画・案内方法を学ぶ目的で登録を目指すこともあります。
豆知識:自然観察指導員をめぐる雑学
「資格」というより「登録制度」という性格が強い
自然観察指導員は、合格・不合格を判定する試験を伴う資格とは異なり、講習会の受講とNACS-J普通会員としての登録によって認められる制度です。「資格を取る」というよりも、「自然を守る活動の仲間として登録される」という性格が強い点が、この制度の大きな特徴といえます。
森林インストラクターなど他の資格との組み合わせも
自然観察指導員は、森林インストラクターや野鳥観察指導員といった、自然・森林分野の他の資格と組み合わせて取得する方も少なくありません。それぞれの資格で得意分野が異なるため、組み合わせることで案内できる内容の幅を広げることができます。
まとめ ― 身近な自然の魅力を伝えるボランティアリーダー
こんな方にとくにおすすめ
- 自然や生き物が好きで、その魅力を人に伝えたい方
- 地域の自然観察会や環境イベントに関わりたい方
- 公園や自然学校でボランティアガイドをしたい方
- 子どもの環境教育に携わりたい方
取得に向けた第一歩
自然観察指導員は、1泊2日の講習会に参加し、NACS-Jの会員として登録することから始まる制度です。難解な試験対策は必要ありませんが、講習会で学ぶ内容を実際の自然観察会で活かしていくことで、地域の自然を守る活動に少しずつ関わっていくことができます。自然が好きで、その魅力を誰かに伝えたいという方にとって、最初の一歩として取り組みやすい制度といえるでしょう。

