在宅診療報酬事務管理士について

在宅受験可実技試験あり筆記試験誰でも受験可
民間資格

在宅診療報酬事務管理士とは?

概要・難易度・取得後の働き方を解説

在宅診療報酬事務管理士の概要

在宅診療報酬事務管理士は、医師が患者の自宅や施設を訪問して行う「在宅医療」に関する診療報酬請求事務の知識・技能を認定する民間資格です。技能認定振興協会(JSMA)が実施しており、医療保険と介護保険の両方にまたがる請求知識が求められる点が大きな特徴です。

在宅医療とは、通院が難しい患者の自宅や施設に医師・看護師が訪問して診療を行う医療の形態のことです。「訪問診療」「往診」などが含まれます。

試験の出題範囲と形式

学科試験では、医療保険制度・介護保険制度・公費負担医療制度などの関連法規と、保険請求事務の知識が問われます。実技試験では、診療報酬明細書(レセプト)や介護給付費明細書の点検・作成に関する問題が出題され、すべてマークシート形式で実施されます。試験は在宅受験(自宅でマークシートを記入して郵送する方式)で、年2回(7月・1月)実施されています。

公費負担医療制度とは、特定の病気や事情を抱える方の医療費の一部または全部を、国や自治体が負担する制度のことです。在宅医療の現場では関わる機会が多くなります。

受験資格・対象者

受験資格に学歴・年齢・実務経験などの制限はなく、誰でも受験できます。すでに医科医療事務管理士など他の医療事務系資格を取得している方が、専門分野を広げるために追加で挑戦するケースが多く見られます。

訪問診療とは、医師があらかじめ計画を立てて定期的に患者の自宅などを訪れて行う診療のことです。緊急時に駆けつける「往診」とは区別されます。

「医療保険」と「介護保険」をまたぐ唯一無二の知識

在宅医療を受ける患者の多くは高齢者であり、医療保険と介護保険の両方のサービスを併用していることが少なくありません。そのため在宅診療報酬事務管理士は、医療保険のレセプトだけでなく、介護保険の給付費明細書についても理解しておく必要があります。一般的な医療事務資格が医療保険のみを扱うのに対し、この資格は両制度にまたがる点で独自のポジションにあります。

難易度・学習時間の目安

★★★☆☆ 合格基準が高めで、しっかりした準備が必要な資格

すでに医科医療事務管理士などで医療保険のレセプト作成に慣れている方であれば、在宅医療特有の算定ルールと介護保険の給付費明細書の書き方を中心に学習することになります。一方、医療事務の学習が初めての場合は、医療保険・介護保険それぞれの基礎制度から学ぶ必要があり、学習時間は100時間以上を見込んでおくとよいでしょう。

合格率の目安:合格率は約55%とされていますが、合格基準は総得点の80%以上と高く設定されています。出題範囲を満遍なく理解しておく必要がある試験です。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

在宅医療を行うクリニックの事務スタッフ

訪問診療を行うクリニックや在宅療養支援診療所で、訪問診療にともなう診療報酬の請求業務を担当します。通常の外来とは異なる算定ルールが多いため、専門知識を持つスタッフは重宝されます。

居宅介護支援事業所・訪問看護ステーションの事務職

訪問看護ステーションなどでは、医療保険・介護保険どちらの請求になるかを利用者ごとに判断する必要があります。両方の制度を理解しているスタッフは、請求ミスの防止や利用者への説明においても頼りにされます。

医療事務スタッフのキャリアアップ先

病院やクリニックの一般的な医療事務として経験を積んだ後、在宅医療部門への異動や転職を考える際に、この資格があることでスムーズに専門分野へステップアップしやすくなります。

誕生の背景・歴史

高齢化と「住み慣れた地域で暮らす」政策の流れ

日本では高齢化の進行にともない、病院ではなく自宅や住み慣れた地域で医療・介護を受けられる体制づくりが国の重要な政策課題となってきました。こうした「在宅医療・在宅介護」を推進する流れの中で、在宅医療に特化した診療報酬の算定ルールも年々整備され、訪問診療を行う医療機関の数も年々増加してきました。

診療報酬明細書(レセプト)とは、医療機関が提供した診療内容とその費用をまとめ、健康保険組合などに請求するための書類のことです。

専門資格としての確立

在宅医療の制度が複雑化する中で、医療保険と介護保険の両方にまたがる請求事務を専門に扱える人材へのニーズが高まりました。技能認定振興協会(JSMA)は、すでに実績のあった医科医療事務管理士技能認定試験のノウハウを活かし、在宅医療分野に特化した本資格を整備しました。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

在宅医療の専門知識を身につけたい医療事務経験者

外来や入院のレセプト業務に慣れた医療事務経験者が、今後さらに需要が拡大する在宅医療分野に対応できるよう、専門知識を補強する目的で取得します。

介護分野から医療事務へ知識を広げたい人

ケアクラークや介護事務管理士など介護保険分野の資格を持つ人が、医療保険側の知識も身につけることで、在宅医療・介護の現場でより幅広く対応できる人材を目指して取得するケースもあります。

在宅医療系クリニックへの就職・転職希望者

在宅医療を行うクリニックは近年増加傾向にあり、専門知識を持つ事務スタッフを求める求人も見られます。資格を取得しておくことで、応募時に専門性をアピールできます。

豆知識:「2025年問題」とこれからの在宅医療

団塊の世代と在宅医療の需要拡大

1947年〜1949年生まれの「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる中で、医療・介護の需要が急速に増えることは「2025年問題」として知られています。すべての人が病院に入院し続けることは現実的ではないため、自宅や施設で医療・介護を受けながら生活する「在宅」での体制づくりが、これまで以上に重要になっています。

受験料は比較的リーズナブル

在宅診療報酬事務管理士の受験料は4,000円(税込)程度と、医療事務系の資格の中でも比較的リーズナブルな部類に入ります。在宅受験のため会場までの交通費もかからず、コストを抑えながら専門性をプラスできる資格として、興味があれば挑戦しやすい環境が整っています。

まとめ ― これからの在宅医療を支える専門知識

こんな方にとくにおすすめ

  • 在宅医療分野で専門性を高めたい医療事務経験者の方
  • 医療保険と介護保険の両方の知識を身につけたい方
  • これから増えていく在宅医療系クリニックへの就職・転職を考えている方

取得に向けた第一歩

すでに医療事務の基礎知識がある方は、在宅医療特有の算定ルールと介護保険の給付費明細書の作成方法を重点的に学習しましょう。医療事務がはじめての方は、医療保険・介護保険それぞれの制度の基礎から学べるテキストを選び、段階的に在宅医療の専門知識へとステップアップしていくのがおすすめです。