CCNP(シスコ技術者認定)とは?
概要・難易度・中〜大規模ネットワークのプロを認定する国際資格を解説
CCNPの概要
CCNP(Cisco Certified Network Professional)は、世界最大のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズが認定する、ネットワーク技術者向けの国際資格です。エントリー資格のCCNA(シスコ技術者認定アソシエイト)の上位に位置し、企業の中〜大規模ネットワークの設計・構築・管理・トラブルシューティングができる高度な技術力を認定します。
※ シスコシステムズ(Cisco Systems)とは、世界シェアNo.1のネットワーク機器メーカーです。企業・大学・データセンターのルーター・スイッチの大多数はシスコ製品が使われており、「世界のインターネットインフラを支えるメーカー」と呼ばれています。シスコの認定資格(CCNA/CCNP/CCIE)はネットワーク技術者の世界標準資格として広く認知されています。
CCNPの種類と構成
CCNPはネットワークのジャンルによって複数の種類があります。最も標準的なCCNP Enterprise(エンタープライズネットワーク)のほか、CCNP Security(セキュリティ)・CCNP Data Center(データセンター)・CCNP Service Provider(通信事業者)・CCNP Collaboration(音声・ビデオ)などがあります。各CCNPは「コア試験(1つ)+コンセントレーション試験(1つ)」の2試験合格で取得できます。
※ エンタープライズ(Enterprise)とは「大企業・大規模組織」を意味する言葉です。「エンタープライズ向け」というと、数百〜数千台の機器が接続される大規模なネットワーク・システムを対象とすることを意味します。家庭用ルーターと企業のコアルーターでは、求められる性能・安定性・管理機能が全く異なります。
シスコ資格のレベル体系
シスコ認定はEntry(CCT)→ Associate(CCNA)→ Professional(CCNP)→ Expert(CCIE)の4段階で構成されています。CCNPはその中で「実務で大規模ネットワークを扱えるプロフェッショナルレベル」に相当します。受験料は各試験350〜400ドル程度(試験によって異なります)です。
難易度・学習時間の目安
CCNAが基礎的なネットワーク知識を問うのに対し、CCNPはより深く広い知識・設計力・トラブルシューティング力が問われます。BGP・OSPF・EIGRP・MPLS・SD-WAN・セキュリティアーキテクチャなど、エンタープライズネットワークで実際に使われる技術の深い理解が求められます。CCNAなしにゼロから挑む場合は500〜800時間程度が目安です。
※ BGP(Border Gateway Protocol:ボーダーゲートウェイプロトコル)とは、異なるネットワーク組織(AS:自律システム)間でルーティング情報を交換するためのプロトコルのことです。インターネット全体のルーティング(通信経路の決定)を担う「インターネットの背骨」ともいえる技術で、CCNPの中核的な学習テーマのひとつです。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
ネットワークエンジニア(中〜上級)
企業・データセンター・通信キャリアの大規模ネットワーク設計・構築・運用を担う上級ネットワークエンジニアとして活躍できます。CCNP保有者は求人市場でも特に評価が高く、年収アップにもつながりやすいです。
ネットワークアーキテクト・インフラ設計者
企業のWAN(広域ネットワーク)・データセンターネットワーク・SD-WANなどの大規模インフラの設計責任者として活躍するキャリアパスがあります。設計力・提案力が求められるアーキテクト職はCCNP以上の資格が事実上の入場条件になっていることが多いです。
※ SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)とは、ソフトウェアによって広域ネットワーク(WAN)を柔軟に管理・制御する技術のことです。従来の専用線に代わりインターネット回線や複数のWANを組み合わせて、コスト削減と柔軟性を両立させます。多拠点展開する企業のネットワーク最適化に活用されています。
セキュリティ・クラウドネットワーク専門家
CCNP SecurityやCCNP Data Centerなど専門領域のCCNPは、企業のゼロトラストセキュリティアーキテクチャ設計や、AWSやAzureのクラウドネットワーク設計に特化したキャリアにつながります。
誕生の背景・歴史
1990年代:インターネット普及とともにシスコ認定が誕生
シスコのネットワーク認定資格体系は1993年に誕生しました。インターネットの急速な普及でシスコ製品(ルーター・スイッチ)の需要が世界的に爆発的に増加し、「シスコ製品を正しく使いこなせる技術者を認定する制度」として設計されました。当初CCNPは現在とは異なる試験構成でしたが、「プロフェッショナルレベル」という位置付けは当初から変わっていません。
2020年:大規模リニューアルでSD-WAN・セキュリティ時代へ
2020年に大幅なカリキュラム改定が行われ、現在のジャンル別(Enterprise/Security/Data Center等)のCCNP体系になりました。SD-WAN・自動化・セキュリティアーキテクチャなど、クラウド・デジタル変革時代のネットワーク技術が中心に据えられています。シスコ認定は常に実際のIT業界のトレンドに合わせてアップデートされる点が特徴です。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
CCNA取得後のキャリアアップを目指すネットワークエンジニア
CCNAを取得したネットワークエンジニアが、次の目標としてCCNPを目指すケースが最多です。転職・昇給交渉の際の武器として、また大規模プロジェクトへのアサインを得るためのスキル証明として活用されます。
SIer・通信キャリアのエンジニア
NTT・ソフトバンク・KDDIなどの通信事業者や大手SIerでは、社内資格要件・顧客評価の向上のためにCCNP取得を推奨・支援している企業が多く、会社負担で学習・受験するケースも珍しくありません。
最難関CCIEへのステップとして
CCNPはシスコ資格の最難関であるCCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)の前段階としても位置づけられています。「いつかはCCIE」を目指すネットワーキングの専門家がCCNPを中間目標とするケースがあります。
豆知識:シスコルーターが世界のトラフィックの大部分を処理している
世界のインターネットトラフィックの大部分はシスコを通っている
シスコは世界のルーター・スイッチ市場で長年シェアNo.1を維持しており、世界のインターネットのバックボーン(中核通信網)の大部分はシスコ製品が支えています。企業ネットワーク・データセンター・インターネット接続の根幹にシスコが関わっているため、シスコの資格は「インターネットの基盤を動かす技術」の証明でもあります。
CCIEは世界で最も難しいネットワーク資格のひとつ
CCNPの上位資格CCIEは、8時間の実技試験(ラボ試験)を含む世界最高峰のネットワーク資格です。世界での取得者数は6万人程度(数十年累計)という希少性で、取得者は「CCIE番号」を与えられ世界的に認知されます。CCNPの延長線上にある最終目標として、CCIEを目指すエンジニアは少なくありません。
CCNPレベルのエンジニアを世界中に育てたジョン・チェンバース
Ciscoを世界最大のネットワーク機器企業に育て上げた元CEOジョン・チェンバース氏は、「優秀な技術者こそが最大の競争力」という信念のもと、CCNA・CCNP・CCIEの認定体系を世界規模で普及させることに積極的に投資しました。チェンバース氏がCEOを務めた1995〜2015年の20年間でCisco認定保有者は世界中で急増し、「ネットワークエンジニアの実力はCisco認定で証明する」という業界標準を世界に定着させた功績は計り知れません。CCNPは彼が整備した認定体系の中で「プロフェッショナル」を名乗れる重要な到達点として位置づけられています。
まとめ ― 大規模ネットワークのプロとして評価される国際資格
こんな方にとくにおすすめ
- CCNAを取得済みで、さらにネットワーク技術を深めたい方
- 大規模企業・データセンターのネットワーク設計・構築を担いたい方
- SIer・通信キャリアでキャリアアップを目指しているネットワークエンジニア
- 将来的にCCIE取得を視野に入れているネットワーキングの専門家
取得に向けた第一歩
CCNAを取得していない場合はまずCCNAから始めましょう。CCNAを持っている場合は、受験するCCNPのジャンル(EnterpirseかSecurityかなど)を決めてからCisco公式の学習教材・Udemy講座・Packet Tracer(シスコ提供の無料ネットワークシミュレーター)を使った実機同等の練習を積むことが効果的です。
